2013年4月12日金曜日

読売新聞への公開質問状

 
 読売新聞は11日、「原発新規制基準 ゼロリスクにとらわれるな」とする社説を掲げ、新基準はゼロリスクを求め過ぎた「問題をはらむ基準案」だと批判しました。
   【社説】 原発新規制基準 ゼロリスクにとらわれるな  読売新聞4月11日
 そして①活断層が100%ないことを求めたのは「あまりに非科学的な要求」で、むしろ活断層が動いても大丈夫なように設備の強度を増す対応を優先すべきある 
②重大事故時用の原子炉内の圧力を逃すフィルター付きベント(排気装置)は過剰な設備で、米国が当面不要としたことにならうべきある などと主張しました。

 一体活断層上で生じる激烈な振動や地盤の変形に耐えて原子炉に数百本の制御棒が瞬時に挿入され(て核分裂を停止させ)たり、原子炉本体、配管、建物、電気計装設備が壊れないようにすることが出来るものでしょうか。それこそはまさに非現実的な主張で、もしもそんな原発を目指すならば建設費は天文学的金額になるので、電力会社も国もまた原子力むらも絶対に拒絶する話です。

 またフィルター付きベント設備も、チェルノブイリ事故を身近に経験した欧州では90年代初頭から各国でその設置を義務付け順次設置してきました。
 福島原発事故を現に体験した日本が最悪時でも大気に放出する放射能をできるだけ減じるための措置を取ることは当然のことであり、その点で遅れている米国を見習う必要などは勿論ありません。

 読売新聞の社説に対して、「Nuclear F.C : 原発のウソ」ブログが11日付けで公開質問状を出し、原発についての深い知識に基づいて胸のすくような批判を展開しています。以下にその全文を紹介します。

 追記 なおはじめのところに出てくる「Podam」は正力松太郎氏(1885~1969年)のCIA(米国中央情報局)暗号名で、2005年、米国文書公開でCIAの協力員であったことが明らかにされました。同氏は当時読売新聞社社主日本テレビ社長で、原子力委員会初代委員長、科学技術庁初代長官を務め、米国の意向に沿って日本に原発を普及させ、のちに「日本の原子力の父」と呼ばれました
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読売新聞への公開質問状
読売新聞に対して質問いたします。

 今朝の社説 「原発新規制基準 ゼロリスクにとらわれるな」より 
1.読売新聞元社主の正力松太郎氏は、米国の公文書からもPodamという名前のCIAのエージェントであったことが証明されており、正力氏がビキニ事件後の核兵器反対運動の盛り上がりを鎮静化させるため、部下の柴田氏が提案した「毒を持って毒を制す」という政策にのっとって、日本に原発を導入した張本人であるとされています。この点について、貴社は責任を感じ、国民に謝罪はしないのですか?
2.フィルター付きベントの設置を不要とする論調を、米国が当面不要としているからと、意味不明のことを言っていらっしゃいます。いまだに貴社は、米国のCIAとつながりがあるのですか? 
3.フィルター付きベントの設置を過剰としていますが、これはどういう意味ですか?
福島原発事故で大量の放射能が漏れたことをかんがみれば当然のことであり、技術があるのなら、以前から設置されているべき対策なのではないですか?
逆に設置されていなかったのがおかしく、福島県の人々を特に被曝させたことで犯罪性が問われるのではないですか?それとも貴社は、国民をより被曝させたいと考えているのですか?
4.「活断層の定義を40万年前に動いたものを含めるという知見」を過剰と言っていますが、米国カリフォルニア州が1971年に制定した活断層法では、100万年前以降に動いたものを活断層と定義しています。これをどう考えますか
5.「活断層が100%ないと断定するのは、非科学的だ。」とありますが、まさにその通りで、2000年の鳥取西部地震でも、2008年の岩手宮城内陸地震でも、活断層がないといわれたところで大地震が起き、活断層が地震の後に表れております。だからこそ、原発はそもそも日本にあってはならないのではないですか?
6. 活断層が動いても大丈夫なように、とおっしゃいますが、それこそ非科学的であり、原子炉の直下または直近で活断層が動いた場合、制御棒の挿入不能や主要配管の破断がありえます。福島原発事故でも、津波の前からの配管破断による放射能漏れが疑われています。このような当たり前の事態の可能性を、なぜ無視するのですか?
7.「原発の停止で電力供給は綱渡りだ。」とありますが、貴社は、事故前まで原発を止めれば、3割ほど電気が足りなくなるとずっと喧伝しておりました。
2000年より私は、中央電力協議会のデータから、火力水力で8月の最大需要電力も賄えるという棒グラフ(なぜか英文グラフのみ)と数値を見ており、貴社を含むすべての主要マスコミ会社にFAX送信していましたが、無視され続け、非常に不思議に思っていました。
そして、原発事故後、なくても足りているという事実が明らかになっています。虚偽の事実を垂れ流しながら、地震国にこれだけの原発建設を推進したことに、罪の意識はないのですか?
8.「火力の燃料費高騰で電気料金も上がっている。」といいますが、貴社では、今回の原子力事故における被災者への補償(特に顕著になってきている健康被害への医療費を含む)、漏れ続ける放射性物質の管理、使用済み核燃料の管理などの半永久的にかかる膨大な費用に触れずに、このようなおかしな論調を出すのはなぜですか
9. 福島の子供たちの甲状腺異常や甲状腺がんに全く触れていないのは、なぜですか?また本来であれば、子供たちの疎開を主張すべきではないですか?
将来福島の子供たちに病気が多発した場合、貴社は責任を取る覚悟はありますか?その場合、貴社のどの部署のどなたが責任を取ってくださいますか?