2021年3月28日日曜日

28- 地に落ちた東電への信頼 柏崎原発再稼働へ地元の同意見通せず

 柏崎刈羽原発では、東電のテロ対策設備の不備が次々に明らかになりました。

 新潟県議会から「再稼働」を議論する空気が消えましいまや自民党県議会派からも「企業の体をなしていない」と厳しい声が上がるほどで、東電の信頼は完全に失われました。
 大詰めに来ていた新潟県の検証委員会の作業も、テロ対策設備の不備が明らかになった1月以降ストップしているということです。
 東京新聞が報じました。
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「もうあきらめて出て行ってくれないか」柏崎刈羽原発、地に落ちた東電への信頼 再稼働へ地元の同意見通せず
                          東京新聞 2021年3月27日
 東京電力が経営再建の柱としている柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働が「凍結」された。自ら引き起こしたテロ対策設備の不備が原因だ。社長が立地自治体で謝罪行脚したものの、同県議会の自民党会派からも「企業の体をなしていない」と厳しい声が上がった。東電の信頼は、福島第一原発事故から10年で完全に失われた。(小野沢健太)

◆「原発運転する資格あるのか」
 「原発を運転する適格性があるのか、疑問符が付く状況だ」。同県の花角英世知事は25日、県庁を訪れた小早川智明社長に淡々と言った。小早川氏が「私が先頭に立って原因究明と再発防止に取り組む」と釈明するも「行動と実績で示してください」と静かな声で突き放した。
 東電の応援団となるはずの県議会最大勢力の自民党は、党県連幹事長の小野峯生みねお県議が「撤退もありえることを基本に、今後を考えてください」と迫った。
 直後、県議会は、政府と国会に対して「東電に原発を運転する資格があるのか」を再審査するよう求める意見書を全会一致で可決県議会から「再稼働」を議論する空気が消えた

◆経済浮揚に期待、擁護の声も
 一方、原発が立地する柏崎市と刈羽村では26日、小早川氏の訪問が歓迎され、東電擁護の発言が相次いだ。東電は原子力規制委員会の再稼働審査を通過した7号機について、早期稼働を計画。約1000億円のコスト削減が見込める上、低迷する地元経済界も好機ととらえているからだ。
 刈羽村の品田宏夫村長は規制委が事実上の運転禁止を命じる方針に、「事実関係をしっかりと主張するべきだ」と反論するよう促した。柏崎市の桜井雅浩市長も「再稼働は必要。2度とこういう事態にならないよう対処してもらいたい」とくぎを刺すにとどめた。
 それでも東電の組織的なずさんさが露呈し、再稼働推進を議論する状況ではなくなった。柏崎市議会の真貝維義つなよし議長は取材に「経済界から再稼働を求める請願を議会で審議するはずだったが、できなくなった。非常に残念だ」と悔しがった。

◆新潟県の検証、より慎重に
 柏崎刈羽原発は、規制委と地元自治体の手続きがストップしたため、再稼働の時期は不透明に。県知事が稼働の可否の判断材料とする「福島事故の検証作業」も終わりが見通せない
 2017年から続く県の検証は、有識者が「事故原因」「健康と生活への影響」「避難」の三つをテーマにしている。
 避難委員会の副委員長を務める佐々木寛・新潟国際情報大教授は「避難の判断は、東電からの情報に頼らざるを得ない。東電が信用できないのだから、より慎重に検証する必要がある」と指摘する。
 来年は知事選があり、再稼働の争点化を避けるために早めに同意判断をする観測も流れていた。ただテロ対策設備の不備が明らかになった1月以降、検証作業はストップしている。
 東電トップは今回、県議会で野党会派とは面会せず、地元住民に直接説明する場も設けなかった。原発から約3キロに住む刈羽村の安沢蔵明さん(86)は、うんざりした様子で語った。
 「原発は国策だから仕方なく受け入れてきた。福島の事故も今回の不祥事も、東電がだらしないから起きた。もうあきらめて出て行ってくれないか」

いわき市住民訴訟で国の責任認め賠償命じる 福島地裁

 福島原発の事故をめぐり、避難指示が出なかった福島県いわき市の住民1400人余りが訴えた裁判で、裁判長は「国は原発事故の2年前ごろまでには大津波が到来する可能性があるという試算を原発の安全評価に取り込むべきだった。安全対策を講じていれば事故を回避できた可能性があり、国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」と指摘し、東電と国総額2億円余りの賠償を命じました。

 原発事故の集団訴訟で避難指示が出なかった地域の住民だけが原告となっているのはこの裁判だけで原告側の広田次男弁護士は「原発事故の被害は福島全体に及んでいて、避難指示が出ていない地域でも、さらなる賠償が認められる可能性がある判決だ」と話しました。
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原発事故 いわき市住民訴訟で国の責任認め賠償命じる 福島地裁
                     NHK NEWS WEB 2021年3月26日
東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、避難指示が出なかった福島県いわき市の住民1400人余りが訴えた裁判で、福島地方裁判所いわき支部は国の責任を認め、国と東京電力に総額2億円余りの賠償を命じました。
福島県いわき市の住民1400人余りは、事故によって平穏な生活を奪われたとして、国と東京電力に合わせて26億円余りの賠償を求めました。
原告の弁護団によりますと、原発事故の集団訴訟で避難指示が出なかった地域の住民だけが原告となっているのは、この裁判だけで、国と東京電力が巨大な津波を事前に予測できたかや、国の審査会が指針で示している慰謝料の金額が妥当かどうかなどが争点となりました。
26日の判決で福島地方裁判所いわき支部の名島亨卓裁判長は「国は原発事故の2年前ごろまでには大津波が到来する可能性があるという試算を原発の安全評価に取り込むべきだった安全対策を講じていれば事故を回避できた可能性があり、国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」と指摘し、東京電力とともに国の責任を認めました。
そのうえで「いわき市の住民は放射線被ばくによる健康被害に不安を抱え、事実上、避難を強いられる状況にあった」として、原告のほぼ全員に対し、国と東京電力に総額2億円余りの賠償を命じました。
原告の弁護団によりますと、各地で起こされている同様の集団訴訟で1審判決が言い渡された15件のうち、国の責任を認めたのは今回を含めた8件で、裁判所の判断が分かれています。

原告側「さらなる賠償認められる可能性ある判決」 
原告側の広田次男弁護士は「いわき市の住民の被害が認められた点でいい判決だったと言える。原発事故の被害は福島全体に及んでいて、避難指示が出ていない地域でも、さらなる賠償が認められる可能性がある判決だ」と話していました。

被告側「今後の対応を検討」
26日の判決について、原子力規制庁は「国の主張が一部を除いて認められなかったものと考えている。関係機関と協議し、今後の対応を検討する」としています。
また、東京電力は「今後、判決内容を精査し対応を検討する」としています。

2021年3月27日土曜日

福島県沖のクロソイ 国は出荷制限せず

 1キロ当たり500ベクレルの放射性物質が検出されたクロソイが2月22日に水揚げされたにもかかわらず、国は現段階でクロソイの出荷制限をせず検査を続けるということです。

 福島県漁連は、自主基準を超えているため安全性が確認できるまで、クロソイの出荷を引き続き自粛することにしているので、実害はないともいえますが、国の態度は驚くべきもので不可解です。
   関連記事
     (2月23日)福島県沖 クロソイからキロ500ベクレルの放射性物質
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福島県沖のクロソイ 国は出荷制限せず
                    NHK 福島 NEWS WEB 2021/3/24
先月、福島県沖の試験的な漁で水揚げされたクロソイから、基準を超える放射性物質が検出されましたが、国は、これまでの検査結果などから、現段階でクロソイの出荷制限をせず検査を続けることになりました。
一方、県漁連は、自主基準を超えているとして、出荷を引き続き自粛することにしています。

これは、いわき市で行われた漁業関係者が集まる会議で、担当者から報告されました。
先月、新地町の沖合の漁場でとれたクロソイから、国の基準を超える1キロあたり500ベクレルの放射性物質が検出されました。
これを受けて、国の原子力災害対策本部は、出荷を制限するか検討していましたが、県のこれまでのモニタリング検査で、基準を超える検体がなかったことなどから、現段階で出荷制限をせず、検査を続けることになりました。
一方、県漁連は、国より厳しくしている自主基準を超えているため、安全性が確認できるまで、クロソイの出荷を引き続き自粛することにしています。
また、会議では、今月末で終わる予定の試験操業についても話し合われ、本格操業までの移行期間として、来月から各漁協ごとに段階的に水揚げを増やすことや、原発事故で中断していたほかの県での操業再開に向けて調整を進めることが報告されました。
福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は、「試験操業から早く脱したいと思っていたので、10年かかりましたが、本格操業に向けてようやく調整を始めることができるのは感慨深いです」と話していました。

甲状腺がん症例、福島県がん登録情報から24人判明

 福島医大は22日、1217年の福島県民健康調査の甲状腺検査と、県がん登録情報による甲状腺がん症例数の合計は223人だったことを明らかにし甲状腺検査によって判明した症例数から24人増えました。
 その一方で甲状腺吸収線量と甲状腺がんまたはがん疑いの発見率に、線量の上昇との比例関係は確認されなかったとし、被ばくとの関係を否定しました。しかし、13年に国連に報告された甲状腺吸収線量にどの程度の精度があるのかや、吸収線量と相関を示す分布図などが分からないのでその通りには受け取れません。
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甲状腺がん症例、福島県がん登録情報から24人判明 県民健康調査
                      福島民友ニュース 2021年3月23日
 福島医大は22日、2012~17年の県民健康調査の甲状腺検査と、県がん登録情報による甲状腺がん症例数の合計は223人だったことを明らかにした。甲状腺検査によって判明したがんやがん疑いから、さらに24人増えることになった
 22日に福島市で開いた県民健康調査検討委員会の甲状腺検査評価部会で示した。部会は、甲状腺検査の受診率が低下する中、甲状腺がんの発見状況などとの整合性を調べる狙いで、県がん登録情報のデータを活用。その結果、21人は甲状腺検査の結果が出る前に医療機関を受診して治療を受けていた。3人は甲状腺検査を受けていなかったという。甲状腺検査でがんやがん疑いと診断された人は199人だった。
 がん登録は、がんと診断された人のデータを記録する制度。部会は今後、全国がん登録情報のデータの活用も進める。
 また、3巡目検査までの原発事故と甲状腺検査との因果関係を調べる解析・評価方法として、がんと診断された人の事故後の行動を県民健康調査の「基本調査」を基に分析する手法の導入について検討に着手した。
 これまでは国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)による各市町村の推定甲状腺吸収線量を用いて、事故との因果関係を考察していたが、線量とがん発見率との相関関係は認められていない。新たな手法では個人線量の視点から分析する方針。

発見率と線量の上昇比例関係は確認されず
 福島医大は22日、甲状腺検査の3巡目検査の結果を巡り、国連の2013年版の報告書を基に甲状腺吸収線量と甲状腺がんまたはがん疑いの発見率に、線量の上昇との比例関係は確認されなかったと報告した。
 甲状腺評価部会で示した。部会長の鈴木元氏(国際医療福祉大クリニック院長)は「線量が増えるに従って罹患(りかん)が増える傾向は見られない」とした一方、国連の20年版の報告書を使って解析する必要性も指摘した。

27- 「原発漂流」第6部 揺れる司法(4)(東京新聞)

 河北新報のシリーズ「原発漂流」第6部 揺れる司法4回目です。

 記事中に、原発の耐震設計指針改定01にスタート)に当たり、電事連04規制強化露骨けん制する意見書を出して、原子力安全・保安院もそれに同調したことが書かれています。
 06年に発表された25年ぶりの改定案は電事連のけん制をまともに受けた旧態依然のもので、当初から改定の分科会に参加していた地震学の権威の石橋克彦神戸大教授は、その取りまとめに抗議して委員を辞任しました。
 現在の規制基準における基準地震動の決め方もその流れを受け継いだものです。
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「原発漂流」第6部 揺れる司法(4)曲解/裁判リスク 対策鈍らす
                        河北新報 2021年03月26日
 原発裁判で初の住民側勝訴の判決が、国策の土台を揺るがした。
 2003年1月、名古屋高裁金沢支部は核燃料サイクル開発機構(当時)の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)=16年廃炉決定=の設置許可を無効とする控訴審判決を言い渡した。
 もんじゅは核燃料サイクル政策の要。一審福井地裁判決は住民側の訴えを一蹴していただけに、関係者は逆転敗訴に衝撃を受けた。
 「地元や社会と向き合う努力が足りなかった」。後にもんじゅ所長を務めた機構幹部の向(むかい)和夫(73)=当時=は、自戒を込めて判決書を読んだ。
 機構の前身、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)時代に起きたナトリウム漏れ事故(1995年)が尾を引いていた。支部はもんじゅについて重大事故へと発展する危険性が複数あると、四国電力伊方原発(愛媛県)訴訟の最高裁判決(伊方判例、92年)に倣って認定。国の安全審査の不備を「誠に無責任」と批判した。
 旧動燃は国策遂行の技術者集団を自負し、向はナトリウム漏れを「単純ミスと考えていた」。敗訴は慢心が招いた結果でもあった。

 2年後、最高裁が高裁判決を破棄し、提訴から20年を経て国側勝訴が確定した。控訴審の事実認定を原則的に踏襲するはずの上告審が、判断をことごとく覆す異例の結末だった。
 勝敗が入れ替わり混乱が長引いた訴訟で、国と事業者は「教訓」を得た。起きる可能性が低い原発の事故リスクよりも、負ければ稼働の即停止にもつながる「裁判リスク」への対策が死活問題になるとの認識だ。
 「安全性が不十分との主張に発展しやすく、訴訟に与える影響が大きい」。電気事業連合会(電事連)は04年、原発の耐震設計指針の刷新を検討していた原子力安全委員会(当時)に意見を出した。規制強化への露骨なけん制だった。
 規制のもう一つのとりで、原子力安全・保安院(当時)も同調した。安全審査の適否を「現在の科学技術水準」で判断するとした伊方判例に従えば、新知見を積極的に取り込んだ指針では審査への要求レベルが高まる可能性があった
 06年改定の指針は内容が強化されたが、原発を指針にどのように合わせるかは事業者の自主性に委ねるとされた。電事連と保安院も受け入れられる内容だった。

 「裁判を恐れて『事故は起こらない』と言い続けた事業者と当局のゆがんだ蜜月関係が福島の惨事を招いた」。東京電力福島第1原発事故の国会事故調査委員を務めた弁護士野村修也(58)は指摘する。
 その反省に立つ原子力規制委員会の新規制基準は、最新の安全知見の導入を法的に義務付ける。政府が「世界一厳しい」とうたう理由の一つだが、司法の視点は若干異なる。
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の設置変更許可を取り消した20年12月の大阪地裁判決は、耐震性に関わる規制委の検討が不十分だと判断。審査手法を実質的に否定した。
 「解釈の掛け違いだ」。規制委員長の更田豊志(63)は記者会見で判決への反論を繰り返し、「(審査に)一つも過誤はないし欠落もない」として司法による曲解を主張する。(敬称略)

2021年3月26日金曜日

福島原発の事故処理費 総額は21・5兆円をはるかに超える

 福島原発事故から10年間で、廃炉作業や被災者への損害賠償、汚染地域の除染といった事故処理にかかった費用は少なくとも133兆円だということです。政府は処理費を総額215兆円と見込んでいますが、廃炉作業などが難航しその想定を上回る可能性が濃厚だと東京新聞が報じました。現段階では東京新聞もその程度の表現に抑えるしかないのでしょう。

 そもそも総費用の見込みは、廃炉が30~40年程度で終ることを前提にしていますが、英国など海外の識者は当初から100年以上かかると見ていました。そうなればまず工事費の主体である人件費は天井知らずになるので、総額が100兆円で収まるという保証もありません。それらの費用が最終的にすべて国民の負担になるのはいうまでもありません。
 国民負担の概要は別掲の東京新聞の関連記事を参照ください。⇒ <Q&A>
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福島第一原発の事故処理費用、10年間で13兆円 政府想定215兆円超える懸念強く
                          東京新聞 2021年3月23日
 東京電力福島第一原発事故から10年間で、廃炉作業や被災者への損害賠償、汚染地域の除染といった事故処理にかかった費用は少なくとも13・3兆円に上ることが本紙の取材で分かった。政府は処理費を総額21・5兆円と見込むが、廃炉作業などが難航し、想定を上回る可能性が濃厚。賠償費用などは国が立て替えた後、電気料金や税金をもとにした資金から少しずつ「返済」されていく。こうした国民負担が今後数十年は続くとみられる。(妹尾聡太)

 東電や政府によると、政府有識者会議が2016年に示した見込み額21・5兆円のうち、これまで廃炉に1・5兆円、賠償に7兆円、汚染土壌を取り除く除染に4・8兆円が使われた。廃炉には想定の2割近く、賠償と除染には8割超が支出された計算だ。
 これらの費用のうち、廃炉については東電が自社の利益から拠出する。賠償と除染は国債などで立て替えた上で、東電を含む電力会社などが年に約2000億円ずつ国庫に納める。さらに電気料金に上乗せされる税金も「返済」に充てる。東電の株式を売却して除染費用を捻出する計画もある。単純計算すると、「完済」には今後30年程度かかる。
 しかし処理費が見込み通りの金額や期間で収まる保証はない。廃炉はあと30年以内で作業を終える計画だが、溶融核燃料(デブリ)の取り出しという最も難しい行程が始まっておらず、長期化する懸念がある
 日弁連は、賠償請求が不十分な被災者もいるとして、潜在的な賠償額が見込み額(7・9兆円)を超える可能性を指摘。除染についても、帰還困難区域の作業など見込み額(5・6兆円)に含まれていない部分が多く、実質的には5・6兆円を超える見通しだ。

<Q&A>福島原発廃炉費1.5兆円、事故処理費21.5兆円(東京新聞)

 福島原発の廃炉の費用は一体どれほど掛かるのか、この先どれほど膨らむのかは全く不明です。

 分かっていることは、当面は国や東電などが一旦負担しますが、最終的にそれらは家庭や企業の電気料金に長年月にわたって加算されるということで、それだけははっきりしています。
 東京新聞が、原発の廃炉費や処理費に関する記事 <Q&A> を出しました。
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<Q&A>福島第一原発の廃炉費1.5兆円‥‥困難な作業手つかず、支出増これから
                          東京新聞 2021年3月23日
 東京電力福島第一原発の事故処理費は廃炉、賠償、除染などを合わせると、10年間で13・3兆円に達しました。政府は最終的に計21・5兆円になると見込みますが、実際には、さらに膨らむことが懸念されています。(妹尾聡太)
 Q 膨大な金額がかかっているのですね。
 A 21・5兆円は、政府の有識者会議「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)が2016年に示した見込み額です。これに対し民間シンクタンクの日本経済研究センターは19年、廃炉作業を続けた場合は約40兆~80兆円かかると試算しました。技術的に難しいとして廃炉を当面見送り、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発の「石棺」のように、原発をコンクリートで覆うなどした場合も35兆円かかると指摘しています。

 Q それに比べると、今までの廃炉費1・5兆円は少ないですね。
 A 支出が増えるのはこれからです。今までは使用済み核燃料プールからの核燃料取り出しや汚染水処理などをしてきました。しかし原子炉内部に溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しは難しく、手つかずです。作業が難航し金額が想定を超えかねません。

 Q 廃炉作業はいつまで続くのですか。
 A 政府と東電は41~51年に廃炉を完了させる計画ですが、大量の高レベル放射性廃棄物を撤去し、処分できるめどは立っていません。日本原子力学会は昨年、仮に順調に廃棄物を処分できても、敷地の再利用には最短でも100年以上かかるとの見解を示しました。通常の原発でも廃炉には30年前後かかるのに、事故を起こした福島第一原発も30年後に廃炉にできるとは考えにくいです。

 Q 賠償と除染は進んでいるのですか。
 A 今年2月末時点の東電の賠償合意額は累計約7兆円です。また環境省が計上した除染費用は今月末までに約3・7兆円、除染で取り除いた土壌を保管する中間貯蔵施設の整備費は約1・1兆円に上る見通しです。これの合計額は見込み額(計13・5兆円)の8割超に上る計算ですが、被災地の回復に十分な金額とは言えません

 Q もっと多く必要ということですか。
 A 賠償請求に携わる弁護士は、避難生活が続いて損害の実態を明らかにできない被災者が、十分な金額を請求できていないケースも多いと指摘し、「集団訴訟などの賠償請求が認められ、見込み額(7・9兆円)を超える可能性もある」とみています。
 除染は、見込み額(4兆円)分の作業はおおむね終わりました。しかし取り除いた土壌の最終処分の費用や、放射線量が高い帰還困難区域の除染などはここに含まれません。一方、政府は同区域の一部の除染などに既に約2000億円を支出してきました。これを加えた実質的な除染費用は来年度中にも4兆円を超えます。


<Q&A>福島原発事故の処理費21.5兆円 負担は家庭や企業に
                          東京新聞 2021年3月25日
 政府が計21・5兆円と見込んだ東京電力福島第一原発の事故処理費の多くは、最終的には家庭や企業の電気料金などを元手に支払われます。東電の株主や債権者である銀行ではなく、事故後に生まれた若者や外国人も含む消費者に負担させる構造は矛盾を抱えています。(妹尾聡太)
 Q 事故処理費とはどんなお金ですか。
 A 政府は(1)廃炉(8兆円)(2)賠償(7・9兆円)(3)除染(4兆円)(4)除染作業で取り除いた土壌を管理する中間貯蔵施設の整備(1・6兆円)に分類。事故後の10年間で計13・3兆円が支払われました。このうち廃炉の費用は東電が自社の利益から積み立てて拠出しています。

 Q 賠償や除染などの費用の支払いはどうなっていますか。
 A 国の予算や借金で先に支払った後、東電などが事実上の「返済」をしていきます。政府は事故処理を加速させるため、一部の「返済」を電力各社の負担や税金などで賄い、東電の負担を軽くしました。
 賠償は、他の原子力事業者も互いに助け合うとの考えから、東電や関西電力など11社が年に計約1600億円の「一般負担金」を拠出しています。昨年10月には事故後に設立された新電力の負担などが加わりました。このお金は電気料金に盛り込まれます。東電だけは、利益から出す「特別負担金」も年に数百億円ずつ支払っています。
 除染費は、政府が認可法人を介して保有する東電の株式を売却した利益で支払う想定です。ただ見込み額の4兆円を工面するには、東電の経営を向上させ、株価を今の4倍の1500円程度にしないといけません。
 中間貯蔵施設の整備にかかった費用は、電気料金に上乗せされている「電源開発促進税」の一部を流用し、毎年470億円ずつ回収されています。

 Q 月々の電気代に事故処理費はいくら含まれているのですか。
 A 明示されないので正確には分かりません。ただ、東電の販売電力量と「一般負担金」から計算すると、東電と契約して毎月300キロワット時を消費している家庭の場合、「一般負担金」と「電源開発促進税」を合わせて月に100円弱程度とみられます。東電の「特別負担金」や廃炉費用も電気料金が元になっていると考えれば、東電の契約者の負担はもっと多くなります。

 Q この負担はいつまで続くのですか。
 A 今の支払いペースなら、あと30年程度で終了します。しかし、廃炉は難航する懸念が強く、電気料金に含まれる「一般負担金」は、別の原発事故にも備えるお金として徴収が続きます。政府は公的資金を投じて東電株を保有することで東電を救済し、株主や銀行の責任を問いませんでした。その一方で過失のない国民にツケを回し続けようとしています