2026年3月9日月曜日

東電 巨額廃炉費用見通せず、柏崎刈羽再稼働も「抜本的な改善につながらず」

 政府は、福島第一原発の廃炉や賠償、除染などの事故対応費用を総額23・4兆円と見積もっていて、このうち東電の負担は17兆円程度と見込まれています。
 政府であれ東電であれ、独自に金を稼ぐ機能は持っていないので、最終的には全て国民が「税」や「電気料」の名目で負担することになります。
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東京電力の再建道半ば…巨額廃炉費用見通せず、柏崎刈羽再稼働も「抜本的な改善につながらず」
                       読売新聞オンライン 2026/3/9
 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故から、11日で15年となる。廃炉と復興の責任を担うため、実質的に国有化された東電は再建の道筋を模索している。(久米浩之)

最難関
「当社の原点は福島への責任を果たすこと。どんなに高いハードルでも、しっかりとやり遂げなければならない」。東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は、読売新聞の取材に対し強調した。
 政府は、福島第一原発の廃炉や賠償、除染などの事故対応費用を総額23・4兆円と見積もっている。このうち、東電の負担は17兆円程度と見込まれる。
 ただ、これらの金額は膨らむ可能性がある。廃炉作業で最難関とされる溶融燃料(デブリ)の本格的な取り出しはこれからで、作業が難航する可能性もあるためだ。
 東電HDは2026年3月期の廃炉関連費用として特別損失9056億円を計上し、最終利益が6410億円の赤字となる見込みを示している。
 巨額費用をまかなう収益源として期待されるのが、今年1月に6号機が再稼働した柏崎刈羽原発(新潟県)だ。3月中に営業運転を始める見通しで、1基当たり年間1000億円の収益改善を見込む。29年度中に、同原発7号機も再稼働させる目標を掲げる。

着工現実味
 しかし、今年1月に国の認定を受けた東電の再建計画では、柏崎刈羽原発の再稼働でも「抜本的な改善にはつながらない」との見方を示した。東電は3年以内に2000億円の資産を売却するほか、さらなる成長分野も探っている
東京電力東通原発の建設予定地。建設計画が止まり、雑木林が広がっている(5日、青森県東通村で)
 足元では、生成AI(人工知能)の開発・運用に必要なデータセンター(DC)向けの電力需要の大幅拡大が見込まれている。東電はこうした分野で提携先を募っており、今月末の申し込み期限後に今後の対応が示される見通しだ。
 建設計画が止まっている東通原発(青森県)の着工にも現実味が出てきた。下北半島の沿岸部の建設予定地(約450万平方メートル)では、雑木林が広がる。地元の東通村では、村長らが地域振興のため、早期の工事再開を強く訴えている。

事故後 実質国有化
 戦後の1951年、連合国軍総司令部(GHQ)による電気事業再編で誕生した東京電力は、71年に福島第一原発の営業運転を開始し、福島第二、柏崎刈羽と原発を増やしていった。
 国内電力需要の約3割を賄う日本最大の電力会社となり、政財界へも強い影響力を持ったが、福島事故で状況は一変した。
 事故翌年に政府の原子力損害賠償支援機構から1兆円の出資を受け、実質的に国有化された。2015年には中部電力と火力発電部門を統合し、「JERA」として分離した。
 16年4月の電力小売りの全面自由化を受け、意思決定のスピードを速めるため、持ち株会社制に移行。送配電や電力小売りなどの子会社を抱える東電HDとなった。