新潟県が先に実施した柏崎原発事故時の放射能拡散シミュレーションで、「避難や一次移転を強いられる地域が出る」という結果になりました。
それについて研究者らによる『市民検証委員会』が23日、会見を開き、「放射性物質の放出が福島事故の実績の1万分の1で行われている」など、「シミュレーションの初期条件が過小になっている」、「UPZ(30km圏内)では被ばくしません。屋外にいても大丈夫です という結論だが、それは合理的見地から非常に問題があると言わざるを得ない」などと批判しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【柏崎刈羽原発】研究者らによる市民検証委「県シミュレーションは過小評価」異論唱える
UX新潟テレビ21 2025/5/23
独自に実施したシミュレーションの結果「県の想定でも避難や一次移転を強いられる地域が出る」
県が先週公表した柏崎刈羽原発での事故を想定した被ばくシミュレーションに対し、研究者らによる『市民検証委員会』が会見を開き「事故の想定が過小評価されている」と指摘しました。
【動画】【柏崎刈羽原発】研究者らによる市民検証委「県シミュレーションは過小評価」異論唱える【新潟】
市民検証委員会がまず指摘したのは、県のシミュレーションが福島第一原発の事故後に定められた新規制基準を前提にしている点です。
■県避難委員会・元委員 上岡直見氏
「県のシミュレーションは、(放射性物質の放出が)福島事故の実績の1万分の1で行われている。」
そのうえで、独自に実施したシミュレーションの結果を示し、「県の想定でも避難や一次移転を強いられる地域が出る」と異論を唱えました。
■県避難委員会・元委員 上岡直見氏
「(県の想定は)県民の理解・県民の安全安心に寄与する目的に照らして評価すると適切ではない。」
■県避難委員会・元副委員長 佐々木寛氏
「(県の想定は)ミスリードするというか、安全神話としか言いようのないような。着々と再稼働に向かっての結論が先にありきの検証。」
市民検証委員会は、今回の指摘を県側にも伝える方針です。
柏崎刈羽原発で相次いだテロ対策不備…東電社長「内部脅威への対応続ける」 市民団体は再稼働“議論材料”に疑問 新潟
NST新潟総合テレビ 2025/5/23
東京電力柏崎刈羽原発で相次いだテロ対策の不備に対する改善状況を評価する第三者委員会が開かれ、小早川智明社長は「内部脅威への対応を続ける」と説明しました。一方、地元の判断に向けたプロセスが進む中、市民団体からは疑問の声も上がっています。
■相次いだテロ対策不備…東電社長「内部脅威への対応続ける」
柏崎刈羽原発で開かれたのは、IDカードの不正使用など相次いだテロ対策上の不備に対する改善状況を評価する第三者委員会です。
現場からは原発構内でのセキュリティー意識の改善に向けた取り組み状況が説明された一方で…
【東京電力 小早川智明 社長】
「外から攻めてくるところに非常に強いプロテクトをしようという意識は強いが、中で働いている人は“当たり前に大丈夫だ”と思いがちなところがあるので」
小早川社長は原発構内の職員や作業員によるミスなどの“内部脅威”には引き続き注意していくと話しました。
【核物質防護事案に係る改善措置評価委員会 伊丹俊彦 委員長】
「安全やセキュリティーの確保というのは、終わりのない道なんだろうなというふうに思う。(現時点で)達成したという評価はまずないかなと思っている」
柏崎刈羽原発をめぐっては、7号機が技術的に再稼働できる状態となっているほか、6号機も6月に始まる燃料装荷に伴う検査が完了すると再稼働の準備が整います。
【東京電力 小早川智明 社長】
「6号機は準備途上にあるということなので、いまの段階では優先順位は7(号機)。地元のご理解ご判断の時期にもよるが、現場の安全を最優先にしながら稲垣所長と相談していきたい」
■市民団体は“県のシミュレーション結果”に疑問
再稼働に向け、地元同意が焦点となる中、慎重な対応を求める市民団体が5月23日、会見を開き、先週、県が公表した重大事故が発生した際の被ばく線量シミュレーションの結果について反発しました。
【環境経済研究所 上岡直見 代表】
「県のシミュレーションというのは、福島(事故の放射性放出量)実績の1万分の1で行われている」
【新潟国際情報大学 佐々木寛 教授】
「PAZ(5km圏内)では被ばくするけども、UPZ(30km圏内)では被ばくしませんと。屋外にいても大丈夫ですというのが県の被ばくシミュレーションの結論だが、それは非常に合理的見地から問題があると言わざるを得ない」
様々な動きが出ている原発再稼働の議論。
花角知事はその材料は揃ったとして県民の意見を見極めるプロセスに入っていて、判断の行方が注目されます。