2023年7月5日水曜日

05- 市民団体が高浜原発再稼働中止・美浜原発運転停止の要望書提出 ほか

  使用済み燃料を巡関電は福井県に対し、今年末までに中間貯蔵施設の県外候補地を確定すると約束し、確定できなければ県内の運転開始から40年超が経過した原発の運転停止を表明していました。

 関電の森望社長6月12 杉本知事と面会して使用済み燃料200トンを再処理のためフランスへ搬出することは中間貯蔵と同等の意義があり、約束はひとまず果たされた」と伝えました。所管大臣の西村康稔経済産業相も同月19日、杉本知事に関電の主張を追認する姿勢を示しました。
 それに対して原発に反対する市民団体は4日、使用済み燃料200トンをフランスへ搬出することを中間貯蔵と同等と説明していることについて、関電が約束した2千トン規模の中間貯蔵施設の県外候補地提示には当たらない」として、7~9月に予定している高浜原発1、2号機の再稼働中止と、運転中の美浜原発3号機の停止を関電に求める要望書を高浜町に提出しました。
 3日の福井県議会本会議では関電の言い分を「詭弁だ」との批判が出た一方、「一歩前進」と評価する意見もありました。杉本達治知事ら県側は、6日以降に県内の原発立地自治体の首長から意見を聴取することを明らかにしました。
 使用済み核燃料200トンの対仏搬出が、中間貯蔵施設の県外設置に相当するという主張にはさすがに無理があります。
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市民団体が再稼働中止要望 福井・高浜町に中間貯蔵で
                             共同通信 2023/7/4
 原発に反対する市民団体は4日、7~9月に予定している関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の再稼働中止と、運転中の美浜原発3号機(同県美浜町)の停止を関電に求めるよう要請する要望書を高浜町に提出した。関電が原発の使用済み燃料200トンをフランスへ搬出する計画を中間貯蔵と同等と説明していることについて、関電が約束した2千トン規模の中間貯蔵施設の県外候補地提示には当たらないことを理由としている。

 要望書を出したのは4団体。「ふるさとを守る高浜・おおいの会」の東山幸弘代表(76)は「中間貯蔵の計画地点を確定する約束は守られていない。私たちの意見を県にも伝えてほしい」と話した。
 要望書を出したのは4団体。「ふるさとを守る高浜・おおいの会」の東山幸弘代表(76)は「中間貯蔵の計画地点を確定する約束は守られていない。私たちの意見を県にも伝えてほしい」と話した。


「詭弁」「一歩前進」 関電の使用済み核燃料搬出、福井県議会で賛否
                             産経新聞 2023/7/3
関西電力が高浜原子力発電所(福井県高浜町)から取り出した使用済み核燃料をフランスに向けて搬出する計画で、関電と国が「(使用済み燃料の)中間貯蔵と同等の意義」と説明していることについて、3日の同県議会本会議の一般質問では「詭弁(きべん)だ」との批判が出た一方、「一歩前進」と評価する意見もあった。杉本達治知事ら県側は、6日以降に県内の原発立地自治体の首長から意見を聴取することを明らかにした。

一般質問では、原発が立地する大飯郡選出の田中宏典(ひろみち)議員が「関電の説明は理解しにくい」としつつ、「十分ではないとは思うが、(使用済み燃料を処理して再利用する)核燃料サイクルを推進していくということでは一歩前進」と評価した。
さらに「核燃料サイクルが順調に進んでいれば中間貯蔵は必要ない。立地自治体としてすべきことは、動き出した原発を止めることではなく、核燃料サイクルが確実に進むよう協力していくことだ」と指摘した。

これに対し杉本知事は青森県六ケ所村で建設が進む日本原燃の使用済み燃料の再処理工場に言及し、「中間貯蔵問題は再処理工場が完成していないことが大きな原因で、早期の完成に向けて政府全体として取り組むことが必要。県としても必要なことは直言していきたい」と答弁した。
さらに桜本宏副知事が「国と関電の説明は分かりにくく具体性に乏しいので、国に再度回答を求めている」と説明。県内で原発が立地する敦賀市、美浜町で6日、おおい町、高浜町で10日にそれぞれ首長から直接意見を聞く予定を明らかにし、「これらの意見のほか、国の再回答、県議会の意見を十分に聞いたうえで総合的に判断したい」と述べた。

一方、原発の立地しない越前市・今立郡・南条郡選出の細川かをり議員は「関電による子供だましにもならない詭弁を国は追認している」と厳しい口調で非難。原発の安全確保について県の取り組みが不十分と指摘し、「福井が原発を動かしたいという前のめりな印象を与えてはならない」と訴えた。
使用済み燃料を巡っては、関電は県に対し、今年末までに中間貯蔵施設の県外候補地を確定すると約束し、確定できなければ県内の運転開始から40年超が経過した原発の運転停止を表明していた。
今年6月12日、関電の森望(のぞむ)社長が杉本知事と面会してフランスへの搬出計画を説明、「中間貯蔵と同等の意義があり、約束はひとまず果たされた」と伝えた。西村康稔経済産業相も同月19日、杉本知事に関電の主張を追認する姿勢を示した。(牛島要平)


「ボールは国に」と福井県知事 関西電力の使用済み燃料仏搬出
                             産経新聞 2023/7/4
関西電力が高浜原子力発電所(福井県高浜町)から取り出した使用済み核燃料をフランスに向けて搬出する計画で、関電と国が「(使用済み燃料の)中間貯蔵と同等の意義」と説明していることについて4日、前日に続き行われた同県議会本会議の一般質問では、「問題の先送り」などと疑念が示された。杉本達治知事は「ボールは国に返っている」として、県が求めている国からの再回答を重視する姿勢を強調した。
一般質問では、三田村輝士(てるし)議員が「このままでは中間貯蔵の問題が先送りになるばかりか解決しないまま進み、県の発言力が低下してしまう」と懸念を示し、「『(関電などの)理屈は受け入れられず、中間貯蔵の計画地点を明示してほしい』とはっきりいうべきではないか」と迫った。
これに対して杉本知事は「国と関電の説明は分かりにくく具体性に乏しいので、国に再度回答を求めている。(令和3年10月に閣議決定された)国の第6次エネルギー基本計画でも、使用済み燃料対策は国が前面に立って主体的に対応することとされている」と述べ、国の再回答や立地自治体、県議会の議論を聞いて最終判断すると語った。
使用済み燃料を巡っては、関電は3年2月に県に対し、今年末までに中間貯蔵施設の県外候補地を確定すると約束し、確定できなければ県内の運転開始から40年超が経過した原発の運転停止を表明している。
関電の森望(のぞむ)社長は今年6月12日、杉本知事にフランスへの搬出計画について伝えて「約束はひとまず果たされた」との認識を示し、同月19日に西村康稔経済産業相も追認していた。(牛島要平)