2025年5月19日月曜日

柏崎原発事故時どの程度“被ばく”する可能性があるのか? 県が独自シミュレーション

 柏崎刈羽原発で重大事故が起きた場合に、住民はどの程度“被ばく”する可能性があるのかについて、新潟県がシミュレーション(試算)した結果を16日公開しました。

 国の基準では、事故が起きた場合などの緊急時に、被ばく線量が1週間に100ミリシーベルトを上回る場合には、避難や屋内退避が必要とされているのに対して、原発からの距離が5km圏内のエリア(PAZ)では、想定される6つのケースのうち、4つのケースで“100ミリシーベルト”を上回りました(新潟日報によれば1週間で最大380ミリシーベルトなど)
 因みに年間100ミリシーベルトの被曝をすれば明らかに健康上有害とされるので幼児や妊婦は特に被爆を避ける必要があります。また木造の建物での屋内退避時の被曝量は10〜23%低減できるということですが、家屋が一部損壊していれば数時間で外気と同じレベルになるものと思われます。
(追記 県の原子力安全対策課長は「屋内退避が正解と述べいまだに避難の問題点について具体的に捉えていない点は大いに問題です)
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どの程度“被ばく”する可能性があるのか?『柏崎刈羽原発』新潟県が独自の線量シミュレーション公表
                         BSN新潟放送 2025/5/16
東京電力の『柏崎刈羽原子力発電所』で重大事故が起きた場合に、住民はどの程度“被ばく”する可能性があるのか?
【写真を見る】どの程度“被ばく”する可能性があるのか?『柏崎刈羽原発』新潟県が独自の線量シミュレーション公表

新潟県が行った被ばく線量のシミュレーション結果が16日に明らかになりました。
【新潟県原子力安全対策課 金子信之課長】
「柏崎刈羽地区の気象条件を使って、原子力規制委員会と同じ条件でシミュレーションをした…」
シミュレーション対象としたのは、東電が今夏の再稼働を目指す「7号機」と、6月に燃料装填を予定する「6号機」です。
7号機単独事故の場合と、6・7号機が同時に事故を起こした場合とを想定し、それぞれで放射性物質が放出されるタイミングなどが異なる6つのケースで、シミュレーションを実施しました。
国の基準では、事故が起きた場合などの緊急時に、被ばく線量が1週間に100ミリシーベルトを上回る場合には、避難や屋内退避が必要とされています。
16日に発表された新潟県の『被ばく線量シミュレーション』によりますと、原子力施設からの距離が5km圏内のエリア(PAZ)では、想定される6つのケースのうち、4つのケースで“100ミリシーベルト”を上回ります

これについて新潟県では、放射性物質が放出される前にPAZでは避難などをすることになっているため、「基準を上回る被ばくは避けられる」としています。
一方で、原子力施設からの距離が5〜30km圏内(UPZ)では、最も厳しい状況として想定した“6号機と7号機で同時に事故が起きた場合”でも、避難の基準となる100ミリシーベルトは下回るということです。
また県は、木造の建物での屋内退避もシミュレーションしています。
この場合の被ばく線量は、10〜23%低減できるという結果でした。
こうしたシミュレーション結果について新潟県では、「屋内退避など県の避難計画の根拠として、県民の理解向上につなげたい」としています。

新潟県原子力安全対策課 金子信之課長
「特にUPZ(5〜30km圏内)では、『本当に屋内退避で大丈夫?』というところがあったと思う」
「県の避難計画通り行動してもらいたいが、その根拠としてシミュレーションしてみたら、『やはりその通り行動するのは理にかなっている』と、改めてこれを使って言いたい」

一方で今回のシミュレーションで新潟県は、原子炉の内圧を調整する“フィルターベント”が機能した場合を想定していて、2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故時と同じ想定でのシミュレーションは行っていません。
「福島と同じ放射性物質が出たらというイメージだが、原子力規制委員会でも、『そこまではならない』という新規制基準でプラントの安全を求めているので、その規制委員会の条件に則ってやるのが理にかなったやり方かなと…」
新潟県の花角英世知事は14日の定例会見で、このシミュレーション結果の公表をもって「これまでに認識していた判断材料は、ほぼ まとまる」と述べていました。
新潟県では、6月1日と7日に“県民説明会”が予定されていて、そこで県はこのシミュレーション結果の内容を周知したいとしており、今後は再稼働をめぐる動きが本格化していくとみられます。


事前避難で被ばく回避可能 柏崎原発事故想定、県が独自試算 新潟
                     時事通信 2025/5/16(金) 20:31配信
 新潟県は16日、東京電力柏崎刈羽原発で事故が起きた場合の被ばく線量のシミュレーションを公表した。
 原子力規制委員会が仮想の原発で行った試算を元に、原発の出力や構造、気象などを実際の条件に合わせて実施。原発から2.5キロ圏内で、国際原子力機関(IAEA)が定める避難・屋内退避の基準を超えるケースがあった。県の避難計画は、5キロ圏内で放射性物質放出前に避難や屋内退避を行うことにしており、「基準を上回る被ばくを避けることが見込まれる」としている。
 シミュレーションは、炉心が著しく損傷し、冷却機能や電源が喪失した状態で、7号機単独と6、7号機の同時事故を想定。東京電力福島第1原発事故を踏まえた重大事故対策が機能することを前提に、格納容器から放射性物質が漏えいした場合や、漏えいに加えて放射性物質を低減して排気する「フィルター付きベント」を使用した場合などを解析した。
 その結果、IAEAが定める避難や屋内退避の基準線量を超えるのは同原発から最大2.5キロ圏内、安定ヨウ素剤の服用基準を超えるのは最大4.5キロ圏内で、いずれも放射性物質の放出前に避難などの措置を取る5キロ圏内だった。

 屋内退避の効果も解析。木造家屋の場合、屋外に滞在する場合に比べ被ばく線量は10~23%低減したほか、鉄筋コンクリート造ではさらに低減が見込まれるとした。
 県はシミュレーション結果を通じ、県民に避難計画への理解を求めるとしている。