原子力規制委の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)認可審査で、11月までの説明終了を目指す日本原燃の「全体計画」にずれが目立ち始めました。計画通り進まなければ、「2026年度中」と掲げる工場完成の時期に影響が及ぶ可能性もあります。
原燃は24年8月に、27回目となる完成延期を表明していました。
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再処理工場(青森県六ケ所村) 原燃の審査説明、計画にずれ 「11月終了は可能」
Web東奥日報 2025/5/19
原子力規制委員会の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)認可審査で、11月までの説明終了を目指す日本原燃の「全体計画」にずれが目立ち始めた。規制委に13日提示した資料で、今夏までに説明予定だった多くの審査項目を今秋へ先送り。原燃は「計画完了に遅れが生じているわけではない」とするが、11月終了は「もともと厳しい」(原子力規制庁幹部)との見方も。計画通り進まなければ、「2026年度中」と掲げる工場完成の時期に影響が及ぶ可能性もある。
原燃は24年8月、27回目となる完成延期の表明に伴い、規制委に対する審査説明の全体計画を公表。増田尚宏社長は、設計・工事計画の認可を26年3月までに得たいとした上で、「(認可に必要な)審査説明は25年11月まで」と明示した。その時期が約半年後に迫る。
3月の審査会合までは、10、11月に積み残す説明予定分は耐震関連の1項目のみだったが、13日提示の計画では約40項目に急増。期限と見込む11月中だけで約20項目に膨らんだ。先送り分には、内部火災や、配管の破損などで水があふれる「溢水(いっすい)」、薬品漏えいに対する防護設計、重大事故対策の設計などがある。
原燃はこれまでも、審査会合ごとに全体計画を微修正してきた。今回の見直しについて「8月に説明する項目が集中していたため、(9~11月に分散して)平準化を図ったもの」と取材に回答。ただ、秋にずらした項目には、当初計画で説明時期を4、5月までと想定していた分も含まれる。
火災や溢水などへの設計は対象機器が1万点前後と多く、適用範囲が工場全域に及ぶため、規制庁幹部は「時間を食って計画が少しずつ後ろ倒しになっているのではないか」とみる。
原燃は「(審査で)評価する物量は多数あるが、体制・要員を整え、11月までに説明が終了できるよう準備を進めていく」とした。全体計画はさらに見直しの検討を進め、20日の審査会合で最新版を示す見通し。