時事通信が、今期で引退を決めた菅直人元首相に、首相時代の対応についてどのように判断しているかを聞きました。
震災直後に福島原発や東電本社を訪問したことについては、事態を把握し対応を取るうえで非常に効果的だったと述べました。現場は忙しい最中だったので迷惑だったようですが、本社は海水による冷却に当初反対するなど切実感が希薄だったようなので、有効だったと判断できます。
在任中に消費税増税を口にして選挙で大敗したことは今でも反省していると述べました。
野党連携について最初から排除する発想を持たないというのも正しい判断です。
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原発事故、対応間違っていない 立民・菅直人元首相 引退議員に聞く
時事通信 2024/10/11
―44年の政治家人生を振り返って。
精いっぱいやれることはやった。非常に印象に残っているのは、(1996年に厚相として取り組んだ)薬害エイズ問題や、(2011年に首相として対応した東日本大震災での)東京電力福島第1原発事故だ。私なりに必要なことができた。
【主な経歴】菅 直人(かん なおと)氏
―引退理由は。
基本的に年齢の問題だ。もう78歳。そういう時期かなと(思った)。
―震災直後に第1原発や東電本社を訪問したことには批判もあった。
間違っていなかったと思う。私の行動スタイルは現場主義的なところがある。事態を把握し、対応を取る上で、非常に効果的だった。関東地方が汚染され、住めなくなる最悪の事態を、そこまで拡大せず封じ込めた。危機を何とか回避できた。
―自民党政権で原発回帰の動きも。
原発ではなく再生可能エネルギーで必要な電力を供給できる。そういう方向に、今後の政権もしっかり取り組んでもらいたい。
―10年参院選の際、首相として消費税増税に言及し、民主党は大敗した。
あの時の発言が、やや私自身の思いを超えて受け止められた。今でも反省している。税の問題は、野党として政権をひっくり返す大きな政策的ポイントだから、しっかり取り組んでもらいたい。
―政権交代の機運をどう見るか。
引退する身だから、具体的にこうしろ、ああしろとアドバイスするのは言い過ぎだと思うが、今は日本の政治にとって非常に良くない状況だ。もう一度、政権交代を実現してもらいたい。政権交代が少なくとも何年かに1回は起きる形が民主主義の在り方として望ましい。
―自民党が派閥裏金事件で批判を受ける一方、立憲民主党の支持率はあまり上がっていない。
批判だけではなく、どうすべきかをもっと強く国民に訴える(べきだ)。今の自民党は結局、お金まみれだ。自民党の体質について、もっと厳しく、国民に分かりやすく指摘していく必要がある。
―野党連携を巡り、共産党との距離感をどう考えるか。
政策的に共通する部分と、やや違う部分があるから、それは区別しなければいけないが、私は最初から排除する発想はない。
―今後の活動は。
当面は自分の後継候補に議席を引き継ぐのが最大の仕事だ。
―今後の日本政治に求めることは。
もっと女性の政治家が増えるべきだ。男女比が五分五分ぐらいになってほしい。それが本来の民主主義における男女平等社会の姿だ。
◇菅 直人氏(かん・なおと)東工大卒。厚相、副総理兼財務相、首相。東京18区、当選14回。78歳。