2025年5月22日木曜日

柏崎刈羽原発事故時の物資輸送、除雪作業…民間の協力依頼で「国が体制整備を」と市町村側が要望

 県内30市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の実務担当者会議が20日、新潟市中央区で開かれ、柏崎刈羽原発で事故が起きた際の避難対策について議論を交わし、市町村側からは、事故が起きた際の物資の輸送や除雪作業などを民間事業者が担うことについて、「国が前面に立って協力体制を整備してほしい」とする要望が相次ぎました。
 原発事故と大雪が重なった場合には、除雪や食料確保、医療の提供に民間事業者の協力が不可欠で、民間への協力要請で自治体に責任を負わせることがないよう、国の方針を示してほしいと訴えました。
 また燕市が「テロ対策施設が完成していないのに再稼働できるのか」とただしたのに対して、東電は「電源車などの重大事故対策設備が整っており、再稼働できると考える」と答えました。しかしテロ対策施設は別に電源供給だけの問題ではないので、安全上必要な施設が完成してない状態で稼働することは地域の安全上も許されません。
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柏崎刈羽原発事故時の物資輸送、除雪作業…民間の協力依頼「国が体制整備を」市町村側が要望
                            新潟日報 2025/5/21
新潟市で実務担当者会議
 県内30市町村でつくる「原子力安全対策に関する研究会」の実務担当者会議が20日、新潟市中央区で開かれ、東京電力柏崎刈羽原発で事故が起きた際の避難対策について議論を交わした。市町村側からは、事故が起きた際の物資の輸送や除雪作業などを民間事業者が担うことについて、「国が前面に立って協力体制を整備してほしい」とする要望が相次いだ
 会議には県、東電、原子力規制庁、内閣府の4者も出席。各機関が原発事故時の対応策などを説明した。
 事故時に被ばくを軽減する屋内退避を巡っては、原子力規制委員会の検討チームが3月に運用を見直す報告書をまとめ、屋内退避の指示が出ている間も、ライフラインの復旧や除雪などに当たる民間事業者の活動は継続できると明記した。
 この日の会合で、長岡市などは、原発事故と大雪が重なった場合には、除雪や食料確保、医療の提供に民間事業者の協力が不可欠だと強調。十日町市の担当者は「リスクが全くないと断言できない中で、(民間への協力要請で)自治体に責任を負わせることがないよう、国の方針を示してほしい」と訴えた。
 これに対し、内開府の担当者は「自治体任せではなく、内閣府として(団体に)出向いて説明するつもりがある」などと答えた。
 県は、16日に公表した柏崎刈羽原発で重大事故が起きた際の被ばく線量シミュレーションの結果を報告。原発から半径5~30キロ圈の避難準備区域(UPZ)でいずれも国際原子力機関(IEAE)の基準を下回ったと説明した。
 小千谷市の担当者は、シミュレーション結果では、県バス協会と県が結んだ協定の被ばく線量の上限を超えているエリアもあると指摘。「(避難バスが手配できるのか)住民は不安に感じると思う」と懸念を示した。


東京電力に不安の声、新潟県内の市町村 柏崎刈羽原発のテロ対策施設の完成延期などで
                            産経新聞 2025/5/20
再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の安全対策を確認する、県内全30市町村による研究会の実務担当者会議が20日、新潟市内で開かれ、同原発で事故が起きた際の対応などについて、国や県の担当者から説明を受けた。自治体からは、東電のテロ対策施設の完成延期などに不安の声が上がった。
会議には、長岡市や柏崎市など27市町村の担当者が参加。原子力規制庁や内閣府、県の担当者を合わせて約70人が出席した。
東電は今年2月、同原発のテロ対策施設について、延期を発表。6号機は令和13年9月、7号機は11年8月を工事完了時期とした。これについて、燕市は「テロ対策施設が完成していないのに再稼働できるのか」とただした。東電は「電源車などの重大事故対策設備が整っており、再稼働できると考える」と答えた
小千谷市などは「東電が突然延期を発表し、住民の間に不安が広がっている」と指摘。東電は陳謝した上で、「初めての大規模工事で、完成時期を見通すことが難しかった」とした。

長岡市は「6号機の燃料装荷を6月に控えているにもかかわらず、同原発でトラブルが相次ぐのは(組織が)緩んでいるからでは」とただした。東電は「不安を招くような事象を起こさないよう考えながらやっていく」と説明した。