福島民報が、福島原発事故によって発生した除染土壌について、霞が関の省庁の花壇などでも再生利用する方向で調整を進めているが、都心のごく一部ではなく、全国の国の出先機関の花壇、植え込みなども対象に加え、安全基準に合致する土壌の活用に職員総動員で理解を得ていくべきではないか との主張を掲げました。
国が安全と主張するのであればそうなりますが …
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【除染土壌再生利用】国の出先機関に広げて
福島民報 2025/5/24
東京電力福島第1原発事故によって発生した除染土壌について、政府は東京・霞が関の省庁の花壇などでも再生利用する方向で調整を進めている。先行事例を作り、停滞した現状の打破につなげる狙いがあるとみられるが、都心のごく一部に限られた取り組みが効果を生むかどうかは疑わしい。全国の国の出先機関も対象に加え、安全基準に合致する土壌の活用に職員総動員で理解を得ていくべきではないか。
石破茂首相は3月、参院予算委員会で首相官邸敷地内での除染土壌の再生利用に、「ぜひやりたい」と前向きな姿勢を示していた。今回明らかになった対応によって、周辺の省庁の花壇、植え込みなどにもエリアが広がる。基本方針に盛り込み、月内にも開かれる関係閣僚会議で決定する見通しという。これまでは、環境省などの鉢植えに使われるのにとどまっていた。
再生利用は、2045年3月を法定期限とする除染土壌の県外最終処分実現に向けた試金石となる。環境省は除染土壌のうち、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8千ベクレル以下は公共工事などに生かせるとする基準を設けた。飯舘村長泥地区の農地造成工事などで知見を積み上げてきたが、東京都や埼玉県など県外で計画された実証事業は住民の反発で頓挫している。中央官庁での率先利用は国民に理解を促す第一歩と言えるが、都庁や区役所といった身近な公共施設と比べ、都民が訪れて新たな試みを目にする機会は限られてしまう。
国土交通省は地方整備局、農林水産省は農政局など各地に出先機関を置き、都道府県ごとに下部組織が設けられている。除染土壌の再生利用を検討する関係閣僚会議が首相を除く全閣僚で構成されているのは、政府一丸で課題解決に当たる決意の表れとされる。ならば、それぞれの官庁が所管する末端の機関にまで号令を発し、各施設での本格的な利活用を検討するよう促してはどうか。都道府県、市町村にも協力を要請し、実践の幅を広げてもらいたい。
夏の参院選が迫っている。再生利用を含め除染土壌全体の将来的な扱いについて、各党は明確な方針を有権者に示すべきだろう。それは「福島復興」を誓う政治家の責務でもある。(菅野龍太)