2025年4月24日木曜日

<社説>原発投票否決/多様な民意反映できるか(神戸新聞)

 神戸新聞が柏崎刈羽原発の再稼働を巡る県民投票条例制定問題に関連して、「原発投票否決/多様な民意反映できるか」とする社説を出しました。
 社説は自民県議らが「再稼働問題は高度な専門知識を有する」、「電力供給の安定性など国家規模の課題と直結し、県民投票にふさわしくない」などと述べたことに対して、地域にとって重要な問題と捉えるからこそ、自治の主権者として県民自ら判断したいと求めたのであり、意思表明の機会を認めない理由としては疑問が残るとしました。
 また花角知事も条例案提出に際し「二者択一では、県民の多様な意見を把握できない」と慎重な意見を付けたことについて、これまで住民投票はいくつも実施されていて、議会と首長による間接民主主義を補完する役割を持つものであるのに対して、花角知事の見解にはその意義を尊重する姿勢が見えず、制度そのものの否定につながりかねないと批判しました。
 そして条例案否決を受け知事は「市町村長との意見交換や公聴会、意識調査を検討する」と述べたので、いつ、どのような手法で是非を判断するのか具体化すべきだと述べました。

 また新潟日報に「『住民投票より間接民主主義で』新潟経済同友会の吉田至夫・筆頭代表幹事が見解」とする記事が載りました。神戸新聞の社説はそのままそれに対する回答でもあります。併せて紹介します。
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<社説>原発投票否決/多様な民意反映できるか
                           神戸新聞 2025/4/24
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働の是非を問う県民投票条例案について、新潟県議会が反対多数で否決した。議長を除く県議52人のうち自民党と公明党など計36人が反対した。同原発の再稼働を巡る県民投票条例案の否決は2013年に続いて2度目だ。
 条例の制定は市民団体が署名を集め、花角(はなずみ)英世知事に直接請求した。法定数の約3万6千人分を上回る約14万3千人分で、有権者の8%に当たる。ところが自民県議は「再稼働問題は高度な専門知識を有する」として、「電力供給の安定性など国家規模の課題と直結し、県民投票にふさわしくない」と述べた。
 地域にとって重要な問題と捉えるからこそ、自治の主権者として県民自ら判断したいと求めたのではないのか。意思表明の機会を認めない理由としては疑問が残る。
 花角知事も条例案提出に際し「賛成、反対の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない」と慎重な意見を付けていた。
 だが、地域の将来を左右する住民投票は各地で実施されてきた。条例に基づく初の住民投票は1996年に新潟県巻町(現新潟市)であり、東北電力の原発建設に60%超が反対して計画は中止になった。米軍普天間飛行場(沖縄県)の名護市辺野古移設を巡る県民投票(2019年)「大阪都構想」の是非を問う2度の住民投票も実施されている。
 住民投票は、議会と首長による間接民主主義を補完する役割を持つとされる。花角知事の見解にはその意義を尊重する姿勢が見えず、制度そのものの否定につながりかねない。
 条例が請求された背景には、再稼働への地元同意が焦点となる中、知事が態度を明らかにしてこなかった経緯がある。条例案否決を受け、知事は「市町村長との意見交換や公聴会、意識調査を検討する」とした。いつ、どのような手法で是非を判断するのか、詳しく説明すべきだ。
 否決した県議会の責任も重い。東電福島第1原発の例が示すように、事故などがあれば、地元にとどまらず県外にも多大な影響を及ぼす。多様な民意を尊重した原発の論議を丁寧に進めなければならない
 柏崎刈羽原発は6、7号機が原子力規制委員会の再稼働審査に合格したものの、テロ対策施設の完成遅れなどの課題に直面している。万全の準備が整わず、再稼働ができても綱渡りの交互運転を強いられる。
 東電はこれまで社員の不正入室などの不祥事を繰り返してきた。トラブル隠しもあり、住民らの不信感は根強い。地元同意の行方にかかわらず、不都合な事実も含めて、あらゆる情報公開が求められる。


[柏崎刈羽原発・県民投票条例案否決]
「住民投票より間接民主主義で」新潟経済同友会の吉田至夫・筆頭代表幹事が見解
                            新潟日報 2025/4/24
 新潟経済同友会の吉田至夫筆頭代表幹事(新潟クボタ会長)は23日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案が県議会で否決されたことについて「エネルギーなど国家的な問題は住民投票で進めるよりも、幅広い意見を間接民主主義で議論した方が適当だ」との見解を示した
 柏崎刈羽原発再稼働巡る県民投票条例案、反対多数で否決
柏崎刈羽原発・県民投票条例案否決]県議52人の賛否一覧
 県庁で報道陣の取材に応じた吉田氏は「立地県がメリットを得られるようなやり方を工夫し、議論の環境を整えるのが重要だ」と指摘。柏崎刈羽原発の再稼働の是非に関しては...
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