原発事故時の5~30キロ圏内の住民が行う「屋内退避」の運用を見直す原子力規制委員会の検討チームが18日、中間取りまとめ案を示しましたが、肝心の家屋倒壊などで屋内退避自体が困難なケースの検証は対象外となっています。
能登半島地震では住宅の損壊が顕著で、「屋内退避」ができないケースが多くあったことから、屋内退避自体が可能なのかを検証する筈でしたが、山中伸介委員長は記者会見で、自然災害と原子力災害が同時に起き、屋内退避自体が困難な複合災害の議論は「範疇外」と説明しました。
大地震や豪雪時には原発事故は起きないというのであれば別ですが、原発の重大事故は、逆に地震等 自然災害時にこそ起きやすくなるので、「そのケースは除外する」というのでは話になりません。
もともと原子力規制委は、新規制基準から わざわざ原発の国際安全基準=深層防護第5層(⇒住民避難)を除外するなど、当初から「避難」問題には関わりたくないという姿勢が顕著でした。もしもここで話が止まるのであれば、再稼働の話もこの段階で中止するしかありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「屋内退避困難」検証せず…原子力規制委員会検討チーム10月18日中間まとめ 地元懸念と依然ずれ
新潟日報 2024/10/18
原発事故が起きた際に周辺住民が行う「屋内退避」の運用を見直す原子力規制委員会の検討チームが10月18日、中間取りまとめ案を示す。しかし、家屋倒壊などで屋内退避自体が困難なケースの検証は対象外となっている。実際に倒壊が起きた1月の能登半島地震後、東京電力柏崎刈羽原発など原発周辺地域から上がる懸念とは、ずれが生じたまま議論が続いた格好だ。
「能登半島地震では屋内退避自体ができないケースがあった。宮城県も半島を抱えており、地元で不安の声が上がっている」。原発立地地域の担当者らが集まった4月の第1回会合で、東北電力女川原発が立地する宮城県の職員がこう話した。議論を期待した発言だったが、それ以上深まることはなかった。
なぜ議論が進展しないのか-。答えは2月の規制委の定例会合にさかのぼる。
この会合で規制委は、原発から半径5〜30キロ圏の避難準備区域(UPZ)の住民が事故時に屋内退避する有効性を改めて検討。屋内退避の原則を含む「原子力災害対策指針(原災指針)」について、基本方針の変更は不要と判断した。
山中伸介委員長は会合後の記者会見で、自然災害と原子力災害が同時に起き、屋内退避自体が困難な複合災害の議論は「(規制委の)範疇(はんちゅう)外」と説明。...
(有料記事のため以下は非公表 残り415文字 全文:943文字)