原子力規制委員会の検討チームが、屋内退避を「解除」するタイミングについて、「放射性物質を含んだ空気のかたまりがその地域にとどまっていないことが確認される」ことを必要条件として、国がタイミングを判断して自治体に知らせるとする中間指針を公表しました。
自宅の備蓄で過ごせるのは3日間が限度であることがなどが背景にあり、「解除」後は状況により「避難」するか、そこで「日常生活に戻る」ことになります。
そもそも原発重大事故時に5~30キロ圏内住民が「自宅退避をする」というのは、一斉に避難を開始すると道路が大渋滞することを避けるための苦肉の策でした。しかし当初懸念された通り、実際には自宅が損壊するので自宅では放射性物質の侵入を防げないケースが多発することが、元日の能登半島地震で確認されました。
今回の中間的方針はそれに対する答えにはなっていませんが、自宅退避を解消するタイミングを明確にすること自体は必要なことです。
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原発事故時「放射性物質が大気中に滞留していないこと」が確認できれば屋内退避の“解除”も 原子力規制委員会が中間とりまとめ
BSN新潟放送 2024/10/18
国が原則としている原発事故時の「屋内退避」について、原子力規制委員会の検討チームは放射性物質が大気中に滞留していないことが確認できた場合、「屋内退避を解除できる」などとする考えを中間報告で取りまとめました。
【原子力規制庁担当者】
「屋内退避はプルーム通過中の被ばく低減のために実施すべきものであり、プルームが滞留していないことが確認できれば、屋内退避の必要がなくなり、国が屋内退避の解除を判断することになる」
原子力発電所事故時の「屋内退避」の運用について、原子力規制委員会の検討チームは18日、中間的なとりまとめを公表しました。
「屋内退避」とは、原発事故時、住民らが被ばくを避けるためにとれる措置で、国は原発の半径5キロから30キロ圏内に住む人は、自宅などに留まることを原則としています。ただ、能登半島地震では、石川県の志賀原発周辺の地域で住宅の倒壊が相次ぎ、屋内退避が困難となり運用方法が見直されることになりました。
検討チームは18日の中間まとめで、屋内退避の開始時期や対象範囲について、「原子炉の冷却機能が喪失するなどの全面緊急事態になった場合、原発の半径30キロ圏内全域で実施する」とこれまで通りの考えを提示。屋内退避の解除については「放射性物質が大気中に滞留していないことが確認できれば解除できる」と取りまとめました。
さらに、屋内退避の期間について原子力規制委員会の検討チームの担当者は「屋内退避の継続の可否の判断にあたっては、備蓄により3日間は継続できることを1つの目安とし、食糧などの支援物資の供給などにより、それ以降も生活の維持が可能な状況であれば、さらに継続する場合もある」という方針を示しました。検討チームは、今年度中に最終的に考えをまとめる予定です。
屋内退避の継続は3日間が目安 原子力規制委が中間まとめ
共同通信 2024/10/18
原子力規制委員会は18日、原子力災害時の屋内退避の運用を検討する会合を開き、目安として3日間は退避を継続できる準備をすることや、対象区域では部分的な退避はせず一斉に実施することなど、中間まとめ案を提示し、了承された。退避に使う施設の倒壊や道路寸断対策には触れなかった。関係自治体の意見も聞き、来年3月までに報告書を取りまとめる。
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今年1月の能登半島地震で、北陸電力志賀原発(石川県)周辺で家屋の倒壊や道路の寸断が相次いだことを受けて検討を始めた。山中伸介委員長は2月の記者会見で「自然災害の防災はわれわれの範疇外」とし、家屋の耐震化や道路の寸断の対応は自治体側の課題との見解を示した。中間まとめには盛り込まなかった。
原子力災害対策指針では、原発から大量の放射性物質が放出される可能性が高い場合、原則5キロ圏内は避難、5~30キロ圏内は自宅や避難所に屋内退避するとしている。
中間まとめでは、退避開始後の3日間は自宅の備蓄物資を使い、必要なら国や自治体の支援を受けて退避を継続するとした。