福島第1原発事故当時の東電会長、勝俣恒久さんが死去しました。
事故の責任は誰にあるのか。業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判など、その決着がつかぬまま、この世を去りました。
11月1日、「刑事訴訟支援団」が集会を開き、当時の経営陣の1人勝俣恒久元会長が亡くなったことに対して、「事故の責任を取ってほしかった」と無念さを示す声があがりました。
刑事裁判と訴訟で原告代理人などを務める海渡雄一弁護士は「刑事事件、株主代表訴訟の手続きの途中で亡くなったのは大変残念だ」とコメントしました
原告代表の木村結さん(72)は「判決を控える中で亡くなったのは非常に残念。事故の責任はトップだった勝俣さんにあると思っている。福島の人たちのためにも責任を取ってもらいたかった」と述べました。
「刑事訴訟支援団」は最高裁で口頭弁論を開き審議することを求めています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事故責任…決着つかぬまま 勝俣元東電会長死去、原告ら「残念」
福島民友 2024/11/01 08:35
東京電力福島第1原発事故当時の東電会長、勝俣恒久さんが死去した。2002年の社長就任から約10年にわたり、経営を指揮。原発事故後は事実上の経営トップとして事故の収束に当たった。事故の責任は誰にあるのか。業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判など、その決着がつかぬまま、この世を去った。
東電で政府などとの調整を担う企画畑を歩んだ。福島第1原発1号機などを巡るトラブル隠し問題で引責辞任した南直哉社長の後任で社長に就任。業界団体のトップなども歴任した。原発事故後は当時の社長清水正孝氏が体調を崩したこともあり、事故収束や政府との調整などで陣頭指揮を執った。原発事故対応の遅れでは批判の矢面にも立たされ、東電が実質国有化されるに当たり会長を退任した。その後は、旧経営陣が強制起訴された刑事裁判や株主代表訴訟などで当事者となった。
東電元経営トップの死去に、今も事故の責任を問い続ける訴訟の原告らからは「事故の責任を取ってほしかった」との声が上がった。
勝俣さんは業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事事件で一、二審ともに無罪となり、東電株主が旧経営陣に損害賠償を求める株主代表訴訟の被告になっている。刑事裁判は検察官役の指定弁護士が上告。刑事裁判と訴訟で原告代理人などを務める海渡雄一弁護士は「刑事事件、株主代表訴訟の手続きの途中で亡くなったのは大変残念だ」とコメントした。株主代表訴訟の控訴審は27日に東京高裁で結審を予定しており、原告代表の木村結さん(72)は「判決を控える中で亡くなったのは非常に残念。事故の責任はトップだった勝俣さんにあると思っている。福島の人たちのためにも責任を取ってもらいたかった」と述べた。
避難者らが国や東電に損害賠償などを求める福島生業訴訟原告団長の中島孝さん(68)は「最高責任者として被災者に申し訳ないという気持ちを示し、事故を反省し、東電として原発脱却を進めてほしかった」と話した。
旧経営陣トップの責任追及不可能に
勝俣さんが亡くなったことで、業務上過失致死傷罪で強制起訴された事件は被告死亡で勝俣さんのみ終結となり、刑事事件で旧経営陣トップの責任を追及することはできなくなった。
株主代表訴訟は、相続人が勝俣さんの債務を相続するか、放棄するかで変わる。
東京電力旧経営陣上告審めぐり最高裁前で抗議 勝俣元会長死去受け「釈明してほしかった」福島
TUFテレビユー福島 2024/11/1
東京電力の旧経営陣が強制起訴された裁判の上告審をめぐり、最高裁の前で一審と二審の無罪判決に対して抗議が行われました。
この裁判は、2011年の福島第一原発事故をめぐり、東京電力の当時の経営陣が、事故の責任を問われ強制起訴されたものです。一審と二審では無罪が言い渡され、検察官役の指定弁護士が最高裁に上告しています。
11月1日、「刑事訴訟支援団」が集会を開き、当時の経営陣の1人勝俣恒久元会長が亡くなったことに対して、無念さを示す声があがりました。
福島原発刑事訴訟支援団・佐藤和良団長「最高裁の判決をきちんと聞いて、その前に口頭弁論に出て、これまでの経過、自らの判断の誤りについてきちんと釈明すべきだったのではないか」
支援団は、最高裁で口頭弁論を開き審議することを求めています。