福島原発で1日に400トン発生する汚染水には、原子炉建屋周辺の地下水位が高いためにそれが原子炉建屋地下室のコンクリートの割れ面から侵入する分が相当量含まれています。それで東電は地下水脈の上流側に12本の井戸を掘り、汲み上げた水を海に放流することで地下水位を下げて地下室への侵入(=汚染水の増量)を防止しようとしています。
ところが19日の原子力規制委の検討会で、福島原発の地下貯水池から漏れた汚染水によって6年後には地下水が海に放流できないレベルまで汚染されるため、東電が進めている地下水の海への放流が出来なくなることが分かりました。
さらに10年後には原発前の海も井戸の水と同程度の汚染になりそれが数百年間続くとの試算もあり、汚染された土壌は取り除く必要があるということです。
「海岸までは距離があるので地下浸透分が海に出ることはない」というのが東電の言い分でしたが、そうした場当たり的な言い訳やその場しのぎの繰り返しではもはやどうにもならない事態に立ち入っています。
以下に東京新聞の記事を紹介します。
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貯水池水漏れ 6年で井戸地下水汚染 東電対策またピンチ
東京新聞 2013年4月20日 07時06分
東京電力福島第一原発の地下貯水池から漏れた汚染水が、地下水によって拡散し、六年後には、原子炉建屋に流入する地下水を減らすために掘られた井戸を汚染する可能性のあることが十九日、日本原子力研究開発機構が原子力規制委員会の検討会に提出した試算結果で分かった。
東電は敷地内に十二本の井戸を掘り、建屋地下に流入する前に地下水をくみ上げて海に放出。地下の水位を下げ、高濃度汚染水の増加を抑制する方針。
しかし、試算では地下水の動きが速く、土壌も放射性物質を吸着しにくければ、六年後、井戸の地下水は、海に放出できる放射性ストロンチウムの基準値を超えるところまで汚染される-との結果が出た。東電は重要な汚染水対策の一つを失う可能性もある。
そればかりか、十年後には、原発前の海も井戸の水と同程度の汚染になる可能性もあるという。汚染状況は、前提条件によって大きく異なってくるが、汚染度はそれほど高くなくても、井戸も海も汚染が数百年間続く、との試算もあった。
検討会では、専門家が「地下水をくみ上げても汚染されているなら(海へは)流せない。土壌汚染が百年単位で続くなら、汚れた土壌を調べて取り除くべきだ」と指摘。東電は、井戸水の水質分析で調べる放射性物質の種類を増やすなど、監視態勢を強化することで対応していく考えを示した。予測の精度を上げるため、池周辺の土壌を採取し土の中での放射性物質の広がりやすさを分析するという。