2026年2月12日木曜日

福島原発事故 緊急事態宣言いつまで

 福島原子力緊急事態宣言の下では、「年間被爆量20ミリシーベルト(mSv)以下であればそこからの避難は不要」と規定しているため、そこから避難した人たちには何の保障もありません。
 しかし被爆量20mSvは正常の被爆量の約20倍に当たり、放射線管理区域の被爆量の4倍に当たるレベルなので、乳幼児をはじめとする子供や妊婦がそこで暮らせるというのは、事故後数か月以間は止むを得ないかも知れませんが、15年間が経過したのにそのまま放置されているのは異常の極みです。これは日本の政治の異常ぶりを端的に示しています。
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【震災・原発事故15年】第1原発緊急事態宣言いつまで 解除見通せず全国で再稼働 福島県民「福島の被害、教訓軽視」
                           福島民報 2026/02/12
 東京電力福島第1原発事故の発生から3月11日で15年となる中、事故直後に政府が出した「原子力緊急事態宣言」は解除の見通しが立っていない。背景には、解除を巡る法的条件のあいまいさがある。宣言が続くまま国内原発の再稼働が進む現状に、避難を経験した福島県民からは「福島の被害や教訓を軽視している」と疑問の声が上がる。一方、観光関係者には宣言が風評を招くとの懸念も。再稼働した原発に異変があれば、新たに宣言を出す恐れもあるだけに、識者は解除の道筋を明確にすべきと指摘する。

■首相判断
 福島第1原発事故に伴う原子力緊急事態宣言は原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づき、2011(平成23)年3月11日午後7時3分、2号機原子炉の水位低下を受けて政府原子力災害対策本部長を務める菅直人首相(当時)名で発令された。以来、国の責任で周辺住民への避難指示などの「事後対策」を講じる法的な根拠となっている。
 当初、原発から半径3キロ圏だった避難指示の範囲は原子炉建屋の水素爆発など事態の悪化を受け、次第に拡大。対象は段階的に縮小しているものの、昨年11月1日時点で2万3701人が県内外に避難している。
 原災法は、宣言解除の要件を「原子力災害の拡大防止を図るための応急対策を実施する必要がなくなったと認めるとき」に行うものとし、判断の主体を首相と定めている
 条文を現状に照らして解釈すると、(1)避難指示の解除(2)福島第1原発の廃炉の進展―が解除を判断する前提となりそうだ。判断の時期としては、政府が希望者全員の帰還を目指すとしている「2020年代」や、福島第1原発の廃炉を完了させる目標時期「2051年」が想定される。
 ただ、内閣府原子力防災担当は取材に「本部長を務める首相がさまざまな状況を踏まえ、総合的見地から判断する」との見解を示すにとどめ、解除の要件や時期的な見通しに具体的な言及はしていない。

■被害の裏付け
 宣言が続くことへの県民の受け止めはさまざまだ。
 「事故の深刻さ、被災者の苦労が社会から忘れられつつある」。南相馬市原町区から神奈川県に避難した元高校教諭の山崎健一さん(80)は宣言について「いずれは解除されるべき」とする一方、被害が現在進行形と伝え、風化を防ぐ効果もあるとも感じている。宣言が続いている意味を認識することで、事故が多くの人の人生を狂わせた事実を考えてほしいからだ。
 親族を頼り、川崎市などで3年半余り避難生活を送った。2014年11月に県内に戻ったが、元の自宅を売却して福島市で暮らす。原発の再稼働を進める国の姿勢には「自ら宣言を出しているにもかかわらず、それを無視して再稼働に走っている」と違和感を覚える。
 観光関係者の間には、宣言の存在が「風評につながりかねない」との声もある。県観光物産交流協会は東日本大震災と原発事故からの復興へ歩む県民の姿や、複合災害の教訓を伝える「ホープツーリズム」を2016年度から県とともに展開してきた。
 浜通りなどへの誘客を進め、2024(令和6)年度は最多の1万9071人の参加者を集めた。協会の守岡文浩理事長は「宣言が続く現状は、見方次第では『福島はまだ危ない地域』という誤解を生みかねない」との懸念を抱えている。

■「条件明示を」
 国の原発政策について長年調査・分析している東京都の認定NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇共同代表は宣言を解除せず再稼働を進める国を「原子力政策自体が福島の事故と向き合っていない表れ」と批判。宣言が住民に長期避難を強いている現状を踏まえれば「具体的な解除の条件を検討、明示する必要がある」と話している。

※原子力緊急事態宣言 原発で大事故が起こる恐れがある場合、原子力災害対策特別措置法15条に基づき首相が宣言する。1999年の東海村臨界事故を教訓とした同法の施行後、2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故で初めて出された。宣言後、首相を長とする原子力災害対策本部を設置。原発近くの対応拠点「オフサイトセンター」に現地対策本部を設け、国や自治体、電力会社の関係者が対応を協議。周辺の放射線測定や住民避難などを検討する。