経済産業省は9日、電力需給検証小委員会で、電力9社の今夏の電力が、現状のままでも不足しないとの見通しを示しました。火力発電の増強などで、予想される夏場の最大需要に対して全国平均で6.3%の余力を確保できるため、数値目標付きの節電要請も見送る方向ということです。
2011年当時 政府や電力会社は「原発を稼働しないと電力が賄えない」と主張し、火力・水力の発電量を低めに予測するなどしましたが、それには多くの批判があり、実際に東京新聞などの調査で原発を稼動させなくてもピーク需要を賄えることが、その年のうちに明らかにされました。
関電大飯原発の再稼動の前にも、関電と大阪府の協議で大飯原発の再稼動は不要という結論が出かかった段階で、当時の野田首相が強引に再稼動に踏み切ったといわれています。
今夏は節電要請を止めるというのも、「原発を再稼動しないと電力が賄えない」という主張がもはや説得力を失う中で、電力会社が自らの収入を減らすことに耐えられなくなったためと思われます。
以下に東京新聞の記事を紹介します。
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今夏の電力 9社確保 原発再稼働せず余力
東京新聞 2013年4月10日
経済産業省は九日、電力需給検証小委員会で、沖縄を除く電力九社の今夏の電力が、原発を今以上に再稼働しなくても不足しないとの見通しを示した。消費者や企業の節電意識の定着や電力各社の火力発電の増強で、予想される夏場の最大需要を供給力が上回り、全国平均で6・3%の余力を確保した。政府は小委員会が月内に取りまとめる報告書の内容を踏まえて、数値目標付きの節電要請を見送る方向で検討する。
各社の見通しでは、現在稼働している関西電力大飯原発3、4号機以外の原発が再稼働せず、近年で最も電力が使われた二〇一〇年夏並みの猛暑の最大需要を想定しても、全社で供給力が上回った。供給余力を示す「予備率」も安定的な電力供給に最低限必要な3%以上をいずれも確保。節電が根付いたことで、原発に依存しなくても猛暑を乗り切れる見通しだという。
昨夏は関西、九州、北海道の三電力会社で予備率がマイナスとなり、政府は数値目標付き節電要請をしたが、今夏は関西3・0%、九州3・1%、北海道10・5%の余力を見込んでいる。電力の融通が容易な中西日本の六社(中部、北陸、関西、中国、四国、九州)全体でみると6・0%。東日本の三社(北海道、東北、東京)では全体で6・7%を確保した。