2024年10月30日水曜日

広島県原水禁が女川原発再稼働に抗議 12月 島根原発2号機再稼働に対しても

 宮城県の女川原発2号機が29日、再稼働する予定となっていることに対して広島の平和公園で広島県原水禁のメンバーなど42人が慰霊碑の前に座り込んで再稼働に抗議しました。
 中国電力は12月上旬に島根原発2号機を再稼働する予定で、県原水禁は抗議を続けるとしています。
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女川原発再稼働に広島県原水禁が抗議 12月上旬に島根原発2号機を再稼働予定 広島
                        広島テレビ放送 2024/10/29
宮城県の女川原発2号機が29日、再稼働する予定となっていることに対して広島で抗議活動が行われました。
平和公園では広島県原水禁のメンバーなど42人が慰霊碑の前に座り込んで再稼働に抗議しました。
宮城県の女川原発2号機について、東北電力は29日 午後8時頃までに再稼働させる予定です。東日本大震災の被害が大きかったエリアでは、初めての再稼働となります。
参加者は、「核と人類は共存できない」として、原発に依存しないエネルギー政策を訴えました。

■広島県原水禁 木原省治 常任理事
福島原発事故の原因も何も明らかになっていない状況なので、本当有り得ないと思ってます。選挙が終わるのを待って再稼働に踏み切るっていうのは、非常にけしからんことだと思ってます」

一方、中国電力は、12月上旬に島根原発2号機を再稼働する予定で、県原水禁は、抗議を続けるとしています 

女川原子力発電所2号機 29日午後7時 再稼働

 東北電力は29日午後7時過ぎ、13年半ぶりに女川原発2号機を稼働させました。事故を起こした東京電力福島第一原発と同型の沸騰水型原発としては、全国初の再稼働です。
 女川原発2号機は20年に再稼働に向けた原子力規制委員会の審査に合格し、24年5月に安全対策工事を完了させました。

 宮城県女川町では小屋取漁港や原発の入り口などで29日、地元住民ら約30人が参加し抗議活動を行いました。
 女川原発2号機の再稼働について宮城県民からは、「割と仙台は地震が多いので。ああいう事故が無いとも限らない」「感情面では心配な面はありますね。説明は逐一責任として果たしていって欲しい」「本当に残念。避難計画にしたって全部机上のプランで実効性はありません」「特に半島部が心配、原発の先端の方にも居住地域がある。複合的な災害があっちこっちで起きている」などの声が上がりました。
 東北大学の青木聡子准教授は、地元住民が合意したようにも見える地元同意について、「首長と議会の判断で進められているが、果たしてそれで住民の意向が十分に汲み取れているのか」「将来的に原発に依存しない社会を目指すかどうかについて住民投票などを通じた合意形成が必要」と指摘しました
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女川原子力発電所2号機 29日午後7時ごろに再稼働へ
                        khb東日本放送 2024/10/29
 東北電力は29日午後7時ごろ、東日本大震災以来約13年半ぶりに女川原発2号機を稼働させる予定です。事故を起こした東京電力福島第一原発と同型の原発としては、全国初の再稼働です。
 女川原発2号機は東日本大震災で被災して運転を停止していましたが、2020年に再稼働に向けた原子力規制委員会の審査に合格し、2024年5月に安全対策工事を完了させ9月に原子炉に核燃料を入れる燃料装荷を行いました。
 そして東北電力は29日午後7時ごろ、核燃料の核分裂反応を抑えている制御棒を引き抜いて原子炉を起動し再稼働させる予定です。
 東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型原子炉の再稼働は初めてで、被災した原発としても初めてのことです。
 女川原発2号機は11月上旬には発電を、12月ごろには本格的に送電を始める営業運転を再開する予定です。

 東北電力は女川原発周辺の放射線量を計測してホームページ上で公開しているほか、原子炉の運転が安定するまでの期間中は作業の進行状況を毎日公開するとしています。

 女川原発2号機の再稼働について、宮城県民はどう思っているのでしょうか。仙台市や立地自治体で聞きました。
 仙台市民「福島のことがあるのでね、ああいったことがもし起きたら、割と仙台は地震が多いので。無いとも限らないですねああいう事故がね」
 「おそらくちゃんとプロセスを踏んでやっているんだろうから、容認するのが筋だと思いますけどね。ある程度必要なんじゃないですか」
 「理論とか根拠に基づいて安心ですよというアピールはあってそれもそうなんだろうなとは思うのですけど、感情面では心配な面はありますね。説明は逐一責任として果たしていって欲しいと思いますね」

 原発が立地する女川町と石巻市では。
 女川町民「賛成反対じゃなく早く稼働してもらえれば、町民の皆さんも安心して電気が来るから大丈夫だと思います」
 「本当に残念だと。避難計画にしたって全部机上のプランで実効性はありませんのでね」
 石巻市市民「特に半島部が心配、しかも原発の先端の方にも居住地域があるので。災害、有事の時に避難するっていうのは、複合的な災害があっちこっちで起きてるもんで」
 宮城県民の中には再稼働への賛否両方の声がありましたが、29日に原発周辺で抗議活動も行われました

 小笠原侑希記者
 女川原発から北に約1キロ、宮城県女川町の小屋取漁港です。女川原発が見えるこちらの場所や原発の入り口などで、市民団体が抗議活動を行いました。
 抗議活動には地元住民ら約30人が参加し、再稼働を中止するよう声を上げました。
 参加者「冗談じゃないと思っていますよ。福島の事故からまだ13年ですよ」「聞く耳が無いのかなって。市民国民県民の声は一切聞いていない」
 女川原発2号機では、2024年に入ってからも非常用設備が計画外に作動するなどのトラブルが度々起きました。
 重大事故が起きた際に円滑な避難ができるかという懸念もあり、不安を抱えている住民は少なくありません。

 能登半島地震では、至る所で道路が寸断されました。同じく半島部にある女川原発について、東北電力と国や自治体には再稼働後も徹底した情報公開に加え、最新の知見に基づいた避難対策の強化が求められます。
 避難対策の課題となっているのが、避難道路の整備です。
 牡鹿半島で整備中の大谷川浜小積浜道路は、女川原発のすぐ南にある大谷川浜地区から牡鹿半島の山を越えて半島の西側、小積浜地区へと抜ける道路です。
 この道路が完成すれば東西の行き来がこれまでより10分短縮されますが、完成は2027年度の予定です。
 女川町と石巻市の石巻女川インターチェンジを結ぶ国道398号石巻バイパスです。
 現在の女川と石巻を結ぶ幹線道路はカーブや勾配、大雨による冠水などが課題となっていて、石巻バイパスは円滑な避難のためにはなくてはならない道路です。
 しかし、軟弱な地盤であることなどを理由に道路の設計に時間がかかっていて、未開通の5.8キロの区間は着工の時期も決まっていません。
 このように未完成の避難道路もあり、地元住民には不安が残されています

 女川原発2号機の再稼働に当たり、宮城県と立地自治体は地元同意していますが、専門家は地元同意は不十分だったと指摘しています。再稼働を機に将来的に原発に依存しない社会を目指すかどうか、住民投票などを通じた合意形成が必要だとしています。
 女川原発2号機の再稼働をめぐっては、2020年に宮城県と女川町、石巻市が協議して再稼働に同意すると表明しました。
 村井宮城県知事は、経済産業大臣に対して地元同意が得られたと伝えました。

 ドイツの脱原発運動に詳しい東北大学の青木聡子准教授は、地元住民が合意したようにも見える地元同意ですが、地元の範囲や同意する主体は実は曖昧だとした上で、現在の地元同意は不十分だと指摘します。
 東北大学青木聡子准教授「福島の事故を見ても明らかなように、ひと度事故が起こればその影響は広く及ぶ。望ましい状態としては、立地自治体とか周辺自治体だけではなくてより広い範囲の自治体を地元として設定して、意思表示の主体にするのが妥当なのではないか。首長と議会の判断という事が仰がれてきたわけですけれども、果たしてそれでその住民の意向が十分に汲み取れているのか
 原発に関しては、今回の衆院選でも政治とカネや経済対策の陰に隠れ重要視される争点にはならず、再稼働に反対するデモも日本では大きな政治勢力にはなっていないと言います。
 青木准教授は、将来的に原発に依存しない社会を目指すかどうかについて住民投票などを通じた合意形成が必要だと強調します。
 東北大学青木聡子准教授「原発で発電した電力、多少リスクはあるけども経済活動のためにある程度は使う社会にするのか。色々工夫をして、原発からの電力を使わないような社会にするのか。そこを本来は徹底的に合意形成しておく。今からでも遅くはないと思うので、それは再稼働を機にやってもいいと思います」


宮城・女川原発2号機が再稼働
                        ABEMA TIMES 2024/10/29
 東北電力は午後7時、宮城県にある女川原発2号機の原子炉を起動し、再稼働させました。
 女川原発2号機は東日本大震災で被災し、運転を停止していましたが、東北電力は再稼働へ向け津波対策など安全対策工事を実施し、2020年には再稼働に向けた原子力規制委員会の審査に合格していました。
 全国ではこれまでに12基の原発が再稼働していますが、東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ「沸騰水型」は初めてのことです。
 東北電力によりますと女川原発2号機は11月上旬には発電を再開し、12月ごろには営業運転を再開する予定だということです。(ANNニュース)

美浜原発3号機、配管にコーティングのはがれ 23年にも確認

 美浜原発3号機の、ポンプなどの熱で温まった水を冷却する系統の配管の合流部に微小な穴が二つ見つかり原子炉が停止した問題で、29日、関西電力は配管内側のコーティングが剥がれていたと発表しました。同個所は前回23年の定期検査でもコーティングの剥がれがあり、別の素材で補修していました。
 コーティングではなくライニング等のより強度のある方法に変える必要がありそうです。
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美浜原発3号機、配管にコーティングのはがれ 2023年にも確認
                           毎日新聞 2024/10/29
 関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の補助建屋内の配管に微小な穴が二つ見つかり原子炉が停止した問題で、関電は29日、配管内側のコーティングが剥がれていたことを確認したと発表した。
 関電によると、配管はポンプなどの熱で温まった水を冷却する系統の一部で、内側には海水による腐食を防ぐコーティングが施されている。穴が見つかったのは配管合流部で、2023年の前回定期検査でもコーティングの剥がれがあり、別の素材で補修していた
 剥がれの原因は調査中。合流部は以前のコーティング素材に戻して新たな部品と交換する。【高橋隆輔】

30- 東京電力、デブリ採取再開 福島第1原発2号機

 東電は28日、中断していた福島第1原発2号機のデブリのサンプル取り出し作業を再開し、29日には鞘管3本を追加で接続し、デブリの採取ができる状態まで格納容器内に押し込む予定です。作業が順調に進めば、数日中にも採取に着手できるとみられます。
 回収後のデブリは原子炉建屋内に設置した設備で放射線量や重さを測定した後、茨城県大洗町の分析機関に運び込み、本格的取り出しに備えてデブリの性状などを詳細に調べる方針です。
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東京電力、デブリ採取再開 福島第1原発2号機
                          福島民友 2024/10/29
 東京電力は28日午前、中断していた福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業を約6週間ぶりに再開した。初日はデブリ取り出し装置の先端を原子炉格納容器内部に挿入。作業が順調に進んだことから、早ければ月内にもデブリに接触、回収できる可能性が出てきた。
 東電によると、作業は同日午前9時8分に再開した。パイプ2本を接続して取り出し装置を6.5メートルほど格納容器側へ動かし、先端が格納容器内0.9メートルの位置にまで到達した。
 東電は29日も取り出し装置の挿入を続け、押し込みに使うパイプ3本を追加で接続し、デブリの採取ができる状態まで格納容器内に押し込む予定という。デブリは装置の先端にある爪形の器具を格納容器底部に垂らし、3グラム以下を採取する
 作業が順調に進んだ場合は、早ければ数日中にも採取に着手できるとみられる。ただ、作業の中断は採取時に使用するカメラの不具合が要因で、現在も原因は特定できていないことから、順調に作業が進むかは不透明だ。

 回収後のデブリは原子炉建屋内に設置した設備で放射線量や重さを測定した後、茨城県大洗町の分析機関に運び込み、本格的取り出しに備えてデブリの性状などを詳細に調べる方針だ。 

2024年10月28日月曜日

柏崎刈羽原発の再稼働「反対」が「賛成」上回る・新潟日報社調査 「信を問う」方法は? 最多は「県民投票」

 新潟日報社は27日投開票の衆院選に合わせ、新潟県内の有権者を対象にインターネットを介した独自調査で、柏崎刈羽原発の再稼働への賛否を尋ねた質問では、「反対」など否定的な回答が46・5%で、「賛成」など肯定的回答の36・2%を上回りました。花角英世知事が再稼働問題で自身の判断を示し「県民に信を問う」としていることに関し、適当と考える手法を尋ねた質問では「県民投票」が57・3%と最多でした。

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[衆議院選挙2024・新潟]柏崎刈羽原発の再稼働「反対」が「賛成」上回る・新潟日報社調査
知事が「信を問う」方法は何が適当?最多は「県民投票」
                            新潟日報 2024/10/26
 新潟日報社は10月27日投開票の衆議院選挙(衆院選)に合わせ、新潟県内の有権者を対象にインターネットを介した独自調査を10月24日に行った。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働への賛否を尋ねた質問では、「反対」など否定的な回答が46・5%で、「賛成」など肯定的回答の36・2%を上回った=グラフ参照=。花角英世知事が再稼働問題で自身の判断を示し「県民に信を問う」としていることに関し、適当と考える手法を尋ねた質問では「県民投票」が57・3%と最も多かった

 調査は、無作為に選んだ新潟県内有権者の携帯電話にアクセスして回答を求めた。
 再稼働への賛否で最も多かったのは「反対」の25・1%。「どちらかといえば反対」は21・4%だった。一方、「どちらかといえば賛成」は2番目に多い22・7%、「賛成」は13・5%だった。このほか「分からない」が16・8%、無回答が0・6%だった。
 男女別では、男性が肯定的意見がやや多い一方、女性は否定的意見が強い傾向があった。
 また、選挙区別では新潟県内の全ての小選挙区で否定的な意見が肯定的意見を上回った。
【調査の方法】新潟日報社が10月24日、スマートフォンを対象としたインターネット調査「dサーベイ」で実施した。dサーベイは社会調査研究センター(さいたま市)がNTTドコモの協力を得て開発した調査方式。NTTドコモが運営するdポイントクラブのアンケートサービスを利用し、新潟県内在住会員から無作為抽出した18歳以上の対象者にメールで協力を依頼、5142人から回答を得た。

◆柏崎刈羽原発の再稼働の賛否、年代別・市町村別の傾向は?
 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題では、「地元同意
」が焦点となっている。花角英世知事は県民の意見を聞いた上で自らの判断を示し、「信を問う」とするが、時期や方法は明言していない。
 新潟日報社が10月24日に実施した独自調査では、...

      (有料記事のため以下は非公表 残り1002文字 全文:1582文字)

核燃料デブリの試験的な取り出し作業を再開 福島第一原発2号機

 東電は福島第1原発2号機で中断していた核燃料デブリの試験的な取り出し作業を28日午前9時過ぎに再開しました

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東京電力が核燃料デブリの試験的な取り出し作業を再開 福島第一原発2号機
                       福島中央テレビ 2024/10/28
東京電力は福島第一原発2号機で中断していた核燃料デブリの試験的な取り出し作業を10月28日午前9時8分に再開しました
東京電力は9月に福島第一原発2号機で燃料デブリの試験的な取り出しに着手しましたが、装置に付けたカメラ2台の映像が映らなくなるトラブルが発生しました。
原因調査やカメラの交換のため1カ月あまり作業を中断していましたが、東京電力は28日午前9時8分に格納容器につながる弁を開けて取り出し作業を再開したと発表しました。
28日は装置を押し込むパイプ5本のうち2本を接続し、装置先端を燃料デブリがある格納容器の内部へ進めて行く予定です。
燃料デブリの回収には2週間程度かかる見込みです。

島根原発2号機 安全対策工事が完了、28日「燃料装荷」開始

 中国電力は28日、島根原発2号機の再稼働に必要な安全対策工事が完了し、原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」が可能となりました。同日から作業を開始する見込みです。

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島根原発2号機 安全対策工事が完了、「燃料装荷」きょう28日開始 中国電力
                         山陰中央新報 2024/10/28
 中国電力は28日、島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働に必要な安全対策工事が完了したと発表した。原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」が可能となり、同日から作業を開始する見込みだ。中電は12月上旬の再稼働を目指している。
 新燃料148体と、継続して使用する燃料412体の計560体を燃料プールから原子炉に移す。この日、原子力規制委員会が燃料装荷を認める文書を交付した。
 島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地する。避難計画の策定が必要な30キロ圏に島根、鳥取両県の6市が入り、圏域人口は約45万人。2011年3月の東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型の再稼働は、今月29日に予定する東北電力女川原発2号機(宮城県)に続いて2例目になるとみられる。

28- 燃料利用量2割低減…中部電力が初開発、独自構造「水素バーナー」

 中部電力は500度Cの予熱空気を用いた場合でも窒素酸化物(NOx)の発生を抑え、燃料使用量を2割低減できる産業向けの水素バーナーを開発しまし部品交換をせず、都市ガスやLPガスの専焼、水素との混焼も可能です。水素の利用が本格化するとみる2020年代後半の販売を目指します。
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燃料利用量2割低減…中部電力が初開発、独自構造「水素バーナー」の性能
                        ニュースイッチ 2024/10/27
中部電力は産業向けの水素バーナーを開発した。自社開発の水素バーナーは初。独自のバーナー構造で、500度Cの予熱空気を用いた場合でも窒素酸化物(NOx)の発生を抑え、燃料の利用量を2割低減できることを確認した。バーナーの部品交換をせず、都市ガスやLPガスの専焼、水素との混焼も可能となる。試験機での定格出力は60キロワット。直接加熱式で、熱処理や乾燥などでの活用を見込む。価格も他社の混焼バーナーと同等に抑え、水素の利用が本格化するとみる2020年代後半の販売を目指す
開発したバーナーは2段燃焼方式を採用し、1段目では燃料と空気を混合させながら燃やす旋回燃焼をとる。水素は都市ガスと比べ火炎温度が高く、サーマルNOxの発生量が多くなる課題がある。このため燃料と空気の混ざり方を工夫し、火炎を維持させながらも局所的に高温になることを避け、NOxの生成を低減した。
2段目では1段目で燃焼したガスを混合させる。これにより酸素濃度を低くし、火炎の最高温度を低下させる。これら技術の活用で幅広い燃料に対応できるほか、燃料の使用量を低減するのに有効な排熱回収時でも、NOx排出量を規制値以下に抑えられた。

中部電力は22年ごろから同バーナーの開発を本格化させた。足元では社会実装に向け、共同で実証試験に取り組む工業炉メーカーやエンジニアリング会社を探索する。同社技術開発本部の三觜謙次先端技術ソリューショングループ長は「熱エネルギーの供給源としては、化石燃料は依然として多い。電気だけでなく熱分野でも、カーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)に向けて全方位で開発に取り組む」とする。 

2024年10月26日土曜日

現役原発で最古、高浜原発1号機の50年超運転を申請 関西電力

 関西電力は24日、運転開始50年を迎える高浜原発1号機について、来年6月以降の50年超運転に向けた手続きである「長期施設管理計画」を原子力規制委に認可申請しました。同機は現役の原発の中で最も古い原発です。
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廃炉除く国内原発で最古、高浜原発1号機の50年超運転を申請 関西電力が来年6月の新規制対応で
                           福井新聞 2024/10/25
 関西電力は10月24日、11月に運転開始50年を迎える高浜原発1号機(加圧水型軽水炉、出力82・6万キロワット)について、60年までの運転に必要になる「長期施設管理計画」を原子力規制委員会に認可申請した。原発の60年超運転が可能になる国の新制度導入に伴う新たな規制手続きの一環で、これで関電の稼働原発全7基の申請が終わった。
 高浜1号機は1974年11月14日に運転開始し、国内の廃炉を除く原発の中で最も古い。規制委は今月16日、現行制度での今後10年間の長期施設管理方針を反映した保安規定の変更を認可。新たな規制制度が施行される来年6月まで、国内で初めて50年超運転が可能となった。
 申請は来年6月以降の50年超運転に向けた手続き。新規制制度は、事業者が運転開始30年を超えて運転する場合、最長10年ごとに施設・設備の劣化状況の確認や対応方法などをまとめた長期施設管理計画を作成し、規制委の認可を得る必要がある。既に30年を超えて運転している原発は新制度開始までに認可を得なければならない。

 関電の県内原発では、大飯3、4号機が今年6月に国内で初めて同計画が認可され、40年までの運転が可能となった。

原子力規制委 泊原発3号機の再稼働審査 火砕流堆積物分布調査

  原子力規制委は泊原発3号機の再稼働の審査の一環として現地調査に入り、25日は火山などを専門とする委員らが火砕流堆積物分布調査などを行いました。

 ところで「火砕流堆積物分布調査」の意味ですが、13年7月に定められた火山条項は「火砕流が襲う可能性が明確に否定できない場合は『立地不適』とする」と強い表現になっているので、少量ならセーフということにはならないと思われます。
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国の原子力規制委員会が泊原発3号機の再稼働審査 火砕流堆積物分布調査
                     HTB北海道ニュース 2024/10/25
国の原子力規制委員会は、24日から泊原発3号機の再稼働の審査の一環として現地調査に入り、25日は火砕流堆積物分布調査などを行いました。
泊原発3号機の再稼働審査のため現地調査に入っているのは、原子力規制委員会の火山などを専門とする委員らです。24日は泊原発の敷地内や周辺の断層などを確認し、2日目の25日は、およそ11万年前に洞爺湖周辺で発生した巨大噴火による火砕流堆積物の分布調査やボーリングコアの観察が行われました
原子力規制委員会は10月4日の審査会合で、火山対策に関する北電の説明について「おおむね妥当」との評価をしています。
原子力規制委山岡耕春委員
「基本的に大事なところはクリアされたと思っている。現場で確認できることは確認したというのがきょうの成果」

福島第一原発燃料デブリ取り出し、28日再開へ 不具合カメラ交換済み

 カメラのトラブルで中断している福島第1原発の燃料デブリの試験的取り出しについて、東電は、28日から作業を再開することを明らかにしました。カメラの交換はすでに終えており、およそ2週間かけて燃料デブリを取り出す計画ですが、「作業期間は短縮される可能性がある」としています。
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燃料デブリ取り出し、28日再開へ 不具合のカメラ交換、最終確認完了 東京電力福島第一原発
                     TUFテレビユー福島 2024/10/25
カメラのトラブルで中断している福島第一原発の燃料デブリの試験的取り出しについて、東京電力は、28日から作業を再開することを明らかにしました。
福島第一原発2号機では、9月から、溶け落ちた核燃料=燃料デブリの取り出し作業が、装置先端についているカメラの不具合で中断しています。
東電はカメラの交換をすでに終えていて、25日、最終的な確認も完了したことから、28日から、取り出し作業を再開すると明らかにしました。
前回と同様、およそ2週間かけて燃料デブリを取り出す計画ですが、東電は「前回よりも作業の習熟度が上がっていることもあり、早まる可能性がある」としています。

26- 島根原発 テロ対策施設の設置申請合格を受け各自治体に報告 中国電力

 今年12月上旬に再稼働が予定されている島根原発2号機。計画が進められている特定重大事故の対処施設について、新規制基準に適合しているとして原子力規制委が正式に合格を決定したことを受け、25日、中国電力が島根県・鳥取県の各県庁に報告のため訪れました。
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【島根原発】鳥取県知事「いま一度、目を皿のようにして精査をしてみたい」 テロ対策施設の設置申請が正式に合格を受け、中国電力が各自治体に報告 島根県・鳥取県
                         日本海テレビ 2024/10/25
今年12月上旬に再稼働が予定されている島根原発2号機。計画が進められているテロなどの特定重大事故の対処施設について、新規制基準に適合しているとして原子力規制委員会が正式に合格を決定したことを受け、10月25日、中国電力が各自治体に報告のため訪れました
10月25日に島根県庁を訪れたのは、中国電力の北野立夫副社長です。原子力規制委員会が設けた原発の新規制基準では、テロなどに対応するための設備を備えた施設の設置を義務付けています。島根原発2号機では、原発本体の審査に合格してから5年以内となる2028年8月が設置の期限となっていて、設置できない場合は運転の停止を命じるとしています。

原子力規制委員会は23日に、この施設の計画が基準に適合しているとして正式に合格としました。中国電力は、島根県の丸山知事に対し施設などの設置計画の合格を報告し、安全協定に基づいて、事前了解を島根県に求めました。
島根県 丸山達也 知事
「安全協定に基づいて、同意できるものかどうかということについて、県議会関係、自治体、安全対策協議会、原子力安全顧問などの意見を伺った上で判断をしていきたい
一方、鳥取県でも10月25日に中国電力の関係者が平井知事に報告を行いました。
23日、島根原発2号機について重大事故や航空機テロなどに対応する「特定重大事故等対処施設」と、所内に常設する3つ目の予備電源設備を設置するための変更許可が原子力規制委員会から出たのを受け、中国電力が施設の内容などを説明しました。
鳥取県 平井伸治 知事
「技術的にどういうもので、それは是認しうるものなのか、これは専門家や米子・境港両市とも一緒になって、いま一度目を皿のようにして精査をしてみたい
鳥取県は今後も必要に応じて安全対策の申し入れなどを行っていくということです。

2024年10月23日水曜日

浜岡原発再稼働 衆院選候補 原発ごみ論戦に及び腰 「先送りせず語って」と有権者

 日本原燃の核燃料再処理工場は完成が遅れていて、浜岡原発の燃料冷却プールの貯蔵量は限度の87%に達しています。終盤戦を迎えた衆院選では再稼働の賛否を訴える候補者がいる一方で“原発ごみ”の処理問題に言及する候補者はいないため、有権者からは「原発のメリットだけ語って負の側面を見ようとしていない」、「ごみ問題を先送りせず、原子力政策をどう確立するのか考えを聞かせてほしい」などの声が上がっています。
 そういえば浜岡原発が震源地の中央に位置しているという批判はクリアされたのでしょうか
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【浜岡原発再稼働問題】衆院選候補 原発ごみ論戦及び腰 貯蔵プール近づく満杯 「先送りせず 原子力政策語って」
                      静岡新聞DIGITAL 2024/10/22
 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の再稼働問題を巡り、運転で発生した使用済み核燃料の処理が長年の課題になっている。日本原燃の核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)は完成が遅れ浜岡原発の燃料冷却プールの貯蔵容量も満杯に近づき、再稼働したとしても行き場を失った放射性廃棄物のさらなる蓄積が懸念されている。終盤戦を迎えた衆院選では再稼働の賛否を訴える候補者がいる一方、“原発ごみ”の処理問題に関する目立った論戦はほぼ交わされていない。有権者からは「ごみ問題を先送りせず、原子力政策をどう確立するのか考えを聞かせて」との声が上がる。

原発のメリットだけ語って負の側面を見ようとしていない」。衆院が解散された前日の8日夜、袋井市で開かれた静岡3区の立候補予定者らによる公開討論会。動画中継を視聴した御前崎市の子育て中の30代女性は嘆いた。原発再稼働の必要性や条件について主張が展開されたが、稼働後の課題には触れなかったからだ。女性は原発再稼働の必要性に一定の理解を示すも、「ごみ問題は将来世代に押しつけてはいけない」と指摘する。

 中電によると、使用済み核燃料は高熱を持ち放射能レベルが高いため貯蔵プールで冷却する必要がある。同原発には現在6542体を保管中で、貯蔵量割合は87%に上る。国は全国の各原発から出た使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを資源として取り出し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して再利用する「核燃料サイクル」政策を堅持する。だが、要となる再処理工場は建設着工から30年が経過しても完成していない。国は再処理工程で残った廃液をガラスで固めた高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定も急いでいるが、見通しは立ってない。
 中電は現状では原発再稼働が難しいため、余熱が下がった使用済み核燃料をプールから取り出し、空気の自然対流によって保管する「乾式貯蔵施設」を建てる計画を進める。プール空き容量を確保する狙いだが、市民からは「根本的な解決策になっていない」(80代男性)との声が出ている。候補者に対しては「再稼働とごみ問題はセットで語るべきだ」(別の30代女性)との注文が多い。
 使用済み燃料には核兵器にも転用できるプルトニウムが含まれ、大量保有には国際的な懸念も指摘されている。国内では原発再稼働が相次ぎ、浜岡原発3、4号機も原子力規制委員会による安全審査が進む中、問題解決への道筋をどのように付けるかが問われている。

福島第1原発5号機データを常時送信するシステムが22日未明から停止

 東電は22日、福島第一原発5号機の炉内の温度や圧力などのデータを原子力規制庁に常時送信する「緊急時対策支援システム(ERSS)」が、同日午前0時2分頃から停止していることを明かにしました。
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福島第一原発5号機データを常時送信する「緊急時対策支援システム」が未明から停止…メールやファクスで対応
                      読売新聞オンライン 2024/10/22
 東京電力は22日、福島第一原子力発電所5号機の炉内の温度や圧力などのデータを原子力規制庁に常時送信する「緊急時対策支援システム(ERSS)」が、同日午前0時2分頃から停止していると明らかにした。
  【動画】デブリ取り出し前の福島第一原発2号機を撮影

 同庁はERSSを通じ、原子炉や使用済み燃料プールなどのデータを監視しているが、ERSSの不具合によって伝送が中断しているという。東電は、送信方法をメールやファクスに切り替えて同庁に伝えている。不具合の原因は調査中。 

【図解】全国の原発の状況(再稼働、廃炉、停止中など)

 Yahoo!ニュースに同紙が原子力規制委員会の資料を基に制作した全国の原発の状況」が載りました。
 記事末尾の「【図解】全国の~ 」をクリックすると記事の原文にジャンプするので、そこに小さく掲載される分布地図をクリックすると拡大図が表示されます。
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【図解】全国の原発の状況(再稼働、廃炉、停止中など)
                        YAHOO PAGE 2024/10/21
資源エネルギー庁によると、2024年4月時点で、日本国内で再稼働している原発は12基(定期検査などで停止中も含む)です。
安全性の確保を最優先に、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の理解を得ながら、原子力発電所の再稼働を進めるとしています
全国の原発の状況を図解にまとめました。

※この記事、図解は経済産業省資源エネルギー庁、原子力規制委員会の資料を基にYahoo!ニュースが制作したものです。出典資料は「原子力発電所の現状」「2023―日本が抱えているエネルギー問題(後編)」「新規制基準適合性審査の進捗状況等について」

   【図解】全国の原発の状況(再稼働、廃炉、停止中など 

23- 原子力規制委 島根原発2号機へのテロ対策施設設置許可

 原子力規制委は23日の定例会合で、中国電力島根原発2号機でのテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」について議論し、設置する計画を許可しました。
 同施設は意図的な航空機衝突などのテロ攻撃を受けても原子炉の冷却・減圧ができる設備や、緊急時に使う制御室などで、新規制基準で設置が義務付けられています。
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島根原発テロ対策施設計画を議論 原子力規制委員会の定例会合
                           共同通信 2024/10/23
 原子力規制委員会は23日の定例会合で、中国電力島根原発2号機(松江市)でのテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の設置計画を許可するかどうか議論した。9月に計画が新規制基準に適合すると結論付けており、経済産業相と原子力委員会の意見も踏まえて最終判断する。
 中国電は島根2号機の再稼働を12月上旬に計画しているが、施設の設置前でも原発の運転は可能。ただし期限の2028年8月29日までに設置できなければ運転はできなくなる。
 施設は意図的な航空機衝突などのテロ攻撃を受けても原子炉の冷却・減圧ができる設備や、緊急時に使う制御室などで、新規制基準で設置が義務付けられている


島根原発2号機へのテロ対策施設設置許可
                           共同通信 2024/10/23
 原子力規制委員会は23日、中国電力島根原発2号機(松江市)にテロ対策の「特定重大事故等対処施設」を設置する計画を許可した。

2024年10月21日月曜日

原発・エネルギーに関する各党の政策・マニフェストについて

 レイバーネット日本に掲題の記事が載りました。
 環境運動団体「FoE Japan」サイトが、2024衆院総選挙>における原発・エネルギーに関する各党の政策・マニフェストについて一覧にまとめたものです。それをそっくりそのまま転載させていただきます
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【転載記事】<2024衆院総選挙>原発・エネルギーに関する各党の政策・マニフェストについて
                    レイバーネット日本 2024-10-19
黒鉄好です。
環境運動団体「FoE Japan」サイトが、2024衆院総選挙>における原発・エネルギーに関する各党の政策・マニフェストについて一覧にまとめた上で、解説もしてくれています。以下、ご紹介しますので、投票の参考にしてください。なお、私は原発を即時または一定の期限までに廃止するとの公約を持つ政党でなければ、投票するつもりはありません。






<衆院選2024>各党マニフェストを比較してみました【原発・エネルギー編】(FoE Japan公式サイト)
https://foejapan.org/issue/staffblog/2024/10/18/staffblog-20830/ 
投票日を10月27日に控えた衆議院議員選挙。「原発・エネルギー」に関して各党のマニフェストを比較してみました。
・自民 再稼働を進める/次世代革新炉の建設/核燃料サイクル推進
・立憲 2050年までのできるだけ早い時期に原発ゼロ/新増設は行わない/原発に頼らない地域経済の確立
・維新 早期再稼働/審査の効率化/民間の責任を有限化/甲状腺検査の縮小
・公明 再稼働を認める/将来的に脱原発 (新増設については記載なし)
・共産 2030年度に原発ゼロ/新増設は認めない/核燃料サイクルからは直ちに撤退
・国民 早期再稼働/審査の効率化/次世代革新炉の開発・建設
・れいわ 即時廃止/「廃炉ニューディール」で立地自治体の「公正な移行」を実現する
・社民 2030年までに原発ゼロ/汚染水の海洋放出の中止/被災者・避難者の十分な生活保障
・参政 既存原発の活用/次世代原発の推進
<自民党>
総じて、政府の従来方針の通りで、石破色が打ち出されているわけではないようです。
脱炭素・エネルギーの項目で「徹底した省エネ・再エネの最大限の導入、原子力の活用」をかかげ、脱炭素分野に150兆円の官民投資を引き出すとしていますね。これは政府のGX基本方針と同じです。
原発に関しては「原子力規制委員会により厳しい安全性基準への適合が認められた原子力発電所については、再稼働を進めていく」としています。核燃料サイクル推進、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定を着実に進めるなども。また、「次世代革新炉の開発・建設に取り組む」としています。
火力については、「次世代化、高効率化、水素・アンモニアの混焼やCCUS、カーボンリサイクル等による脱炭素化に向けた取組みを加速度的に推進」としています。
電源ごとの2030年の数値目標などは見当たりません。
参照先:自民党 令和6年 政権公約 (jimin.jp) https://storage2.jimin.jp/pdf/pamphlet/202410_manifest.pdf 
<立憲民主党>
目標とする年限は明記されていませんが従来の原発ゼロ方針は維持し、省エネ・再エネなどについては、目標値も含め具体的に書き込まれたマニフェストになっています。
2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%及び2050年100%を目指し、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指す」としています。
また、省エネに関しては、2030年に最終エネルギー消費30%削減(2013年比)、2050年には同60%削減を目指す、2030年までに省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現するとしています。
「原子力発電所の新設・増設は行わず、全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指す」とし、核燃料サイクルの中止に向けた枠組み構築、原発に頼らない地域経済の確立やそのための支援について盛り込んでいます。
「東日本からの復興」の項目に原発事故被害者の支援について盛り込み、「子ども・被災者支援法」の下、福島県外避難者に対して、その生活実態を踏まえ、支援を継続・拡充するなどとしています。
参照先:立憲民主党 政策集2024「エネルギー」 – 立憲民主党 (cdp-japan.jp) https://cdp-japan.jp/visions/policies2024/24 
<維新>
総じて、原発に関しては前のめりの内容で、原子力事業者の利益を代弁するかのような記述が見受けられます。民間の責任の有限化、原発の国有化の検討、福島県の甲状腺検査の縮小、風評被害の解消などを打ち出しています。
「原子力規制委員会の審査の効率性を重視」しつつ規制委の許可を得た原発の「早期再稼働を進める」、「既存原発の運転期間の延長や次世代革新炉への建て替えを行う」、その際には「国・地方自治体・事業者の責任を法的に明確化」するなどとしています。
「民間の責任を有限化」「国有化も含めた国の責任ある対応の検討」などの文言も見受けられます。「民間の責任の有限化」というのは、現在の原子力損害賠償法では、万が一原発事故が起こった場合、たとえ被害額が巨額にのぼったとしても、原子力事業者がすべて賠償責任を負うとした「無限責任」「責任集中」の原則を見直すことを示唆しています。まあ、現在も福島原発事故の賠償や廃炉については、国や他の原子力事業者からの資金、電気代に上乗せされている託送料金の一部などが入っており、実際には原子力事業者の責任は曖昧にされていますが…。
原発事故対策では、被ばく影響の否定が目につきます。たとえば、福島県で事故当時18歳以下であった人たちに対して行われている甲状腺検査を「希望者のみとする」と縮小し、「過剰診断と風評による負の影響を無くす」としています。ちなみに、現在、甲状腺検査は対象者全員に案内は出されているようですが、実際に検査を受けるのは希望者のみです。原発事故と甲状腺がんは関係はないという見解を打ち出していますが、一方で、原発事故後、甲状腺がんが多く発生していることは事実であり、これを「過剰診断」によるものとすることに対しては、さまざまな反論が示されています。こうした点は考慮されているのか疑問です。
参照先:マニフェスト全文 | 衆院選2024 (o-ishin.jp)  エネルギーは135以降 https://o-ishin.jp/shuin2024/manifest/all.html 
<公明党>
「原子力規制委員会が策定した世界で最も厳しい水準の基準を満たした上で、地元の理解を得た原子炉の再稼働を認めます」とする一方、「可能な限り原発依存度を低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会をめざします」という路線を維持しているところが、自民党との違いです。原発の新増設については書いていません。その他はほぼ同じように見えます。
再エネに関しては、「最大限の導入」を打ち出し、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力等の技術開発、全国規模での 系統整備、蓄電池の導入加速化等を盛り込んでいます。2030年の電源構成などについては触れられていません。
参照先:manifesto2024.pdf (komei.or.jp) https://www.komei.or.jp/special/shuin50/manifesto/manifesto2024.pdf 
<共産党>
岸田政権のもとで進められた原発回帰政策を批判し、「再稼働させず、新増設も輸出も認めない」としています。また、核燃料サイクルはすでに破綻していると指摘し、「原発・核燃料サイクルからただちに撤退する」としています。
原発事故対応としては、汚染水の海洋放出の中止、広く英知を集めた汚染水対策や廃炉、被害実態に見合った賠償指針の見直しと全面賠償などを訴えています。
また、省エネと再エネの組み合わせで、2030年度に CO2排出50~60%削減(2010年度比)という目標を掲げています。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなう、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとするなどとしています。一方、近年、電力需要拡大の理由の一つとして言われているデータセンターについて、再エネ電力利用、立地をできるだけ寒冷地域に、省エネの徹底などが求められているとしています。
参照先:日本共産党の政策│日本共産党中央委員会 (jcp.or.jp) https://www.jcp.or.jp/web_policy/ 
<国民民主党>
原発推進姿勢が鮮明です。
原発はエネルギー安全保障に寄与するとして、地元同意を得た原子力発電所は早期に稼働させる、次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉、浮体式原子力発電など次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新増設を含む)を進める、などとしています。
また、原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊によるミサイル迎撃態勢や部隊の配備などを可能とする法整備を行うとしています。
電力自由化については、「全面自由化が国民や経済・社会にとって真に有益な施策となっているかの検証が必要」としています。2030年代には電源構成比で再エネ比率が40%以上としつつも、再エネ賦課金については、必要な見直しを行うとしています。
参照先:政策各論2. 自分の国は自分で守る | 国民民主党 第50回衆議院議員総選挙 特設サイト (new-kokumin.jp) https://election2024.new-kokumin.jp/policies/specifics/specifics2/#item2-4 
<れいわ新選組>
原発については即時廃止し、「廃炉ニューディール」で立地自治体の「公正な移行」を実現するとしています。福島第一原発の汚染水の海洋投棄の中止、被災者に対する医療費の無償化の継続・拡大を掲げています。
2030年に温室効果ガス排出量を70%以上削減、2050年までのできるだけ早い時期に脱炭素達成を目指す、屋根への太陽光パネル設置、地域の自然と暮らしと調和した分散型の再エネの促進、断熱基準の引き上げなど省エネルギ化と光熱費削減をすすめるなどとしています。
また、「官民合わせて10年間で200兆円をグリーン産業に投資し、250万人の地域分散型グリーン雇用を創出する」としています。
参照先:2024 reiwa election manifesto (reiwa-shinsengumi.com) https://shu50.reiwa-shinsengumi.com/wp-content/themes/shu50reiwa/assets/pdf/reiwa_2024_election_manifest.pdf 
<社民党>
岸田政権のもとで進められた原発回帰政策を批判し、脱原発、老朽原発の稼働に反対、汚染水の海洋放出中止、被災者・避難者の十分な生活保障と被ばく管理などを掲げています
2030年の温室効果ガス削減を2013年比60%減、最終エネルギー消費削減を40%減、2030年の電源構成として、原発ゼロ、石炭火力ゼロ、再エネ50%としています(重点政策p.26)。
参照先:https://sdp.or.jp/2024-50-policy/#04 
<参政党>
公約で「脱炭素政策と行き過ぎた再エネ推進を見直す」としています。
「3つの重点政策」「新しい国づくり10の柱」には、既存原発・化石燃料の活用、安全な次世代原発の推進、再エネよりも脱炭素火力の推進、再エネ賦課金の見直しなどが盛り込まれています。
参照先:公約 | 第50回衆議院選挙-50th House of Representatives Election- 日本をなめるな! (sanseito.jp) https://www.sanseito.jp/50th_hore_policy/ 
公約は重要ですが、その根拠や背景にある考え方も重要ですね。また、言うまでもなく、選挙終了後、公約実現のために何をしたのかも…。みなさんはどの政党を選びますか?
(満田夏花)