2024年11月16日土曜日

続くすれ違い 県内自治体 豪雪不安視 国側、自然災害は範躊外

 原発事故時に近傍の住民が一斉に避難すると、道路が混雑して却って時間が掛かるため、半径5~30キロ圏内(UPZ)住民はまず屋内(自宅)退避」をすると決めたのは原子力規制委です。これは原発と住宅地が接近しているうえに十分な避難用道路がないための苦肉の策で、海外ではありえない日本特有のものです。
 しかし能登半島地震でUPZ内の住宅の多くが損壊(乃至全壊)したため、当初「屋内(自宅)退避」するのは非現実的であることが判明しました。そこで規制委はしぶしぶ「屋内退避検討チ(略称)」を設立しましたが、そこで検討されたのは何と「どのタイミングで屋内退避を解除すべきか」という「的外れ」のものでした。
 そもそも「屋内退避は可能なのか」という本質的問題は当初から指摘されていたのに、それを完全に無視してきたのは規制委です。そのためか「検討チーム」設立の当初から「逃げの姿勢」が顕著でした。

 新潟日報が掲題の記事を出しました。
 豪雪地帯であるUPZ内の市町では原発事故と地震や大雪が重なった場合の不安が根強く、早急に検討用の「詳細な対応基準案」が欲しいのですが、検討チームや原子力防災担当内開府)のメンバーは、その要求に対してなんと自然災害は範疇外」「解決済み回答したということです。
 百歩ゆずって「範疇外」であるのなら、何処がその問題を解決する担当機関なのかを明らかにする必要と責任があります(追記 地震や津波は自然災害なのにそちらには不十分ながらも一応の対策はしているのに、「大雪は自然災害なので範疇外」とは一体どういう了見なのでしょうか)。
 また「解決済み」とは余りにも珍妙に過ぎるもので、一体何が解決しているというのでしょうか。問題であるからこそ説明を求めているのであって非常識極まる対応です。
 
 新潟日報が提起している疑問は重要であり、現行のような規制委の的外れの「逃げ」ではこの先も「屋内退避」の問題は何も進まないし、「解決」しません。
 規制委や内閣府がそういう態度であるならもはや「再稼働」以前の問題です。今後規制委はどうすしようというのか、無責の住民サイドとしてはそれを見守るしかありません。
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続くすれ違い 県内自治体 豪雪不安視 国側、自然災害は範躊外
                        新潟日報 2024年11月13日
 原発事故時に住民の被ばくを抑えるために行う「屋内退避」。県内でその対象となる原発から半径5~30キロ圈の避難準備区域(UPZ)の市町では、事故と地震や大雪が重なった場合の不安が根強く、詳細な対応基準を求める声が多い。しかし、屋内退避の運用を議論する原子力規制委員会のチームや、内開府の原子力防災担当は範疇外」「解決済み」とするなど、すれ違いが続いている。

 12日にあった規制委の屋内退避検討チムの会合に先立つ11日、新潟市中央区では、県内30市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の実務者会議が開かれた。まさに屋内退避が議題で、国担当者も出席。発言した上越市の担当者は、規制委検討チームのこれまでの議論が、多くの家屋が倒壊するなど屋内退避の運用を見直すきっかけになった1月の能登半島地震を踏まえた内容が乏しいとして、「自治体側としてはモヤッとしている」と不満を訴えた。

 新潟日報社は12日の検討チーム会合を前に、本県のUPZ8市町を対象に、屋内退避に関する意見を間いた。そこで目立ったのは、原発事故が大雪と重なった場合の対応が定まっていないことへの懸念だった。
 中間まとめは、「屋内退避中も生活維持のための一時的な外出は可能」とした。これに対し、小千谷、十日町両市は「ー時的」として許容される時間が不明確だと指摘した。屋内退避時に大雪となれば、住民は倒壊を防ぐためにも、雪下ろしで何度も外へ出る必要が出てくる。見附市は、委託する民間業者が除雪に当たるケースも挙げ、被ばく防護の具体策求め

 11日の実務者会議でも、小千谷市の担当者が「雪国特有の生活実態を踏まえた検討をお順いしたい」と要望したが、規制委の担当者は「今後、検討したい」と述べるにとどまった。
 検討チームを設けてまで屋内退避の運用を見直している規制委だが、自然災害での対応の検討は「範囲外」だとする。一方、原子力防災を担当する内閣府は「解狭済み」との立場。地震や大雪被害で自宅に屋内退避できない場合は、被ぱく避けるより避難などの自然災害対応を優先する「基本的考え方」提示済みで、能登半島地震を踏まえた再検討は「不要」との言い分だ。

 しかし、住民避難の実を担う市町村からすると、より詳細に踏み込んだ検討がなければ、実際の事故に対応できないとの懸念が消えない。見附市の担当者は取材に、「『基本的考え方だけを示されても、市の対応の実効性は担保されない。具体策を伴った方針を示すよう、今後も国に要望していく」とした。