東電により行われた柏崎刈羽原発の地盤調査の結果が18日午後、記者会見で公表されました。それによると原子炉直下にある断層が生じた時期は30~20万年前であり、現在パブリック・コメント受付中の「新規制基準案」で、最終的に活断層の評価範囲が「40万年前以降」となれば、それに該当することになります。
同原発の4号機を除く6つの原子炉(1~3号機及び5~7号機)の下にはそうした断層が合計23本存在するので、4号機以外は今後、稼働が認められない可能性が濃厚です。
産経新聞の報じるところによれば、新規制基準案では年代評価が曖昧ともいえるものの、審査を容易にするために現在作成中のガイド案では、「電力事業者に40万年前まで遡って調査を求めること」が明記されていて、その理由として「40万年前から現在まで地層にかかる力は変わっていない(13万年前も40万年前も同じ)、30万年前以降に動いた形跡があれば、数万年に1回の間隔で繰り返し動いているはずで、痕跡がないというのは見落としているだけ」と述べているということです。
もともと柏崎刈羽原発に関しては、2007年の中越沖地震時に原発施設の各部に加わった地震時水平加速度の詳細な実測データがあるので、活断層以前の問題として、先ずそうした加速度に対して原発の施設が十分な耐震性を保持していることが証明される必要があります。その点に限定して考えてみても、決して容易に再稼動に踏み切れるものではありません。
以下に産経新聞と時事通信の記事を紹介します。
(註.18日付「「柏崎刈羽原発 活断層のデータなし 東電調査」は、NHKが東電から事前に配布された報道陣向けリリース文書に基づいて東電の記者会見前に報道した記事であったために、「活断層なし」とする東電の意向が色濃く反映されたものとなりました。その旨を改めてお断りいたします)
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柏崎刈羽原発 稼働できない可能性 断層30~20万年前に活動?
産経新聞 2013年4月18日(21:49)
東京電力は18日、柏崎刈羽原発(新潟県)の原子炉直下にある断層が生じた時期は、30万~20万年前とする調査結果をまとめ、原子力規制委員会に報告した。7月に施行される新規制基準では、活断層の真上に原子炉などの重要施設を設置することを禁止しており、規制委が今後、この断層をどう評価するかに注目が集まる。
新基準では、活断層の評価範囲を従来の「13万~12万年前以降」から「40万年前以降」に拡大している。規制委の評価によっては、同原発のうち断層が存在しないとされる4号機以外は今後、稼働が認められない可能性が出てくる。
東電によると、同原発には計7つの原子炉があるが、4号機を除く6つの原子炉の下には計23本の断層が存在する。これらの活動時期を調べるため、東電が昨年9月から計7カ所でボーリング調査を行い、火山灰や化石を分析。その結果、20万年前以降は活動した形跡はなく、ずれが生じているのは30万~20万年前よりも古い地層だった。
東電は「(原子炉の運転を左右する)活断層かどうかの判断は、新基準が定まった段階で判断したい」と話している。
7月に施行される原発の新規制基準案では、活断層を「13万~12万年前以降」と定義しながらも、その地層で判断できない場合は「40万年前以降」まで評価対象を広げることを規定している。
基準案では年代評価が曖昧ともいえるが、審査を容易にするために現在作成中の「ガイド」案では、電力事業者に40万年前まで遡(さかのぼ)って調査を求めることを明記。具体的に「試掘溝(トレンチ)で、活動性が調査されていることが重要」と記載した。
その理由として、規制委の島崎邦彦委員長代理は「40万年前から現在まで、地層にかかる力が変わっていない。13万年も40万年も同じだ」と説明する。
規制庁の地震担当者もこれまでの知見に基づいて、「30万年前以降に動いた形跡があれば、数万年に1回の間隔で繰り返し動いているはず。その痕跡を見落としているだけだ」と強調。東電側が「活断層はない」と主張しても、認められない可能性が大きい。
柏崎刈羽原発が動かせないとなると、東電は経営上さらに苦しい立場に追い込まれる。当初、同原発は今月以降に再稼働を見込んでおり、平成26年3月期決算で黒字転換を目指す“要”でもあった。東電の窮地は電気料金の再値上げも意味する。
東電の担当者は「かなり詳しい調査をやっているので、規制委の審議の中で説明していきたい」と話すにとどまった。
新たに4基、活断層疑いも=柏崎刈羽原発-東電
時事通信 2013年4月18日(20:54)
東京電力は18日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の敷地内断層の調査結果を発表した。原子炉建屋の下に20万年前以降に動いた断層はないが、30数万年前までさかのぼると、3号機と5~7号機直下の断層に動いた可能性があるという。
柏崎刈羽原発は7基の原子炉のうち、1、2号機直下の断層で二十数万年前以降に動いた疑いが浮上している。原子力規制委員会は、原発の新しい規制基準の中に、活断層かどうか判断する際には念のため40万年前までさかのぼって調べるよう盛り込む方針で、同原発は4号機を除く6基で詳細な断層調査を求められる可能性がある。