2023年1月27日金曜日

27- 「島根原発2号機」 テロ対策施設の予定地などを原発規制委が視察

 原子力規制委は、中国電力が再稼働を目指している島根原発2号機の現地調査に入りました。今回の現地調査では、新規制基準で義務付られているテロ対策施設の工事予定地で用地確認などの調査を初めて行いました

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再稼働目指す「島根原発2号機」を原発規制委が現地調査「テロ対策施設」の予定地など視察(島根・松江市)
                         山陰中央テレビ 2023/1/26
燃料費高騰にともなう電気料金の値上げを受け、原発をめぐる論議が活発化する中、原子力規制委員会は、中国電力が再稼働を目指している島根原発2号機の現地調査に入りました
島根原発2号機は、おととし9月に原子力規制委員会による安全審査に合格し、その後、耐震工事など再稼働に必要な施設面での整備が進められてきました。
こうした中で始まった規制委員会による現地調査。
原子力規制委員会・杉山智之委員:「建設配置計画を、現地の地形を見ながら、審査の判断材料を集めるために来た

現地調査では、施設整備の結果、2号機が新規制基準に適合しているかどうか確認することにしていて、規制委員会の委員や規制庁の幹部職員など10人余りが現地入りしました。
そして、津波に備えた防波壁をはじめ、テロに備え新たに整備される拠点施設の予定地などを視察しました。
原発の再稼働、原油や天然ガスが高騰する中、今の電力会社にとっては特別な意味を持っています。
安部大地記者:「燃料費高騰を理由に電気料金の値上げを予定している中国電力。発電コストの改善のためにも、残る国の審査をクリアし、再稼働へこぎつけたい考えです」

中国電力は燃料費高騰などの影響で、家庭用などの料金プランについて、4月から平均で31.33%の値上げを国に申請していますが、来年1月末の2号機再稼働を前提に、値上げ幅を圧縮したとしています。
中電は、安全対策工事を今年11月に完了するとしていて、2号機の再稼働問題は、年末に向け、重要な局面を迎えることになります。
原子力規制委員会による現地調査は、27日まで続けられます。

2023年1月26日木曜日

東電の原発運営能力に疑問 審査書類の誤記で新潟知事

 東電が原子力規制委に提出した柏崎刈羽原発3号機の審査書類に、2号機の記載内容を流用していた問題について新潟県の花角知事は、「不適切と指摘を受けることを組織として決定してやっていたのは非常に残念で遺憾。原発を運営する能力が本当にあるのかと感じる」と疑問を呈しまし
 共同通信はタイトルでこれを「誤記」と表現しましたが、新潟日報の記事を読むとむしろ「捏造」というべきであるように思われます。
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   (1月23日)柏崎刈羽3号機 東電の審査書類 誤り(詳報) むしろ捏造では?
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東電の原発運営能力に疑問 審査書類の誤記で新潟知事
                            共同通信 2023/1/25
 新潟県の花角英世知事は25日の定例記者会見で、東京電力が原子力規制委員会に提出した柏崎刈羽原発3号機の審査書類に、2号機の記載内容を流用していた問題について「不適切と指摘を受けることを組織として決定してやっていたのは非常に残念で遺憾。(的確に原発を運営する)能力が本当にあるのかと感じる」と疑問を呈した。

 花角氏は17日、県庁を訪れた同社の小林喜光会長らに対し、「行動と実績で信頼を得られる努力をしてほしい」と求めたばかり。県民の信頼を得る行動にはなっていないと批判した。 

放射能汚染土の拡散反対! 立ち上がった新宿区民

 福島原発事故による汚染土壌を、公共事業や農地に再生利用するための実証実験が、新宿御苑で行われようとしていることに対して、新宿区民が中心となり「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」が立ち上がりました。1月24日、四谷地域センター(新宿区)で結成集会が行われ、150名が集まりました
 最高8000ベクレルkgもの放射性廃棄物を全国に拡散させようとするのは、「放射性物質を拡散させてはならない」という原則に違反することなので、環境省は根本的に考え直すべきです。
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  (1月23日)新潟市で除染土壌の処分方法を考えるフォーラムを開催したものの
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放射能汚染土の拡散反対!立ち上がった新宿区民
                 堀切さとみ レイバーネット日本 2023-01-25
 福島原発事故による汚染土壌を、公共事業や農地に再生利用する。そのための実証実験が、新宿御苑で行われようとしている。新宿区民が中心となり「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」が立ち上がった。1月24日、四谷地域センター(新宿区)で結成集会が行われ、150名が集まった。
     ※会場に入りきれないほどの人が集まり、急遽別室が用意されるほどだった。
 新宿区民にとっても、まさに寝耳に水だった。「新聞をみて、初めて知ったという住民がほとんどだった」と司会の平井玄さんはいう。さっそく学習会を行い、年明け早々に区長、都知事に申し入れを行った。「11年たつと(原発事故について)曖昧な気持ちになっていたが、目が覚めた」(平井さん)。福島だけの問題ではないと、誰もがつきつけられたのだ。 

 環境NGO、FoE Japanの満田夏花さんがスライドをみせながら問題提起する。そもそも放射性廃棄物は一カ所に集めて管理すべきで、そのために中間貯蔵施設が作られたのだ。にもかかわらず、そこからわざわざ汚染土壌を取り出して、公共事業や農地に再利用するという愚行が、福島県内では始まっている。今回福島県外にも汚染土を持ち出して、実証実験をするというのだ。そもそも実証実験に使われる土壌は8000ベクレル/㎏以下。原子炉等規制法に基づく規則では、セシウムの場合100ベクレル/㎏以上のものは敷地から持ち出してはならないことになっているのに、その80倍である。新宿御苑でそれがまかり通ったら、なし崩しで全国に汚染土壌がばらまかれることになるだろう。

 満田さんが昨年暮れに環境省に交渉したによると、実証実験で使われる土は、セシウム以外の放射性物質(たとえばストロンチウム等)については考慮しないということだ。また、使用する土の放射線量をどのように測定するのかについて、具体的には何も決まっていなかった。そして実証実験の目的は「見学してもらい、安全性を理解してもらうため」なのだという。都民だけでなく世界中の人たちが集う憩いの場で、福島の土は安全だというデモンストレーションをすること。これが一番の狙いだというのは、環境省による広報活動はすべて電通が請け負っていることにも明らかだ。
 多くの質疑応答や発言が続き、会場は熱気に包まれた。同様の計画が浮上している埼玉県所沢市の住民も駆けつけ「85%の住民が反対を表明している。新宿の運動と連携して、何としても計画を中止させたい」と決意を語った。福島県二本松市の農家の男性は、汚染土を再利用した道路づくりの計画に対し、100本ののぼりを立てて撤回をかちとったことを報告。汚染土の拡大を許さない声は、どんどん広がっていくだろう。

 「反対する会」は、1月29日(日)の15時30分から、新宿御苑でスタンディングを行う。2月24日には所沢でも集会が予定されている。多くの人達に参加してほしいと思う。

26- 原子力規制委、行政職員との面談記録作成義務づけ

 原子力規制は25日、内規を改正して、委員や事務局の原子力規制庁職員が原子力を推進する行政機関の職員と面談する際に、記録の作成や公開をするよう義務づけました
 昨年12月、規制委が正式な対応の検討を始める前に職員が経産省側と面談を重ねていたことが判明し、規制委独立性や透明性が損なわれるとの批判が出たことへの対応です。
 規制当局が電力会社などの規制対象者と面談するときの記録は内規で定められていますが行政機関は対象外でした。はじめから行政機関同士の打ち合わせが想定されていたのであれば明らかに手落ちです。
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原子力規制委、行政職員との面談記録作成義務づけ 透明性で批判受け
                            毎日新聞 2023/1/25
 原子力規制委員会は25日、内規を改正して、委員や事務局の原子力規制庁職員が原子力を推進する行政機関の職員と面談する際に、記録の作成や公開をするよう義務づけた。昨年12月、政府による原発の運転期間延長の方針を巡って、正式な対応の検討を始める前に職員が経済産業省側と面談を重ねていたことが判明。規制委が活動原則に掲げる独立性や透明性が損なわれかねないと批判が出ていた。
 改正されたのは「原子力規制委員会の業務運営の透明性の確保のための方針」で、同日施行された。東京電力福島第1原発事故を教訓に、規制当局が電力会社などの規制対象者にコントロールされる「規制の虜(とりこ)」に陥らないよう、職員らが規制対象者と面談する際は記録を作成・公開することなどと定めている。ただ、行政機関は対象外だった。改正で、経産省と文部科学省、内閣府の原子力関係部署が対象に加えられた。
 今回の問題について山中伸介委員長は「独立性を損なう行為があったとは考えていない」としつつも、「透明性を上げることが重要だ」として先月内規改正を指示していた。
 公開されるのは、情報公開法で定められた不開示情報を除く面談の日程や参加者、議事要旨、使用した資料。面談は対面だけでなくオンラインも含むが、電話や電子メールは含まない。
 山中委員長は25日の記者会見で「透明性を高める第一歩になった」としつつも「職員一人一人が(規制委の)組織理念に基づいた行動をしていくことが基本だ」として、職員に透明性や独立性を意識した行動を取るよう求めた。【吉田卓矢】

2023年1月24日火曜日

「信頼失っている」東電幹部に新潟県知事が苦言 柏崎刈羽原発再稼働は不透明

 東電の経営陣などが1月17日、新潟県庁で花角知事と面会しました。小林喜光会長21年就任しましたが、コロナ禍のため花角知事とは今回が初めて面会でした。
 たまたま当日未明に現地の東電社員のパソコンから出火する騒ぎがあり、そのことから話が始まりました。
 花角知事は東電に対して「信頼を失っている」と苦言を呈しまし
 新年の挨拶ということで特に内容のある話はありませんでした。

 花角知事は、「柏崎刈羽原発を動かすかどうかは、県の検証の結果を踏まえて議論していきたい」と述べ、検証結果を尊重する姿勢を見せてはいますが、本当にそういうことで進んでいるのかは疑問です。詳しくは下記を参照ください。
  ⇒(12月30日)新潟県独自の『検証総括委』なぜ開かれない 委員会と県の“深い溝”
    お知らせ
 大雪が予想されるため、25日、26日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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「信頼失っている」張り詰めた15分…東京電力幹部に知事が苦言 柏崎刈羽原発”再稼働”は不透明【新潟発】
                       NST新潟総合テレビ 2023/1/23
東京電力の経営陣などが1月17日、新潟県庁で花角知事と面会した。政府が2023年夏以降の柏崎刈羽原発再稼働の方針を示す中、「地元の信頼を得る」と誓う東京電力だが、花角知事は「信頼を失っている」と苦言を呈した。

東電経営陣が知事と面会も…冒頭で謝罪
杉本一機キャスター:「東京電力・小林会長と小早川社長が県庁に到着しました。新年の挨拶のため、花角知事と面会します。政府も方針を示した原発再稼働に向け、具体的な話はあるでしょうか
新型コロナウイルスの影響で3年ぶりとなった東京電力経営陣による知事への新年の挨拶。
小林喜光会長が2021年の就任後、花角知事と面会するのは初めてで、内容が注目された会談だったが、その冒頭…
柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長:「未明・早朝からお騒がせして申し訳ありません
花角知事:「ノートパソコン?
柏崎刈羽原発 稲垣武之 所長:「ノートパソコンからの出火ということ

東電側が口にしたのは謝罪。1月17日午前4時前、柏崎刈羽原発の免震重要棟の会議室でノートパソコンのバッテリーから出火した。
火は社員による初期消火で約30分後に鎮火し、建物などへの影響はなかったが、面会当日に起きた心配な出来事に…
花角知事:「ちょっと、びっくりしました
東京電力 小早川智明 社長:「大変失礼しました

再稼働に向けた動き加速も…花角知事は苦言
柏崎刈羽原発をめぐっては、核物質防護の不備を受け、事実上の運転禁止命令を出している原子力規制委員会が2023年3月までに検査結果をまとめ、命令を解除するか判断する見通しだ。
政府が柏崎刈羽6・7号機などを2023年夏以降、再稼働させる方針を示す中、会談では…
東京電力 小林喜光 会長:「エネルギーの情勢にだいぶ変化があった。そういった情勢を踏まえ、原子力発電の役割に関心が集まっているが、安全最優先で地元や社会の皆さんから信頼いただける発電所をつくる
花角知事:「残念ながら、一昨年の核物質防護の事案含めて、信頼をなくす事案が続いてきた。今のままでは信頼を失っていると申し上げざるを得ない

東電側が原発再稼働の必要性をにじませつつ、柏崎刈羽の安全性向上の決意を伝えたのに対し、花角知事はこの間の対応に厳しい表現で苦言を呈した。

東電「原子力なしで過ごすのは難しい」
会談後、東電は原発再稼働について「時期は示せない」としたうえで、改めてその意志を語った。
東京電力 小林喜光 会長:「いかに安いコストで、安定した電力を供給するかというのは最大の使命だと思っている。そういう中での一つとして、原子力も位置づけたい。やはり原子力なしで過ごすということは難しいのではないか

一方の花角知事は「原発に関する県の3つの検証が終わらないかぎり、再稼働議論はしない」との姿勢を崩していない。
杉本一機キャスター:「会長からエネルギー情勢が変わっているという話があったが、知事としては原発の必要性をどう考えている?
花角知事:「柏崎刈羽を動かすかどうかは、県の検証の結果を踏まえて議論していきたい

原発再稼働をめぐる動きが慌ただしくなる中、地元の同意の行方は不透明なままだ。

24- 原発事故で降り注いだセシウム、落ち葉の下で「残り続けている」

  森林総合研究所(茨城県つくば市)は、福島第一原発事故で森林へ降り注いだ放射性セシウムの多くが、落ち葉の下の土壌(鉱質土層)の表層に残り続けているとの分析結果をまとめました。

 震災5年目の時点では、落葉層のセシウムは減少していたものの、鉱質土層のセシウム量は増加していました。10年目では、鉱質土層での増加が多くの調査地点で止まり、ほぼ一定値となり、5センチより深い層にセシウムはほとんど移動していませんでした
(以上の説明は図がないと分かりにくいのですが、断面の写真を掲載できなかったので、下記から原文にアクセスしてください↓)
 原発事故で降り注いだセシウム、落ち葉の下で「残り続けている」 少しずつ鉱質土層に移動
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原発事故で降り注いだセシウム、落ち葉の下で「残り続けている」…少しずつ鉱質土層に移動
                             読売新聞 2023/1/23
 森林総合研究所(茨城県つくば市)は、福島第一原発事故で森林へ降り注いだ放射性セシウムの多くが、落ち葉の下の土壌(鉱質土層)の表層に残り続けているとの分析結果をまとめた。樹木の根から吸収されて葉や枝に移動するセシウムと、表土の落葉層のセシウム量はともに減少が続く一方で、厚さ5センチ以内の鉱質土層のセシウム量はほぼ変化がないという。(江村泰山)

 論文は環境放射線の専門誌に掲載された。放射性物質は自然に減少する性質がある。分析は、放射線を出す能力(放射能)が半分に減る「半減期」が約30年の「セシウム137」を対象に行った。
 森林総研は、東日本大震災の5か月後の2011年8月から10年間、川内村、大玉村、只見町、茨城県の筑波山のスギ林やコナラ林など10か所で調査を実施した。
森林土壌の断面の様子。右上のピンより上側が落葉層で、ピンの間隔はそれぞれ約5センチ(森林総研提供)
 震災5年目の時点では、落葉層のセシウムは減少していたものの、鉱質土層のセシウム量は増加していた。樹木の枝葉や落ち葉に付着したセシウムが少しずつ鉱質土層に移動し、土中の粘土鉱物と結合したためという。一方で、10年目では、鉱質土層での増加が多くの調査地点で止まり、ほぼ一定値となった。5センチより深い層にセシウムはほとんど移動していなかった
 科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された森林総研の別の論文では、木材と樹皮に含まれるセシウムの濃度についても、増加が頭打ちになったり、減少に転じたりしていることが報告された。これらの結果から、森林総研は、セシウムが今後も長期にわたり、厚さ5センチ以内の鉱質土層の表層に残留し続けると推定している。
 地点によって調査結果にばらつきがあるのが課題で、真中卓也・主任研究員は「シイタケ原木林などの再生に向け、精度の高い将来予測を構築していきたい」と話している。

2023年1月23日月曜日

柏崎刈羽3号機 東電の審査書類 誤り(詳報) むしろ捏造では?

 題記の件について新潟日報が21日の社説でやや詳しく問題点を指摘しましたので、「詳報」として紹介します。

 書類作成は東電がグループ企業の東電設計に依頼したものですが、肝心な経年劣化の影響を調べる「高経年化技術評価書」で、3号機の資料が見つからなかったため、メーカーや型式が同じ2号機のものを使ったということです。
 再稼働(あるいは運転延長)において最も重要な経年劣化を評価するための基本資料が「見つからなかった」ことは何よりも重大であり、本来はそれだけで運転延長を断念しなくてはならないものです。
 そもそも2号機と3号機の劣化が同じという保証はないのに、3号機の代わりに2号機のデータを流用したのであればそれは「捏造」に他ならず、3号機のデータが良くなかったので資料が見つからなかったことにした可能性すらあります。
 東電はミスを陳謝したうえで、「安全性に影響がないことは確認している」と述べたそうですが、一体どんな根拠でそう言えるのかまさに不可解です。要するにこれは転記ミスで済まされるような問題ではなく、東電はここでも重大なゴマカシをしています。
 東電は書類の作成を基礎からやり直し、もしも本当に経年劣化に関する資料が見つからないのであれば、その時点で再稼働は断念すべきです。
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社説 原発審査書類流用 東電の安全軽視許せない
                             新潟日報 2023/1/21
 「信頼回復を最優先に」との言葉が空々しく聞こえる。ずさんな対応を何度繰り返しているのか。
 安全確認に他の資料を流用すれば審査は成り立たない。どれだけ安全に関する手続きを軽視したら気が済むのか。
 東京電力は信頼回復が容易でないと自覚し、猛省すべきだ。
 東電は19日、原子力規制委員会に対し、運転開始30年を前にした審査を受けている柏崎刈羽原発3号機の審査書類に、149カ所の誤りがあったと明らかにした。
 うち131カ所は、既に審査を終えた2号機の審査書類の記述を流用していた。書類作成を委託されたグループ企業の東電設計が流用し、東電も同意していた
 長期運転の安全性を審査する重要書類が虚偽だったことになる。しかも東電自体が認めた流用であり、原子力事業者としての適格性を疑わざるを得ない。
 3号機は再稼働に向けた審査が未申請だ。だが運転開始から30年となる8月までに、設備の管理状況を確認する必要があった。
 問題があったのは、経年劣化の影響を調べる「高経年化技術評価書」の記述だ。3号機の資料が見つからず、メーカーや型式が同じ2号機のものを使ったという
 冷却水ポンプの部品材質が実際と違ったり、電源設備で使っていない部位を記入したりしていた。確認せずに丸ごと転記したとしか思えない誤りだ。
 東電は陳謝して「担当者の経験が浅かった」と説明、「安全性に影響がないことは確認している」とするが、それでは済まされない。
 規制委側が「書類の信頼性に関わる話で、重い問題と受け止めてほしい」と東電側に再発防止を求めたのは当然だ。
 政府は昨年末、60年を超す原発の運転を認める方針を決めた。規制委は今後、劣化管理の対応など新たな規制基準をつくる。
 放射線を長年浴びることで原子炉はもろくなり、コンクリートやケーブルは劣化する。経年劣化の評価はそれだけ重要で、安全管理上厳しく問われる必要がある。
 柏崎刈羽原発では核物質防護体制の不備などの問題が相次いで発生している。花角英世知事は17日、新年のあいさつで訪れた東電の小林喜光会長らに「今のままでは信頼を失っていると言わざるを得ない」と苦言を呈した。
 取材に対しては「原発事業を的確に遂行する技術的能力がないとしか思えない」とも述べた。
 東電は知事の言葉を県民の総意と捉えてもらいたい。不祥事のたびに「企業風土を変える」と言うが、行動と実績で変わったことを示す以外に道はない。
 政府は夏以降の6、7号機の再稼働を目指している。しかし、信頼回復の道筋を改めて示さなければ、再稼働問題の議論などできないことは言うまでもない。