大飯原発3、4号機が、過去の地震における平均加速度を「基準地震動」として「それに耐える強度」にしたのは基準地震動の過小評価であるとして、設置許可を認めないとする一審判決が、先に下されていました。
関電側の控訴を受けた二審の大阪高裁は28日、一審の「許可取り消し」を認めないとする逆転判決を言い渡しました。
「地震動審査ガイド」には、経験式が有するばらつきを検証して経験式によって算出される平均値に「何らかの上乗せをする必要があるか否かを検討すべき」とする、「ばらつき条項」があります。これは過去の地震加速度の平均値を「基準地震動」にするのは「間違い」で、「どの程度の上乗せをするかは過去のバラツキ具合から判断すべきである」という趣旨です。
そもそも「基準地震動」とは「想定できる最大の地震の揺れ」を示すもので、「それに対して原発が安全である」ことで、はじめて原発に「耐震性」があると評価できるものであって、単に平均的な地震に耐えられれば良いというようなものではありません。
大阪高裁の判決は、「ばらつき条項の文言や、議論等を考慮すると、同条項は経験式によって算出される数値に何らかの上乗せをする必要があるか否かを検討すべきことを意味するものとはいえない。」との判断を示し、さらに、「関西電力は、地震モーメントに関連するパラメータを保守的に設定していることが認められる」などとして、原子力規制委の判断等に不合理な点は認められないとしました。
記事からは、何故「上乗せをする必要があるか否かを検討すべきことを意味するものとはいえない」のか全く不明です。
加えて「パラメータを保守的に設定」の意味も不明で、こんな曖昧な文学的表現を使うべきではありません。
二審判決は関西電力を救済しようとする意志だけが目立つものと言えます。
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大飯原発の設置許可巡る訴訟、国側が逆転勝訴 大阪高裁判決
日経新聞 2026年5月28日
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)は安全性を欠くとして、同県などの住民が国による原子炉設置許可の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁(川畑正文裁判長)は28日、許可取り消しを認めない判決を言い渡した。
2020年の一審・大阪地裁判決は許可取り消しを命じた。二審は国側の逆転勝訴となった。
裁判では主に、原発の耐震設計の目安となる「基準地震動」の妥当性や原子力規制委員会の審査のあり方が争われた。
関電は過去の地震規模の平均値などから基準地震動を設定した。一審判決は関電が平均値から外れるデータの「ばらつき」を考慮せず、規制委は地震規模の数値を上乗せする必要があるかを検討していないと批判した。
川畑裁判長は判決理由で、関電が基準地震動の算出根拠となる地震規模のデータを保守的に設定することで、ばらつきは考慮されていると指摘した。
規制委の審査については「現在の科学技術水準に照らし、具体的な審査基準に適合するとした判断に過誤、欠落があるとは認められない」と結論づけた。
二審判決を受けて規制委は「東京電力福島第1原発事故の反省と教訓に基づく新規制基準への審査を厳正に進める」とコメントした。
関電は「主張を理解してもらった結果と考える。引き続き安全性・信頼性の向上に努め、原発の運転に万全を期す」とした。
大飯原発3、4号機は福島第1原発事故後に運転を停止。新規制基準による審査を経て運転を再開した。3号機は現在稼働中。定期検査で停止していた4号機は6月に運転を再開する。
原発逆転判決はなぜ?『ばらつき条項』で判断分かれた 大飯原発の設置許可めぐる控訴審で国が逆転勝訴
毎日放送 2026/5/28
原告ら「ウソです」「焦点外し」
福井県の大飯原発3、4号機の設置許可をめぐる控訴審。大阪高裁の28日の判決は住民側の逆転敗訴となった。判決後の会見で、原告らは「非常に残念な結果になりました、きわめて不当な判決と言わざるを得ない」などと述べ、上告するかについては検討中とした。
判断を詳しく見ていく。
■規制委「適合性審査を厳正に進めていく」
原子力規制委は判決を受け、「引き続き、東京電力福島第一原発事故の反省と教訓に基づいて、策定された新規制基準への適合性審査を厳正に進めていく」とコメント。
関西電力は、「大阪地裁での敗訴判決、国が控訴して以降、訴訟参加人として控訴審において原判決を取り消していただくため、大飯発電所3、4号機の安全性が確保されていることを裁判所にご理解いただけるよう真摯に対応してきた」「判決は、国および当社の主張を裁判所にご理解いただいた結果と考えている」とコメントした。
■一審「過誤、欠落がある」と指摘
一審判決で大阪地裁は、大飯原発の設置許可を取り消した。原子力規制委員会の判断の過程などについて「過誤、欠落がある」と指摘したのだ。いっぽう控訴審判決は、「看過し難い過誤、欠落があるとは認められない」と逆の判断を示した。
一審と二審では、地震の大きさを想定する際の、「ばらつき条項」について判断が分かれた。
■「ばらつき条項」って?
控訴審判決は、一審判決についてこう述べる。「地震動審査ガイドには、経験式が有するばらつきを検証して、経験式によって算出される平均値に、何らかの上乗せをする必要があるか否かを検討すべきとの定め(=ばらつき条項)がある」
「経験式の適用に当たって一定の補正をする必要があるか否かを検討しないなどの点に、看過し難い過誤、欠落があると判断した」
■二審「関西電力はパラメータを保守的に設定している」
大阪高裁の判決は、「ばらつき条項の文言や、議論等を考慮すると、同条項は経験式によって算出される数値に何らかの上乗せをする必要があるか否かを検討すべきことを意味するものとはいえない。」との判断を示した。
判決はさらに、「経験式の有するばらつきについての考慮は必要であり、主要なパラメータを保守的に設定することにより考慮することが必要と考えられる。参加人(関西電力)は、地震モーメントに関連するパラメータを保守的に設定していることが認められる」などとして、原子力規制委の判断等に不合理な点は認められないとした。
■原告ら「焦点を外して逃げ切っている」
原告らは判決を受けて会見し、「ばらつきの考慮を、不確かさを保守的にすることでできているというのはウソです」「不確かさをとって、それだから良いんだ、というのは、まったく焦点を外して逃げ切っている」などと批判。
上告については、「6月に入って、全国の弁護団と検討した上で決めたいので、今の段階では検討中」と述べている。