原子力規制庁は、柏崎刈羽原発のこれまでの安全対策の不備・不祥事に関して、設備面とソフト面の全ての対応が終了したとする検査報告書案と、原発を動かす事業者としての東電の「適格性」について、「基本姿勢に則っている」などとする報告書案を規制委に提出しました。
これを受け規制委は6日この報告書を公表し、山中伸介委員長らが柏崎刈羽原発を改めて現地調査するとともに、東電の経営層を呼び、意見交換することを決めました。そのうえで、運転禁止命令の解除の可否を最終判断する方針です。
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柏崎刈羽原発の運転禁止解除の可否 現地調査と東電経営層との面談後に最終判断へ
テレビ朝日系(ANN)2023/12/6
原子力規制委員会は、テロ対策設備の不備で運転禁止命令を出している新潟県の柏崎刈羽原発を現地調査したうえで、東京電力の経営層と意見交換をして、命令解除の可否を判断する方針を固めました。
柏崎刈羽原発では侵入者を検知する設備が故障していたにもかかわらず、東電が放置するなどの不祥事が相次ぎました。
このため、規制委はおととし4月に事実上の運転停止命令を出していました。
規制委は設備不良のうち、風や雪で誤った警報が鳴ることなど27項目で改善を促しました。
規制庁はすべての項目で要件を満たしたとの検査報告書案と原発を動かす事業者としての東電の「適格性」について、「基本姿勢に則っている」などとする報告書案を規制委に提出しました。
これを受け規制委は、山中伸介委員長らが柏崎刈羽原発を改めて現地調査するとともに、東電の経営層を呼び、意見交換することを決めました。
そのうえで、運転禁止命令の解除の可否を最終判断する方針です。
柏崎刈羽原発のテロ対策「すべて改善」追加検査終了、命令解除へ前進
産経新聞 2023/12/6
テロ対策の不備で事実上の運転禁止命令が出ている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、原子力規制委員会は6日、追加検査の結果をまとめた報告書案を公表した。東電が原発を動かす「適格性」があるか再確認した結果も踏まえ、早ければ年内に命令解除の是非を判断する見通し。解除が決まれば、再稼働へ大きく前進する。
6日の定例会合では、規制委が追加検査で指摘した全27項目の課題は「すべて改善した」とする検査結果の概要が事務局の原子力規制庁から示された。委員から新たな指示はなく、報告書案は事実上了承された。
報告書案によると、強風や大雪などの荒天時に侵入者を検知する監視態勢や、核セキュリティーの向上を図る東電の取り組みなどの改善状況を確認。今後、核物質防護上の問題が起きても「自律的に改善できる仕組みが構築され、定着しつつある」と結論づけた。
また、規制庁は原発事業者としての東電の適格性を再確認した結果も報告。東電が保安規定に盛り込んだ「経済性より安全性を優先する」などの7項目の基本姿勢は、いずれも順守していることを確認したとしている。
運転禁止命令の解除には、追加検査の終了と適格性があるとの判断が必要になる。規制委は近く委員による現地視察と、東電の小早川智明社長と意見を交わし、命令解除できるかどうか公開会合で判断する。
柏崎刈羽原発では東電社員によるIDカードの不正使用や、侵入検知器の故障などテロ対策の不備が相次いで発覚。規制委は令和3年に核燃料の移動を禁止する是正措置命令を出した。