28日、「脱原発をめざす首長会議」の年次総会が茨城県東海村で開かれ、原発新設を認めないことを明言するよう安倍晋三首相に求める決議を採択しました。
同首長会議は昨年設立され、38都道府県の市町村長とその経験者86人が参加しています。
総会で採択され5月中にも首相に提出される予定の要請書は、東電福島第1原発事故の収束と原因究明を優先し、原発の安易な再稼働をしないよう強調し、原発新設を認めないと明言することや、脱原発基本法案の早期制定など8項目を求めているということです。
以下にNHKニュースと東京新聞の記事を紹介します。
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全国の脱原発首長が会議 茨城・東海村
NHK NEWS web 2013年4月28日
脱原発を目指す全国の市町村長などが、原発に代わるエネルギー政策について議論を交わす会議が、東海第二原子力発電所が立地する茨城県東海村で開かれました。
会議には、地元・東海村の村上達也村長や静岡県湖西市など、脱原発の姿勢を表明している全国の市町村長などおよそ20人が参加しました。
会議では、国内すべての原発の廃止を決めたドイツの出身で、立命館大学のラウパッハ・スミヤヨーク教授が、ドイツの脱原発政策で自治体や市民が果たした役割について講演しました。
この中で、ラウパッハ教授は「ドイツでは、自治体単位で最新式の水力発電所を導入したり、市民が組合を作って太陽光発電施設を整備したりする動きが広がっている」と述べて、自治体や市民が主体となって原発に変わる自然エネルギーを模索していることなどを話しました。
会議ではこのあと、安倍総理大臣に対して、原子力規制委員会が定めた規制基準を厳格に適用し、原発の安易な運転再開を認めないことや、新たな原発建設を認めないことを明言するよう求めていくことなどを確認しました。
東海村の村上村長は「日本は世界的に見ても自然エネルギーへの転換が遅れていることを再認識した。今後、村独自にエネルギー政策を打ち出せるようにしていきたい」と話していました。
首長「脱原発」 広がる
東京新聞 2013年4月29日
全国の市区町村長や元職の有志でつくる「脱原発をめざす首長会議」は二十八日、設立一周年を迎えた。会員数は十六人増加し、この一カ月だけで現職五人が新加入した。東京電力福島第一原発事故から二年が経過し、安倍晋三首相が原発再稼働を明言するなど、脱原発をめざす動きが正念場を迎える中、危機感を背景に首長の輪は広がりつつある。
「原発事故から時間がたち、脱原発の世論が少し低下している時期なので、もう一度この問題をクローズアップさせたかった」。二十八日午後、茨城県東海村で開かれた首長会議総会後の記者会見。同県常総市の高杉徹市長は六日前に加入した理由を語った。今月一日に名を連ねた岐阜県北方町の室戸英夫町長も「政権が変わり(国の原発政策の)雲行きが怪しい方向に流れる状況で、脱原発の世論づくりの応援ができたら」と抱負を述べた。
会議は一年前、三十五都道府県の首長や元首長計七十人で発足。これまでエネルギー基本計画作成をめぐり政府に「原発ゼロ」を要求したり、勉強会を開いたりしてきた。
この間、会員数はじわじわと増加。今月には二人のほか、東京都多摩市の阿部裕行市長、滋賀県米原市の平尾道雄市長ら三人が入り、三十八都道府県、八十六人に達した。
阿部市長は二十六日の定例会見で「多摩市にも福島県から避難している人が百人いる。原発事故が収束していないことにきちんと向き合う必要がある」と加入理由を述べた。
この日は神奈川県小田原市の加藤憲一市長、茨城県かすみがうら市の宮嶋光昭市長、栃木県那須町の高久勝町長ら、代理を含め十六人が出席した。地元東海村の村上達也村長は「原発事故の経験に照らし、地震列島日本から原発をなくしていきたい」とあいさつ。会合では、安倍首相に対し、被災者の生活再建や原発新設をしないことなど八項目の要求を決議した。 (中山高志)