テレビ新潟が再稼働した柏崎刈羽原発について大雪の時に原発事故が起きた場合、どんな問題があるかについて住民に尋ね、記者が道路の実地検証をしました。
住民は積雪が3mに達すると道路の両脇に高い雪の壁が出来て視界が悪くなるので、車での避難が困難になるなどの指摘が出ています。
県の避難計画は単に「バスが〇〇〇台必要」などと記載されていて「調達できなければ自衛隊に依頼」などとなっているだけなので、「実効性が不明」のまま再稼働に入っているというのが実態です。
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【特集】新潟県の新年度予算案にみる「柏崎刈羽原発」14年ぶりの再稼働で豪雪地の住民は避難へ不安《新潟》
TeNYテレビ新潟 2026/3/7(土) 18:01配信
新潟県の新年度予算案から新潟が抱える課題を考えるシリーズ。14年ぶりに再稼働した柏崎刈羽原発についてです。
住民は大雪の際に原子力災害が起きた場合、どのように避難すればいいのか不安を募らせています。
■積雪3m超 柏崎市高柳町下石黒集落
一面、雪に覆われた集落。この地で生まれ暮らし続けてきました。
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「雪はまだまだ少ない方。雪が屋根までつながったんです」
柏崎市高柳町下石黒集落に住む大橋昭作さん。この集落で町内会長を務めています。
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「買い物に行くにしても車が自由に使えない場合があります。春になれば雪みんななくなるんだけどねと言いながら我慢してやっていました」
積雪が3メートルを超えることもある下石黒集落。今、懸念しているのが……
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「今年みたいに雪がもうずっと降り続くような事態の時に、事故になったとするとなかなか避難は難しい」
大雪と原子力災害が重なったら、避難のあり方に不安を抱えています。
■14年ぶりに再稼働 柏崎刈羽原発6号機
ことし1月21日……14年ぶりに柏崎刈羽原発6号機が再稼働しました。
【運転員】
「CR(制御棒)引き抜き操作を開始した」
東京電力の原発が再稼働するのは、福島第一原発の事故後初めてとなります。3月18日には営業運転を開始する計画です。
■原子力災害が発生した場合 住民の避難ルートは
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「これが柏崎市の暮らしのガイド」
見せてくれたのは、防災ガイドブック。
原子力災害が起きた際の避難方法などがまとめられています。
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「これを見ながら自分でも勉強して災害に備えると言うんでしょうけども」
住民の避難計画には原発からおおむね半径5キロ圏内と、半径30キロ圏内のふたつの区域が設けられています。大橋さんの自宅があるのは原発から30キロ圏内。まずは屋内に退避し、その後状況に応じて段階的に避難する計画です。
下石黒集落の住民は、県道の山道を越えて十日町市松代を経由して上越市大島区へ向かうルートを使い避難する計画です。
■豪雪地の集落 雪崩の危険性から通行止めになる道路も
しかし……
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「雪崩の危険もありますので、防止柵もあるけど安全確保もなかなか進んでいない」
自宅近くの道路は、避難路には指定されていませんが雪崩の恐れから冬の期間は通行止めに。
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
Q避難となるとここを使うのが
「最短ですね。最短距離なので普通車くらいだったらここが一番早い。私たちも用事で上越に行く時があればここを使います」
■豪雪地の避難
実際の避難路を案内してもらうと……
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「屋根から雪が落ちたとき道路は狭くなりますよね」
いざという時、住民は自家用車やバスでおよそ20キロ離れた避難場所の上越市まで向かいます。その道中、路肩には雪が高く積み上がっていました。
さらに……
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
Qカーブが多い?
「そうなんですカーブ多いですね。雪が両壁になっちゃうとまわりが全然わからない。だから対向車が来てもカーブのところは気を付けないと。狭いところはああやってよけてくれる人もいる」
道幅が狭く車がすれ違うのも難しい箇所も。
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「大雪になったときに除雪するまでは、一車線になることがある」
この日は雪が落ち着き除雪も行き届いていたことからスムーズに移動ができましたが不安はつきません。
【柏崎市高柳町下石黒 大橋昭作さん】
「道路除雪をできるのかできないのか疑問はありますけども、結局その人たちが危険な状態をもって作業しなければならないということで本当にできるのか疑問はあります」
■県新年度予算案 避難路の除雪体制の強化に7.7億円を計上
新潟県も対策を進めています。
【花角知事】
「柏崎刈羽原発の立地に伴っての安全・防災対策をしっかり進めていく必要があります」
新年度予算案では避難路の除雪体制の強化に7億7000万円を充てました。
内訳として避難路の一部に消雪パイプなどを設置するための費用として3.7億円を計上。また除雪車両の購入費用として3.6億円を計上しています。これらの費用はすべて東京電力から拠出される1000億円規模の基金が財源に使われます。
■高齢者の避難への不安
柏崎市松波地区。ここにも避難に不安を抱える人がいます。
この家で一人で暮らす大島いちのさん(81)。去年6月に腰の骨を折り足腰に不安を抱えています。
【大島いちのさん】
「事故があった場合はすぐ逃げた方がいいけど逃げるのも容易でない。私たちのようなものは走っていくわけにもいかないし家にいなきゃだめだ」
大島さんの自宅があるのは原発から5キロ圏内。
原発事故が起きた場合、すぐに避難を開始する計画で大島さんは一時集合場所へ避難したのち、バスで糸魚川市へ避難することになっています。
しかし……
【大島いちのさん】
「コミセンはずっとまっすぐずっとまだまだ」
Qここからどれくらいかかる?
「私の足で15分くらい。だって端から端までだもん」
自宅から一時集合場所までは歩いて15分ほど。自力での移動は難しいといいます。
■原発から5キロ圏内 要支援者は423人に上る
自力での避難が難しい高齢者などの要支援者。その数は原発から5キロ圏内で423人に上ります。
各自治体は確実な避難行動につなげるため要支援者1人ひとりに個別避難計画を策定していますが、この計画にも課題が。
柏崎市は個別避難計画をもとに年に一度、町内会などに要支援者の名簿を共有。安否の確認や避難の支援につなげています。しかし、名簿の更新が年に一度のため要支援者が名簿の登録を新たに申請しても町内会側に伝わっていないケースもあるのです。
■個別避難計画の課題 町内会から改善を求める声
町内会からは個別避難計画の改善を求める声が……柏崎市松波地区で町内会長を務める白井広一さんです。
【松波地区 白井広一町内会長】
「登録されていても結局一年に一回の更新ということで、私どもも情報がない状態になっていますので支援もなかなかできにくい。できれば申請随時更新したものについてお知らせしてもらえば一番対応するにも早く対応できる」
■個別避難計画を策定する自治体は
一方、行政側も対応の難しさを口にします。
【柏崎市介護高齢課 山崎祐輔係長】
「いただいた内容をまずシステムに入力し、そののちに個別避難計画を策定し、そして地図のシステムを使って記号を落とし込んでいく作業になってきます。それを一人ひとり対応させていただく」
2025年4月時点で柏崎市では、1398人が要支援者に登録しています。
要支援者からの登録の受け付け、システムへの登録、町内会への名簿提供まで基本的に職員2人で作業しているといいます。
【柏崎市介護高齢課 山崎祐輔係長】
「これまで通りの完璧な形ではないにしても情報を提供するという部分は随時の形で対応できる体制は考えていくというところで今、まさに検討している」
■尽きぬ原子力災害の避難への不安
県は個別避難計画の策定を促そうと新たに43万円の予算を計上しました。県内全体では個別避難計画の策定率は24.4パーセントに留まっていて、2032年度までに100パーセントを目指すとしています。
原発のそばで暮らす大島さん。原子力災害時、円滑な避難ができる体制を求めています。
【大島いちのさん】
「私のところにまで手が回るかどうかそれも不安です。みんながいるときになると限らないから、事故がないことを祈っています」
原発再稼働に伴い住民に募る避難への不安…実効性のある避難計画の策定・更新が求められます。。