鹿児島県議会は19日の最終本会議で、川内原発の40年を超えた運転を求める陳情を採択し、運転延長を事実上容認しました。
県議会には、運転延長に賛成、反対、それに議論の継続を求める陳情が出されていましたが、19日の最終本会議で賛成の陳情は採択され、反対と議論の継続を求める陳情は不採択となりました。
川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長は、「とても残念。規制基準に合格しても安全性は確立されていないことを自覚してほしい」と語りました。
原発ゼロをめざす鹿児島県民の会の有馬裕子筆頭代表委員は、「結論を出すのが早すぎる。時間をかけて審議し、県民の不安と向き合ってほしかった」と残念そうに述べました。
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川内原発運転延長を鹿児島県議会が事実上容認 知事「年内には表明」
MBC南日本放送 2023/12/19
県議会は19日の12月定例会の最終本会議で、川内原発の40年を超えた運転を求める陳情を採択し、運転延長を事実上、容認しました。これを受けて知事は、県としての考えを年内にも示すとしています。
川内原発は来年から再来年にかけ、40年の運転期限を迎え、原子力規制委員会は先月、20年の運転延長を認可しました。
県議会には、運転延長に賛成、反対、それに議論の継続を求める陳情が出されていましたが、19日の最終本会議で賛成の陳情は採択され、反対と議論の継続を求める陳情は不採択となりました。
川内原発が立地する薩摩川内市の市議会と田中良二市長は、すでに容認する判断を示していましたが、県議会もこれに続いて事実上、容認したかたちとなります。
県議会を傍聴した反原発市民団体の会長は。
(川内原発建設反対連絡協議会 鳥原良子会長)「とても残念。規制基準に合格しても安全性は確立されていないことを自覚してほしい」
議会終了後、塩田知事は報道陣に対し・・・
(塩田知事)「県議会としての判断が示された。丁寧な審議をしてもらったと受け止めて、県としての考えを整理したい。近い将来説明したい」
(Q.近い将来とは?)「近日中。年内にはと思う」
このように述べ、県としての考えを年内には表明することを明らかにしました。
川内原発運転延長「容認」…自民は採決前討論せず、野党批判「議論から逃げている」 県議会が賛成陳情採択
南日本新聞 2023/12/20
塩田康一知事が鹿児島県の考えを示す上で最後の判断材料とした県議会の結論は「運転延長容認」だった。九州電力川内原発の20年運転延長を求める陳情が採択された19日の最終本会議。原発が立地する薩摩川内市の経済関係者は「十分に審議された結果」と歓迎する一方、反対派は「結論ありき」と憤った。
薩摩川内市原子力推進期成会が提出した陳情では、雇用創出や地域経済振興など原発効果を強調。川内商工会議所の佐多孝一専務理事(61)は「採択されてありがたい。塩田知事も容認してほしい」と求めた。
反対陳情を出した「原発ゼロをめざす鹿児島県民の会」の有馬裕子筆頭代表委員(70)は「結論を出すのが早すぎる。時間をかけて審議し、県民の不安と向き合ってほしかった」と残念そうに語った。
傍聴席には30人以上が詰めかけ、運転延長を巡る議論の最終局面に目を凝らした。原発から10キロ圏に住む同市宮里町の下馬場学さん(68)は「党派の考えに縛られ、自ら判断していない議員が多い。事故が起きれば責任を取る覚悟で臨むべきだ」と語気を強めた。
採決前の討論では、共産と無所属の2人が運転延長反対の立場から意見を表明。最大会派の自民は10月の県民投票条例制定案に続き、本会議場で持論を主張しなかった。
ある野党系議員は「議論から逃げていると受け止められても仕方ない」と批判。自民党県議団の長田康秀会長は「総務警察委員会の審議で意見をしっかり述べたため」と討論見送りの理由を説明した。