2025年4月19日土曜日

19- 原発再稼働の是非問う県民投票条例案 新潟県議会 反対多数で否決

 柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例案の審議は、特別委員会での16~18日の審議を経て18日午後、県議会臨時会において裁決が行われ、条例案は反対36票、賛成16票で否決されました。
 18日午前には特別委員会が開かれて、法案の裁決が行われました。県議会議員全員が特別委員会の委員になっているため、賛成反対の内訳は本会議と同様でした。

 13年1月の県議会に引き続いて今回も、県民が原発再稼働について意思を表明する機会が奪われたのは残念なことです。
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原発再稼働の是非問う県民投票条例案 特別委 反対多数で否決
                 NHK新潟 NEWS WEB 2025年04月18日
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票の条例案は県議会の特別委員会で反対多数で否決されました。
この結果、条例案は、午後に開かれる本会議でも否決される見通しとなりました。
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の条例案を審議している県議会の臨時会は18日最終日を迎え、午前は特別委員会が開かれました。
この中で、最大会派の自民党の議員は「再稼働の是非について賛成または反対の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない。原発の再稼働問題は、高度な専門知識を有する極めて複雑なテーマであり、県民投票の対象としてふさわしくない」などと述べ、反対する考えを示しました。
野党系会派の「未来にいがた」の議員は「国が再稼働への地元理解を求めるなどかつてない状況において県民の関心が高まるのは当然で、知事が県民の意思を確認する方法を明らかにしない以上、県民投票を求める声は妥当だ」などと述べ、賛成する考えを示しました。
続いて採決が行われ、条例案は自民党などの反対多数で否決されました。
この結果、条例案は午後に開かれる本会議でも否決される見通しとなりました。
一方、野党系会派の「未来にいがた」や「リベラル新潟」は、本会議で、花角知事が条例案の「知事意見」で指摘した、県民投票を執行する際の選挙事務に関わる文言などを見直した修正案を共同で提出することにしています


原発再稼働の是非問う県民投票条例案 反対多数で否決
                 NHK新潟 NEWS WEB 2025年04月18日
新潟県議会の臨時会は18日最終日を迎え、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票の条例案は、反対多数で否決されました
これにより、条例案による県民投票は、行われないことになりました。
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の条例案を審議している新潟県議会の臨時会は18日最終日を迎え、午後からは本会議が開かれました。

はじめに、18日午前に行われた特別委員会で条例案が反対多数で否決されたと報告されました。
次に、「知事意見」を受けて、野党系会派の「未来にいがた」と「リベラル新潟」が共同で提出した、県民投票を執行する際の選挙事務に関わる文言などを見直した修正案についての趣旨弁明が行われました。
このあと討論が行われ、最大会派の自民党は「原発再稼働の是非の県民投票という手段はあまりにも多くの総合的な判断が必要で、一般有権者の判断を超える。政策判断は専門的な立場による意思決定がなければ、責任も安全も、公平性も保てない」と述べ、反対の考えを示しました。
これに対し、野党系会派の「未来にいがた」は「住民投票は、間接民主主義を補完するものとして意義があり、広く県民の意思を確認することになる。知事が県民の意思を確認する方法を明らかにしない以上、県民投票の実施を求めることは妥当だと考える」と述べ、賛成の考えを示しました。
このあと採決が行われ、修正案は反対36票、賛成16票と自民党などの反対多数で否決されました。
そして条例案の原案も反対36票、賛成16票と、自民党などの反対多数で否決されました。
これにより、この条例案による県民投票は行われないことになりました。

東京電力が目指す柏崎刈羽原発の再稼働をめぐっては地元の同意が焦点になっていて、新潟県の花角知事は、安全対策や事故の際の避難計画などを踏まえた上で、是非を判断する考えを示しています。

【市民団体「引き続き声を上げていく」】
署名を提出した新潟県内の市民団体、「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」の事務局の吉田裕史さんは本会議のあと記者団に対し、「原発に対する不安がある中で、県民の意思を表示したいという声を受けて署名を集めてきた。3日間の審議の中で『二者択一では多様な県民の意見の把握はできない』と言われたが、返す言葉もなく否決され、非常に不安が残っている。引き続き声を上げていきたい」と述べました。

【花角知事「丁寧に議論進める」】
柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる県民投票の条例案が否決されたことについて、花角知事は本会議のあと記者団に対し「特に所感はありません」と述べました。
その上で自身の判断について、「県民の関心が高まってきている。丁寧に議論を進めてどこかの段階で判断し、結論を出したい」と述べました。
また、県民の意思を確認する方法については、まだ決めてるものはないとした上で、「私は7年間、一貫して『信を問う方法が責任の取り方としては明確で重い』と述べてきている」と説明しました。

【自民党「真剣に慎重に質疑」】
条例案に反対した自民党の岩村幹事長は本会議のあと記者団に対し、「過去の事案の研究などもして極めて深く真剣に慎重に質疑をしたなかで結論が出たと思う」と述べました。
そのうえで、柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる今後の議論について「知事の答弁にもあったように『材料が出そろいつつある』ということだが、避難対策の不安がまだ解消されていない。緊急時対応などいくつか残っているところがあるので、そのあたりを見極めながら党としても議論を進めていく」と述べました。

【未来にいがた「手段得られず残念」】
条例案に賛成した野党系会派「未来にいがた」の大渕代表は、本会議のあと記者団に対し「知事が県民の意思を確認する方法として、県民投票条例が成立したり、そうでなくても具体的な手段が明らかになったりすればよかったが、いずれの結果も得られなかったのは残念だ」と述べました。
そのうえで、柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる今後の議論について「勇み足や見切り発車で強引な判断をすることがないようしっかりとした議論を行い、知事が判断したあと信を問う段階では県民投票や県知事選挙を行うのが筋だと問うていきたい」と述べました。

【リベラル新潟「非常に残念」】
条例案に賛成した野党系会派「リベラル新潟」の小泉幹事長は、本会議のあと記者団に対し「予測された結果ではあったものの、非常に残念だ」と述べました。
そのうえで、柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる今後の議論について「市民団体とはこれからも連携しながらどのようなことができるのか、一緒に考えていきたい。最終的な目標は県知事選挙だと考えており、花角知事の任期満了までの1年あまりで、どのような活動や議論ができるのか、会派として検討していきたい」と述べました。

【傍聴人から声あがる】
議会事務局によりますと、18日の本会議には213人の傍聴人が訪れました。
条例案が反対多数で否決され、臨時会が閉会すると、傍聴人からは「県民の声を聞け」とか「主権者は県民だ」といった声があがっていました。
また、18日午前の特別委員会では、傍聴席から不規則な発言をしたとして委員長から退場を命じられた傍聴者が応じず、議事が進行ができなくなったため、委員会が一時休憩するなど混乱する場面もありました。

【市民団体がコメント発表】
署名を提出した市民団体、「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」は条例案が否決されたことを受けてコメントを発表しました。
この中で、「14万3196人の県民の切実な願いが実を結ばず、原発再稼働に関する意思表示の機会が奪われ、その思いを明らかにするための具体的な方策も示されなかったことは、大変残念だ」としています。
その上で、「花角知事が県民の意向を把握する方法も示さず、『信を問う方法が最も重い』などと答弁しながら具体的な手法を明らかにしなかったのは、きわめて不誠実だ」と指摘しました。
そして、「知事は『多様な意見の把握』をあらためて約束した。県政への信頼を損ねることのないよう、その具体的方法を明らかにし、実施することを求める」としています。