原子力規制は25日、内規を改正して、委員や事務局の原子力規制庁職員が原子力を推進する行政機関の職員と面談する際に、記録の作成や公開をするよう義務づけました。
昨年12月、規制委が正式な対応の検討を始める前に職員が経産省側と面談を重ねていたことが判明し、規制委の独立性や透明性が損なわれるとの批判が出たことへの対応です。
規制当局が電力会社などの規制対象者と面談するときの記録は内規で定められていますが行政機関は対象外でした。はじめから行政機関同士の打ち合わせが想定されていたのであれば明らかに手落ちです。
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原子力規制委、行政職員との面談記録作成義務づけ 透明性で批判受け
毎日新聞 2023/1/25
原子力規制委員会は25日、内規を改正して、委員や事務局の原子力規制庁職員が原子力を推進する行政機関の職員と面談する際に、記録の作成や公開をするよう義務づけた。昨年12月、政府による原発の運転期間延長の方針を巡って、正式な対応の検討を始める前に職員が経済産業省側と面談を重ねていたことが判明。規制委が活動原則に掲げる独立性や透明性が損なわれかねないと批判が出ていた。
改正されたのは「原子力規制委員会の業務運営の透明性の確保のための方針」で、同日施行された。東京電力福島第1原発事故を教訓に、規制当局が電力会社などの規制対象者にコントロールされる「規制の虜(とりこ)」に陥らないよう、職員らが規制対象者と面談する際は記録を作成・公開することなどと定めている。ただ、行政機関は対象外だった。改正で、経産省と文部科学省、内閣府の原子力関係部署が対象に加えられた。
今回の問題について山中伸介委員長は「独立性を損なう行為があったとは考えていない」としつつも、「透明性を上げることが重要だ」として先月内規改正を指示していた。
公開されるのは、情報公開法で定められた不開示情報を除く面談の日程や参加者、議事要旨、使用した資料。面談は対面だけでなくオンラインも含むが、電話や電子メールは含まない。
山中委員長は25日の記者会見で「透明性を高める第一歩になった」としつつも「職員一人一人が(規制委の)組織理念に基づいた行動をしていくことが基本だ」として、職員に透明性や独立性を意識した行動を取るよう求めた。【吉田卓矢】