2025年4月28日月曜日

活断層・火山リスクが争点に 伊方原発訴訟の最終弁論、双方の主張が真っ向対立

 山口県の住民約170人が伊方原発3号機の運転差し止めを求めている民事裁判の最終弁論が25日、山口地裁岩国支部で行われ7年にわたる審理を終えました。

 この日の原告側の口頭弁論では「中央構造線は活断層であり四国電力はそれに対する地震動の評価を行っていない」と改めて主張しました。四国電力側は「中央構造線は100万年前から活動しておらず、地震や火山などの自然条件を適切に判断し安全対策を講じている」と反論しました。
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活断層・火山リスクが争点に 伊方原発訴訟の最終弁論、住民側と四国電力側の主張が真っ向対立
                         KRY山口放送 2025/4/25
山口県内の住民が四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを求めている民事裁判の最終弁論が25日、山口地裁岩国支部で行われ7年にわたる審理を終えました
この裁判は山口県内に住む約170人が、伊方原発3号機について安全性に欠けるなどとして運転の差し止めを求め、2017年に訴えを起こしたものです。原告側は県内の一部が伊方原発から30キロ圏内に入っているとし「事故があれば住民の生活に重大な被害が発生する」と主張。一方、四国電力側は訴えの棄却を求めています。
裁判では、これまで伊方原発の沖合に走る中央構造線が活断層であるかどうかや、阿蘇山など火山の噴火に対しての安全性が争点となっていました。
きょうの口頭弁論で原告側は「中央構造線は活断層であり四国電力はそれに対する地震動の評価を行っていない」と改めて主張。一方、四国電力側は「中央構造線は100万年前から活動しておらず、地震や火山などの自然条件を適切に判断し安全対策を講じている」と反論しました。
25日で裁判は結審し、7年あまりにわたる審理を終えました。判決は来年2月26日に言い渡されます。


伊方原発運転差し止め訴訟、山口地裁岩国支部で結審 来年2月判決
                        愛媛新聞 2025年4月26日
山口県の住民ら164人が四国電力伊方原発3号機(伊方町)の運転差し止めを求めた訴訟の第30回口頭弁論が25日、山口地裁岩国支部であり、結審した。判決は2026年2月26日。木村則夫原告団長(69)は集会で「陳述してきたことを司法が正直に受け止めてくれれば」と期待を寄せた。
 「伊方原発で過酷事故が起これば対岸の山口県も甚大な被害を受け人格権が侵害される」などとして17年に提訴。地震や火山噴火の想定の妥当性や、避難計画の必要性などで争っており、専門家らを証人尋問してきた。
 3月の松山地裁判決で、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると判断した場合は「求められる安全性を備えるといえる」と示されたことを受け、原告側は最終準備書面で「規制委の判断を安易に尊重してはならない」と主張した。
    (以下は会員専用記事のため非公開 残り361文字 全文:701文字)

除染土の再利用に理解を 環境省が福島県飯舘村長泥に広報施設開所

 福島第1原発事故に伴う除染土壌の再生利用事業の理解醸成へ、環境省が整備した広報施設「花の里 ながどろひろば)」が25日、飯舘村長泥地区に開所しました。
 開所式で杉岡誠村長は「工事が完了している第4工区で、地力回復や試験栽培など農の再生への取り組みを本格化していく」とあいさつ。長泥行政区の高橋正弘区長は「全国の多くの方々に訪れてもらい、再生事業に理解を深めてほしい」と話しました。
 環境省は長泥の施設などを通して情報発信をさらに強化するとしています。
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除染土の再利用に理解を 環境省が福島県飯舘村長泥に広報施設開所
                           福島民報 2025/04/26
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌の再生利用事業の理解醸成へ、環境省が整備した広報施設「花の里 ながどろ 環境再生情報ひろば(ながどろひろば)」は25日、福島県飯舘村長泥地区に開所した。26日から一般公開する。
 現地で開所式を行い、関係者がテープカットした。杉岡誠村長は「工事が完了している第4工区で、地力回復や試験栽培など農の再生への取り組みを本格化していく」とあいさつ。長泥行政区の高橋正弘区長は「全国の多くの方々に訪れてもらい、再生事業に理解を深めてほしい」と話した
 施設は鉄骨プレハブ造りで延べ床面積約100平方メートル。再生利用事業の概要や経緯のほか、村や地区の復興への歩みをパネルや映像で紹介している。隣接するビニールハウスは地区で栽培している花卉類を見学できる。開館時間は午前10時~午後4時。日、月曜と年末年始は休館。冬季は積雪状況に応じて閉める。トイレは通年開放する。

 国は中間貯蔵施設に保管中の除染土壌について、2045年3月までに県外で最終処分すると法律で定めている。一部は全国の公共工事などに再利用する方針だが、理解醸成は進んでいない。環境省は大熊町に設けた「中間貯蔵事業情報センター」や長泥の施設を通して情報発信をさらに強化するとしている。

四国電力 6月分の電気料金 小幅に値下がり 燃料価格下落で

 四国電力は25日、燃料価格が下がったことを受けて6月分の平均的な家庭の支払額は8587円となり、前の月と比べて52円値下がると発表しました。
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四国電力 6月分の電気料金 小幅に値下がり 燃料価格下落で
                        KSB瀬戸内海放送 2025/4/25
 四国電力は25日、6月分の電気料金の燃料費調整について発表しました。
 2025年3月の貿易統計が発表され、3カ月平均の燃料価格が1klあたり1300円下がりました。この影響で平均的な家庭の支払額は8587円となり、前の月と比べて52円値下がりします。

28- 泊原発3号機の審査合格、30日に議論

 原子力規制委は25日、泊原発3号機の安全対策が新規制基準に適合しているとする「審査書」の案を30日の定例会合で議論すると発表しまし

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泊原発3号機の審査合格、30日に議論
                           共同通信 2025/4/25
 原子力規制委員会は25日、北海道電力泊原発3号機の安全対策が新規制基準に適合しているとする「審査書」の案を30日の定例会合で議論すると発表した。了承されれば事実上の審査合格となる。

2025年4月24日木曜日

<社説>原発投票否決/多様な民意反映できるか(神戸新聞)

 神戸新聞が柏崎刈羽原発の再稼働を巡る県民投票条例制定問題に関連して、「原発投票否決/多様な民意反映できるか」とする社説を出しました。
 社説は自民県議らが「再稼働問題は高度な専門知識を有する」、「電力供給の安定性など国家規模の課題と直結し、県民投票にふさわしくない」などと述べたことに対して、地域にとって重要な問題と捉えるからこそ、自治の主権者として県民自ら判断したいと求めたのであり、意思表明の機会を認めない理由としては疑問が残るとしました。
 また花角知事も条例案提出に際し「二者択一では、県民の多様な意見を把握できない」と慎重な意見を付けたことについて、これまで住民投票はいくつも実施されていて、議会と首長による間接民主主義を補完する役割を持つものであるのに対して、花角知事の見解にはその意義を尊重する姿勢が見えず、制度そのものの否定につながりかねないと批判しました。
 そして条例案否決を受け知事は「市町村長との意見交換や公聴会、意識調査を検討する」と述べたので、いつ、どのような手法で是非を判断するのか具体化すべきだと述べました。

 また新潟日報に「『住民投票より間接民主主義で』新潟経済同友会の吉田至夫・筆頭代表幹事が見解」とする記事が載りました。神戸新聞の社説はそのままそれに対する回答でもあります。併せて紹介します。
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<社説>原発投票否決/多様な民意反映できるか
                           神戸新聞 2025/4/24
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働の是非を問う県民投票条例案について、新潟県議会が反対多数で否決した。議長を除く県議52人のうち自民党と公明党など計36人が反対した。同原発の再稼働を巡る県民投票条例案の否決は2013年に続いて2度目だ。
 条例の制定は市民団体が署名を集め、花角(はなずみ)英世知事に直接請求した。法定数の約3万6千人分を上回る約14万3千人分で、有権者の8%に当たる。ところが自民県議は「再稼働問題は高度な専門知識を有する」として、「電力供給の安定性など国家規模の課題と直結し、県民投票にふさわしくない」と述べた。
 地域にとって重要な問題と捉えるからこそ、自治の主権者として県民自ら判断したいと求めたのではないのか。意思表明の機会を認めない理由としては疑問が残る。
 花角知事も条例案提出に際し「賛成、反対の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない」と慎重な意見を付けていた。
 だが、地域の将来を左右する住民投票は各地で実施されてきた。条例に基づく初の住民投票は1996年に新潟県巻町(現新潟市)であり、東北電力の原発建設に60%超が反対して計画は中止になった。米軍普天間飛行場(沖縄県)の名護市辺野古移設を巡る県民投票(2019年)「大阪都構想」の是非を問う2度の住民投票も実施されている。
 住民投票は、議会と首長による間接民主主義を補完する役割を持つとされる。花角知事の見解にはその意義を尊重する姿勢が見えず、制度そのものの否定につながりかねない。
 条例が請求された背景には、再稼働への地元同意が焦点となる中、知事が態度を明らかにしてこなかった経緯がある。条例案否決を受け、知事は「市町村長との意見交換や公聴会、意識調査を検討する」とした。いつ、どのような手法で是非を判断するのか、詳しく説明すべきだ。
 否決した県議会の責任も重い。東電福島第1原発の例が示すように、事故などがあれば、地元にとどまらず県外にも多大な影響を及ぼす。多様な民意を尊重した原発の論議を丁寧に進めなければならない
 柏崎刈羽原発は6、7号機が原子力規制委員会の再稼働審査に合格したものの、テロ対策施設の完成遅れなどの課題に直面している。万全の準備が整わず、再稼働ができても綱渡りの交互運転を強いられる。
 東電はこれまで社員の不正入室などの不祥事を繰り返してきた。トラブル隠しもあり、住民らの不信感は根強い。地元同意の行方にかかわらず、不都合な事実も含めて、あらゆる情報公開が求められる。


[柏崎刈羽原発・県民投票条例案否決]
「住民投票より間接民主主義で」新潟経済同友会の吉田至夫・筆頭代表幹事が見解
                            新潟日報 2025/4/24
 新潟経済同友会の吉田至夫筆頭代表幹事(新潟クボタ会長)は23日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案が県議会で否決されたことについて「エネルギーなど国家的な問題は住民投票で進めるよりも、幅広い意見を間接民主主義で議論した方が適当だ」との見解を示した
 柏崎刈羽原発再稼働巡る県民投票条例案、反対多数で否決
柏崎刈羽原発・県民投票条例案否決]県議52人の賛否一覧
 県庁で報道陣の取材に応じた吉田氏は「立地県がメリットを得られるようなやり方を工夫し、議論の環境を整えるのが重要だ」と指摘。柏崎刈羽原発の再稼働の是非に関しては...
   (以下は会員専用記事のため非公開 残り529文字 全文:744文字)

廃止措置中の浜岡原発2号機 原子炉解体現場を公開

 中部電力は22日、廃止措置中の浜岡原発2号機の原子炉領域の解体現場を報道陣に公開しました。商業炉としては国内初です。国内では福島第1原発を除く18基の廃止が決定し、大量廃炉時代を迎える中 浜岡の廃炉作業はモデルケースになるとみられます。
 原子炉領域は〝原発の心臓部〟で核燃料が入っていた圧力容器そのものを撤去するため、作業時の被ばく防止など安全管理の徹底が求められています。
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廃止措置中の浜岡原発2号機 原子炉解体現場を公開 圧力容器の上ぶた、慎重に切断
                            静岡新聞 2025/4/23
 中部電力は22日、廃止措置中の浜岡原発2号機(御前崎市佐倉)で、商業炉としては国内初となる原子炉領域の解体現場を報道陣に公開した。全4段階の工程のうち第3段階にあたる原子炉領域の解体工程は3月に始まっていて、作業はこれから本格化する。国内では東京電力福島第1原発を除く18基の廃止決定が行われ、〝大量廃炉時代〟を迎える中で、浜岡の廃炉作業はモデルケースになるとみられる。
 「1日あたり5~6時間、安全に配慮して作業している」。こう話すのは、廃止措置工事課の担当者。2号機原子炉建屋では原子炉圧力容器の上ぶたが外され、放射線防護服を着た作業員が切断装置を操作していた。切断できる速度は1分でわずか1ミリ。装置は大型バンドソーと呼ばれ、帯状ののこぎりがゆっくり回転しながら金属製の設備を細断していく
 原子炉領域は〝原発の心臓部〟に該当する。核燃料が入っていた圧力容器そのものを撤去するため、作業時の被ばく防止など安全管理の徹底が求められているという。
 建屋内には至る所に、設備解体で出た解体撤去物が放射能汚染レベルごとに整然と並ぶ。廃止措置では1、2号機合わせて解体撤去物が約45万トン発生する見込みで、このうち2万トンは最終処分地が決まっていない低レベル放射性廃棄物だ。堀正義廃止措置専門部長は「処分地が決まるまでは1、2号機の建屋の中で厳重に管理しながら解体するしかない」と話す。

 浜岡原発の廃止措置は2009年度から始まったが、これからが難関。1号機も、年内に原子炉圧力容器の解体撤去に着手する見込みという。堀専門部長は「建設から廃炉までの原子炉サイクルをしっかり確立することがわれわれの使命」と話した。

北九州市沖に浮体式風力発電所 中国電などが運転開始

 中国電力やSMFLみらいパートナーズなど6社は22日、北九州市の響灘沖に浮体式洋上風力発電所1基を設置して、商用運転を開始しました。浮体式の商用化は長崎県五島沖にある施設に続き2基目で、浅い水深でも設置できる「鋼製バージ型」としての浮体は国内初です。

 風車は2枚羽、直径は100m、発電出力は3000キロワットで、1キロワット時当たり36円で九州電力送配電に全量販売します。
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水深浅くてもOK 北九州市沖に風力発電所、中国電などが運転開始
                            毎日新聞 2025/4/22
 中国電力やSMFLみらいパートナーズなど6社は22日、北九州市の響灘沖に浮体式洋上風力発電所1基を設置して、商用運転を開始したと発表した。海上に風車を浮かべる浮体式の商用化は長崎県五島沖にある施設に続き2基目で、浅い水深でも設置できる「鋼製バージ型」としての浮体は国内初という。
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、2014年に開発をスタート。19年から響灘沖で実証実験を進めてきた。昨春の実験終了を受け、研究企業がNEDOから設備一式を引き継ぎ、広島などに拠点を置く計6社で新会社「ひびきフローティングウィンドパワー合同会社」(HFWP)を設立し、商用運転に向け準備を進めてきた。
 沖合約15キロの海上(水深約55メートル)に設けられた設備は、2枚羽で、風車の直径は100メートル二酸化炭素(CO2)の削減量は年間3000トンを見込んでおり、発電出力は3000キロワット。発電した電力は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づき、1キロワット時当たり36円で九州電力送配電に全量販売する。
 商用稼働期間は20年を見込んでいるが、総事業費や6社の出資比率は非公開としている。

 HFWPの幹部は小倉北区で記者会見。6社を代表して発電関連事業を手掛ける「グローカル」(広島県呉市)の奥原誠次郎社長が「脱炭素社会への移行に向け、新たなチャレンジとして風力発電技術の獲得につなげていきたい」と説明した。同席した中国電力の高倉秀和執行役員は「洋上風力発電の知見を得て、脱炭素社会の実現に貢献する」と意欲をみせた。【橋本勝利】

24- 福島第1原発2号機 デブリ2回目採取完了

  東電は23日、福島第1原発2号機から2回目となる溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しを完了しました。採取したのは1回目より1~2メートル先の原子炉格納容器底部の中心付近にあるデブリで、大きさは7ミリ以下、重さは3グラム以下とみられます

 これはデブリ全量8・8トンに比べると余りにも微量で「取り出し」といえるのか躊躇するばかりです。
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デブリ2回目採取完了 福島第1原発2号機 知見生かし規模拡大へ
                           福島民報 2025/04/24
 東京電力は23日、福島第1原発2号機から2回目となる溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しが完了したと発表した。今回は昨年11月に完了した初回とは異なる場所から採取。デブリの成分や撮影した炉内の画像などのデータを大規模取り出しの工法の具体化など廃炉作業を新たな段階に進めるのに役立てる。2回の作業の知見を生かし、東電は広範囲での採取が可能となるロボットアームを2025(令和7)年度後半にも投入する。規模を拡大することで、早期取り出しへの道筋を付ける考えだ。

 東電によると、23日は午前9時ごろに作業を開始。作業員が装置を収納している構造物の側面扉を開けて、デブリの入った運搬容器を取り出した。容器ごとコンテナに入れて同日午前10時15分に2回目の採取作業が完了したと判断した。デブリは建屋内にある分析装置「グローブボックス」に運び込んだ。重さや放射線量などを測定する。
 デブリの性状や分布の情報量を増やすため、今回は原子炉格納容器の中心部に初回よりも1~2メートル近い場所から採取した。中心部の真上には溶け落ちる前の核燃料があった原子炉圧力容器などがあるが、詳しい状況やデブリの堆積の具合などは不明な点も多い。今後、日本原子力研究開発機構(JAEA)大洗原子力工学研究所(茨城県大洗町)に輸送し、調べることで炉内の詳細な状況の把握につながる可能性もある。また、カメラで確認できた中心部周辺の画像も改めて分析する。
 初回採取時は、装置を押し込むパイプの並び順を誤るなどトラブルが相次いだ。教訓を踏まえ、不具合を起こしたカメラを新品に取り換えた他、デブリ採取に携わる全作業員の手順確認などの訓練を徹底するなど対策を講じた。結果、目立ったトラブルはなく着手から9日での作業完了となった。東電は「1回目の改善策を反映し順調に作業を進められた」と作業を重ねる意義も強調した。

 今年度後半にも投入されるロボットアームは2月までに性能確認などの試験が完了している。現在、楢葉町の研究施設でモーターやケーブルの状態を確認する全体点検を実施中という。ロボットアームでは原子炉内の映像撮影などによる調査も行う。2回の取り出し作業で得られた知見を踏まえ、採取回数をいかに増やせるかが今後の鍵となりそうだ。
 政府と東電は2051年までに廃炉を終える目標に向け、2030年代初頭に3号機での本格的なデブリ取り出しを始める計画だ。林芳正官房長官は23日の会見で「本格的な取り出しに向けた検討など、今後の廃炉作業に一層の知見が得られることを期待している」と述べた。


福島第一原発2号機で2回目のデブリ取り出し成功…東京電力、3グラム以下を複数個
                            読売新聞 2025/4/23
 東京電力は23日、福島第一原子力発電所2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出しに成功した。デブリの回収は昨年11月以来、2回目となる。今回は1回目と異なる地点のデブリを採取しており、東電は複数のサンプルを比較分析して、原子炉内の状況把握などを進めたい考えだ。
【写真】デブリ取り出し2で使用された、爪が取り付けられた釣りざお式装置の先端部
東電によると、同日午前10時15分、原子炉の外にある金属製スペースでデブリを樹脂製の専用コンテナに収容し、試験的取り出しを完了させた。初歩的ミスなどで作業が2度中断した1回目の反省から、予行演習を約2週間実施するなど準備に万全を期してきた。
 今回のデブリは、「釣りざお式装置」の先端から垂らしたケーブルに取り付けた爪状の器具で17日につかんだ。装置を入れる長さや角度を変えることで、1回目より1~2メートル先の原子炉格納容器底部の中心付近にあるデブリを採取した。デブリの大きさは7ミリ以下、重さは3グラム以下とみられ、複数に分かれている。
 回収したデブリは今後、茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構の分析施設に運ばれる。東電は次回の試験的取り出しでは、より広範囲で動かせるロボットアームを導入する方針だ。
 2011年の福島第一原発事故では推計約880トンのデブリが発生し、その回収は廃炉の最難関とされる。政府と東電は51年までの廃炉完了を掲げている。

2025年4月21日月曜日

[柏崎刈羽原発・県民投票条例案否決]傍聴席から怒り、落胆…市民団体

 既報の通り18日の臨時新潟県議会では柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる県民投票条例の制定が否決され、傍聴席は怒りの声とため息が交錯しました。市民団体「県民投票で決める会」の代表者の一人 寺田恭子さんは、「県民の意思を表明する機会が失われてしまった。14万3196筆の署名数が軽んじられた」と批判しました。新潟日報が報じました。

 それとは別に臨時県議会開催前の15日、これまでに行われた2012年の静岡県浜岡原発の、2019年の宮城県女川原発の、また2013年の柏崎刈羽原発の、それぞれの再稼働を巡る住民投票のための条例制定の、直接請求の審議経過等に触れる記事をBSN新潟が出していますので併せて紹介します。
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[柏崎刈羽原発・県民投票条例案否決]傍聴席から怒り、落胆…市民団体
  14万3196筆の署名軽んじられている」飛び交うやじに進行止まる場面も
                         新潟日報 2025/4/19 10:30
 14万3千人超の思いは届かなかった。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案が新潟県議会で否決された18日、傍聴席は怒りの声とため息が交錯した。条例制定を直接請求した市民団体のメンバーは「これが県民のことを考える政治なのか」と落胆した。
柏崎刈羽原発再稼働巡る県民投票条例案、反対多数で否決
13年前の請求をリードした故・橋本桂子さんの夫「今回の活動も無駄ではない」

 市民団体「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」の請求代表者の一人、寺田恭子さん(24)=新潟市西区=は、傍聴席で採決を見届けた。「県民の意思を表明する機会が失われてしまった。14万3196筆の署名数が軽んじられ...
   (以下は会員専用記事のため非公開 残り1014文字 全文:1314文字)


柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる住民投票条例案を審議へ
   「唯一責任を持てるのは県民自身」 “全国初の住民投票”を行った
     元町長のメッセージ 新潟
                       BSN新潟放送 2025年4月15日
新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる県民投票の条例案が、16日から県議会で審議されます。これまでの経緯やポイントをまとめます。

『条例案の直接請求』が持つ意味
世界最大規模の原子力発電所、東京電力・柏崎刈羽原発。
福島第一原発事故を受けて2012年3月に6号機が停止してから13年にわたり、7つの原子炉全てが止まったままです。
この間、東電は6・7号機の再稼働を目指して安全対策工事などを進め、2024年6月、7号機が技術的に再稼働できる状態となりました。あとは“地元の同意”を待つばかりとなっています。

こうした中、2024年10月には…
「原発を動かすのに賛成の人が何人いたのか、反対の人が何人いたのか。そういったことが県知事に判断してもらう重要な材料になる」
「原発再稼働の是非を県民投票で決めてほしい」と市民団体が署名活動を始めました。

【県民投票で決める会 請求代表者 水内基成弁護士】
「(再稼働に)賛成でも反対でもそれはどちらでもいいと思うが、それを表明できることが民主主義にとって一番大事」

県民投票実施のための条例制定に向け、およそ2か月、県内各地で署名を呼びかけました。その結果…

黒崎貴之キャスター
「ずらりと並べられた段ボール、この中には県民投票条例制定を求める14万3000筆あまりの署名が収められています」
直接請求に必要な数のおよそ4倍の署名が集まり、3月27日に花角英世知事あてに提出されました。

条例案につける『知事の意見』
黒崎貴之キャスター
県政担当の横山風花記者とお伝えします。
原発を巡り、住民投票の実施を求めるこうした声は全国各地でこれまでも上がっていますよね。
横山風花記者
福島第一原発の事故の後、各地の議会で原発の再稼働や稼働延長を問う住民投票の条例案が提出されてきました。しかし、いずれも議会で否決されていて、住民投票は一度も実現していません。

条例案には、知事が自らの意見をつけて議会へ提出することになっていますが、その“知事意見”は様々でした。

例えば2012年、静岡県にある浜岡原発の再稼働を巡る住民投票では、当時の川勝平太知事は条例案の不備を指摘しながらも「賛意を表する」と明言しました。
一方で2019年、宮城県の村井嘉浩知事は「県民の多様な意思が正しく反映できない」などとして賛否は明言せず、さらに条例案に消極的な考えを示しました。
また、新潟県では12年前、当時の泉田裕彦知事が「修正意見をつけることは住民投票に反対であれば(修正の指摘は)しないということです」と述べ、投票を実施するうえでの課題など6項目について修正が必要と指摘。
賛否は明らかにしなかったものの、県民投票には一定の理解を示しました。

条例案に対する花角知事の“意見”は…
そして、今回の花角英世知事の意見はこうでした。
花角英世知事
県民がどういう受け止めをするのか、原発とどう向き合おうと考えているかを探ります、見極めていきますと申し上げている。その見極めるという段階において、住民投票というのはやはり課題がある。二者択一で得られる情報というのは限られてくる
これまでの多くの知事同様に賛否は明言しませんでした。そして県民投票そのものについて慎重な姿勢を示しました。

会見では「いずれ県民の意見を集約していくプロセスに入る」とし、公聴会や首長との意見交換などを検討していると説明。ただ、これまで繰り返してきた県民の「信を問う」という、その具体的な時期や方法はいまだ明らかにしていません。
黒崎貴之キャスター
花角知事の意見のポイントは「『賛成』『反対』の二者択一の選択肢では県民の多様な意見を把握できない」というものでしたね。
横山風花記者
花角知事は、再稼働に「絶対賛成」という人から「絶対反対」という人、さらにその間には悩んでいる人もいて賛否には「グラデーション」があるとしています。

強まる原発再稼働への“圧力”
黒崎貴之キャスター
県民投票に対する自らの賛否を明言しなかったという点では、12年前、当時の泉田知事と同じ意見ですね。
横山風花記者
はい、ただ12年前とは原発を取り巻く状況は前回と大きく異なっています。

資源エネルギー庁 村瀬佳史長官
「柏崎刈羽原発の再稼働は、東日本の電力供給上の脆弱性を補う観点から極めて重要だと考えています」
政府は“原発回帰”に舵を切り、同様の声は経済界からも。

経団連 十倉雅和会長
「最後は知事・県民のご判断になると思うが、それが一刻も早くなることを願っている」

経済同友会 新浪剛史代表幹事
「柏崎刈羽がもし再稼働できないとなると、日本の原子力は暗雲が立ち込める」


原発を巡る“条例に基づく全国初の住民投票” 旧巻町は…
黒崎貴之キャスター
経済界などからは「原発は国策だから県民投票はなじまない」という声も上がっていますが、過去に新潟県内では原発をめぐって条例に基づく全国初の住民投票が行われました。

新潟市の郊外に位置する旧巻町。
ここでの原発建設を是とするか、非とするか…町民が意思を示し判断されました。
当時の町長、笹口孝明さん77)は「1人1人が自分の意思で票を入れた。『町の将来、自分たち自身の将来を決めた』と満足感と誇りを持てた」と振り返ります。
東北電力が1971年に発表した巻原発の建設計画について、笹口さんら町民有志は町民の意思を確かめようと『住民投票を実行する会』を立ち上げました。
1996年1月の出直し町長選で、笹口さんは住民投票の実施を公約に掲げ、当選しました。
同年8月に行われた条例に基づく全国初の住民投票には、有権者のおよそ9割が投票し、結果は反対が60%。原発建設に「NO」を突きつけました

あれから28年。
16日から議論が始まる県民投票について、笹口さんは「実施すべき」だと断言します。

旧巻町長 笹口孝明さん
「たとえ国策だからと言っても自分たちの生命・健康・財産に関わることは自分たちが考えていい。『国策だから黙れ』『あなたたちの意見はいらないよ』と言う人は民主的な議論、考え方を停止させる」
人口3万人の町で実現した住民投票は、原発との向き合い方を今に問いかけます。

旧巻町長 笹口孝明さん
テーマは再稼働するかしないか、その中間なんてない。主権者である県民の意思を確認して、県民の意思に従って結論を出すべき

横山風花記者
笹口さんは「もし、議会で再稼働を決めたとして、万が一、原発事故が起きた時に知事も県議も責任を取れない。唯一、責任を持てるのは県民自身」だとしていて、再稼働に賛成でも反対でも「県民の意思に従って決めることが大切」と話していたのが印象的でした。

逆風の洋上風力の利益目標堅持 永沢・東電RP社長「今後の電力需要伸びる」と

 再生可能エネルギー事業を手がける東電RP社長の永沢昌氏は産経新聞の取材に応じ、長崎県西海市江島沖で洋上風力発電事業について2030年度の最終利益を200億円程度とする従来目標を堅持する方針を示しました。永沢氏は「今後の電力需要は伸びる。電源を総動員しないと足りなくなる」と強調しました。
 国は原発の見掛けのコストを低く偽装していますが、原発の新設には従来の少なくとも2,3倍の費用が掛かるので今後は再生可能エネルギーに掛けるしかありません。
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逆風の洋上風力の利益目標堅持 永沢・東電RP社長「今後の電力需要伸びる」
                           産経新聞 2025/4/18
再生可能エネルギー事業を手がける東京電力リニューアブルパワーの永沢昌社長は18日までに産経新聞の取材に応じ、資材の高騰などで事業環境が厳しくなっている洋上風力発電事業について、2030年度の最終利益を200億円程度とする従来目標を堅持する方針を示した。「かなり向かい風だが(200億円を)目指していることに変わりはない」と述べた。
永沢氏は政府のエネルギー基本計画で再エネ拡大の方針が打ち出されたことを踏まえ、「今後の電力需要は伸びる。電源を総動員しないと足りなくなる」と強調した。
同社は長崎県西海市江島沖で洋上風力の開発を進めている。事業環境の変化を受け、国も参入を後押しする各種支援を強化する方針で、永沢氏はすでに開発に着手した事業についても支援を求めた。

トランプ米政権の関税措置に関しては、水力発電事業を行っているベトナムなどの経済が悪化した場合、収益にも影響する可能性を指摘した。 

泊原発3号機再稼働に向け有識者会合開催 道民にわかりやすい説明をするため

 再稼働を目指す泊原発3号機について17日、札幌市内で開かれた原子力専門有識者会合では、再稼働を目指す泊原発の安全対策を道民にわかりやすく説明するため議論が交わされました。北電は2412月に原子力規制委で泊原発3号機の審査に対する説明を終了していて、規制委は事実上の合格を意味する「審査書案」を近く公表するものとみられます。
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泊原発3号機再稼働に向けて 有識者会合開催 道民にわかりやすい説明をするため 北海道
                       STVニュース北海道 2025/4/17
再稼働を目指す泊原発3号機について道民にわかりやすく説明するために、北海道電力や専門家らを交えた有識者会合が開かれました。
札幌市内で開かれた原子力専門有識者会合では、再稼働を目指す泊原発の安全対策を道民にわかりやすく説明するために、北電や専門家らを交えて議論が交わされました。
北電は4月17日、津波や重大事故などへの対応について説明を行い、専門家からは表現方法の見直しや計算方法の根拠に対する指摘がなされました。
北電は2024年12月に原子力規制委員会で泊原発3号機の審査に対する説明を終了していて、規制委は事実上の合格を意味する「審査書案」を近く公表するものとみられます。

21- 4月19日にも格納容器の外へ 福島の燃料デブリ・2回目の試験的取り出し

 東京電力・福島第一原発2号機で、ロボット17日に格納容器の底にある0.7gの燃料デブリをつかむことに成功し19日に格納容器の外へ出される見込みだということです
 燃料デブリの取り出し(全量は8トン以上)の終了までには気が遠くなるほどの年月がかかりそうです。
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4月19日にも格納容器の外へ 燃料デブリ・2回目の試験的取り出し作業
         《東京電力・福島第一原発》
                           福島テレビ 2025/4/18
東京電力・福島第一原発2号機で、4月17日に格納容器の底にある小石状の燃料デブリをつかんだロボット。
安定して運ぶことができるサイズの1粒だけをつかみ取って持ち上げられたあと、4月18日は格納容器の外の方に向かって回収のための「引き戻し」作業が行われた。
18日は格納容器の壁まであと90センチのところまで引き戻されたということで、19日にも格納容器の外へ出される計画だ。
2号機では2024年11月に事故後初めてとなる試験的取り出しが行われを採取。今回はこれよりも格納容器の中心近くで採取を行っていて、違った場所での燃料デブリの分布を知る手掛かりになることが期待されている。
福島第一原発には、あわせて880トンの燃料デブリが残ると推計されている。

2025年4月19日土曜日

19- 原発再稼働の是非問う県民投票条例案 新潟県議会 反対多数で否決

 柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例案の審議は、特別委員会での16~18日の審議を経て18日午後、県議会臨時会において裁決が行われ、条例案は反対36票、賛成16票で否決されました。
 18日午前には特別委員会が開かれて、法案の裁決が行われました。県議会議員全員が特別委員会の委員になっているため、賛成反対の内訳は本会議と同様でした。

 13年1月の県議会に引き続いて今回も、県民が原発再稼働について意思を表明する機会が奪われたのは残念なことです。
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原発再稼働の是非問う県民投票条例案 特別委 反対多数で否決
                 NHK新潟 NEWS WEB 2025年04月18日
東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票の条例案は県議会の特別委員会で反対多数で否決されました。
この結果、条例案は、午後に開かれる本会議でも否決される見通しとなりました。
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の条例案を審議している県議会の臨時会は18日最終日を迎え、午前は特別委員会が開かれました。
この中で、最大会派の自民党の議員は「再稼働の是非について賛成または反対の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない。原発の再稼働問題は、高度な専門知識を有する極めて複雑なテーマであり、県民投票の対象としてふさわしくない」などと述べ、反対する考えを示しました。
野党系会派の「未来にいがた」の議員は「国が再稼働への地元理解を求めるなどかつてない状況において県民の関心が高まるのは当然で、知事が県民の意思を確認する方法を明らかにしない以上、県民投票を求める声は妥当だ」などと述べ、賛成する考えを示しました。
続いて採決が行われ、条例案は自民党などの反対多数で否決されました。
この結果、条例案は午後に開かれる本会議でも否決される見通しとなりました。
一方、野党系会派の「未来にいがた」や「リベラル新潟」は、本会議で、花角知事が条例案の「知事意見」で指摘した、県民投票を執行する際の選挙事務に関わる文言などを見直した修正案を共同で提出することにしています


原発再稼働の是非問う県民投票条例案 反対多数で否決
                 NHK新潟 NEWS WEB 2025年04月18日
新潟県議会の臨時会は18日最終日を迎え、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を問う県民投票の条例案は、反対多数で否決されました
これにより、条例案による県民投票は、行われないことになりました。
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の条例案を審議している新潟県議会の臨時会は18日最終日を迎え、午後からは本会議が開かれました。

はじめに、18日午前に行われた特別委員会で条例案が反対多数で否決されたと報告されました。
次に、「知事意見」を受けて、野党系会派の「未来にいがた」と「リベラル新潟」が共同で提出した、県民投票を執行する際の選挙事務に関わる文言などを見直した修正案についての趣旨弁明が行われました。
このあと討論が行われ、最大会派の自民党は「原発再稼働の是非の県民投票という手段はあまりにも多くの総合的な判断が必要で、一般有権者の判断を超える。政策判断は専門的な立場による意思決定がなければ、責任も安全も、公平性も保てない」と述べ、反対の考えを示しました。
これに対し、野党系会派の「未来にいがた」は「住民投票は、間接民主主義を補完するものとして意義があり、広く県民の意思を確認することになる。知事が県民の意思を確認する方法を明らかにしない以上、県民投票の実施を求めることは妥当だと考える」と述べ、賛成の考えを示しました。
このあと採決が行われ、修正案は反対36票、賛成16票と自民党などの反対多数で否決されました。
そして条例案の原案も反対36票、賛成16票と、自民党などの反対多数で否決されました。
これにより、この条例案による県民投票は行われないことになりました。

東京電力が目指す柏崎刈羽原発の再稼働をめぐっては地元の同意が焦点になっていて、新潟県の花角知事は、安全対策や事故の際の避難計画などを踏まえた上で、是非を判断する考えを示しています。

【市民団体「引き続き声を上げていく」】
署名を提出した新潟県内の市民団体、「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」の事務局の吉田裕史さんは本会議のあと記者団に対し、「原発に対する不安がある中で、県民の意思を表示したいという声を受けて署名を集めてきた。3日間の審議の中で『二者択一では多様な県民の意見の把握はできない』と言われたが、返す言葉もなく否決され、非常に不安が残っている。引き続き声を上げていきたい」と述べました。

【花角知事「丁寧に議論進める」】
柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる県民投票の条例案が否決されたことについて、花角知事は本会議のあと記者団に対し「特に所感はありません」と述べました。
その上で自身の判断について、「県民の関心が高まってきている。丁寧に議論を進めてどこかの段階で判断し、結論を出したい」と述べました。
また、県民の意思を確認する方法については、まだ決めてるものはないとした上で、「私は7年間、一貫して『信を問う方法が責任の取り方としては明確で重い』と述べてきている」と説明しました。

【自民党「真剣に慎重に質疑」】
条例案に反対した自民党の岩村幹事長は本会議のあと記者団に対し、「過去の事案の研究などもして極めて深く真剣に慎重に質疑をしたなかで結論が出たと思う」と述べました。
そのうえで、柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる今後の議論について「知事の答弁にもあったように『材料が出そろいつつある』ということだが、避難対策の不安がまだ解消されていない。緊急時対応などいくつか残っているところがあるので、そのあたりを見極めながら党としても議論を進めていく」と述べました。

【未来にいがた「手段得られず残念」】
条例案に賛成した野党系会派「未来にいがた」の大渕代表は、本会議のあと記者団に対し「知事が県民の意思を確認する方法として、県民投票条例が成立したり、そうでなくても具体的な手段が明らかになったりすればよかったが、いずれの結果も得られなかったのは残念だ」と述べました。
そのうえで、柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる今後の議論について「勇み足や見切り発車で強引な判断をすることがないようしっかりとした議論を行い、知事が判断したあと信を問う段階では県民投票や県知事選挙を行うのが筋だと問うていきたい」と述べました。

【リベラル新潟「非常に残念」】
条例案に賛成した野党系会派「リベラル新潟」の小泉幹事長は、本会議のあと記者団に対し「予測された結果ではあったものの、非常に残念だ」と述べました。
そのうえで、柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐる今後の議論について「市民団体とはこれからも連携しながらどのようなことができるのか、一緒に考えていきたい。最終的な目標は県知事選挙だと考えており、花角知事の任期満了までの1年あまりで、どのような活動や議論ができるのか、会派として検討していきたい」と述べました。

【傍聴人から声あがる】
議会事務局によりますと、18日の本会議には213人の傍聴人が訪れました。
条例案が反対多数で否決され、臨時会が閉会すると、傍聴人からは「県民の声を聞け」とか「主権者は県民だ」といった声があがっていました。
また、18日午前の特別委員会では、傍聴席から不規則な発言をしたとして委員長から退場を命じられた傍聴者が応じず、議事が進行ができなくなったため、委員会が一時休憩するなど混乱する場面もありました。

【市民団体がコメント発表】
署名を提出した市民団体、「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」は条例案が否決されたことを受けてコメントを発表しました。
この中で、「14万3196人の県民の切実な願いが実を結ばず、原発再稼働に関する意思表示の機会が奪われ、その思いを明らかにするための具体的な方策も示されなかったことは、大変残念だ」としています。
その上で、「花角知事が県民の意向を把握する方法も示さず、『信を問う方法が最も重い』などと答弁しながら具体的な手法を明らかにしなかったのは、きわめて不誠実だ」と指摘しました。
そして、「知事は『多様な意見の把握』をあらためて約束した。県政への信頼を損ねることのないよう、その具体的方法を明らかにし、実施することを求める」としています。