福島県沖で22日に水揚げされたクロソイという魚から、1キロ当たり500ベクレル(セシウム)が検出されました。一昨年にはおよそ900ベクレルが検出されたこともあったということです。去年クロソイについて50検体を調べた結果はすべて検出限界を下回りました。去年1年間のクロソイの水揚げ量は3トンでした。
東京電力は福島原発港湾の出入り口に、魚の出入りを防ぐ網を設置していますが、クロソイがそこを抜けて外に出た可能性があると見ています。
多分そうなのでしょうが、網から抜け出たのは数えきれない量であろうと推測されます。網で魚の出入りを防止するのは端仕舞が十分に出来ない以上構造的に無理な話です。
根本的な原因は、潮の満ち干だけでも莫大な海水が出入りするにもかかわらず、港湾内が放射性物質で高度に汚染されていることです。
汚染魚の問題だけでなく、潮の満ち干の都度、大量の放射性物質が港湾外に流出していること自体が大問題であるとともに、それでも希釈されないほどの新たな放射性物質が港湾に排出され続けているということも大問題です。
東電はどういう見解なのでしょうか。
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福島県沖 クロソイから基準超の放射性物質 出荷を停止
NHK NEWS WEB 2021年2月22日
福島県沖で行われている試験的な漁で、22日に水揚げされたクロソイという魚から、基準を超える放射性物質が検出され、福島県漁連はこの魚の出荷を停止しました。福島県沖の漁で基準を超える放射性物質が検出されたのはおよそ2年ぶりで、去年2月には、すべての魚種で出荷制限が解除されていました。
福島県漁連によりますと22日に新地町の沖合8.8キロ、水深24メートルの漁場でとれた、クロソイという魚から放射性物質が検出されました。
県の研究所で詳しく測定した結果、放射性セシウムの濃度が、1キロ当たり500ベクレルと、国の食品の基準である1キロ当たり100ベクレルを上回ったということです。
県漁連がより厳しく定めている1キロ当たり50ベクレルの自主基準も超えていたことから、県漁連は安全性が確認できるまでクロソイの出荷を停止することを決めました。
今後、国の原子力災害対策本部がクロソイの出荷制限を指示する見通しです。
クロソイの水揚げ量は去年1年間で3トンと、福島県沖で行われている試験的な漁全体の水揚げの1%未満だということです。
国の基準を超える放射性物質が検出されたのは、2年前の2月にエイの仲間の魚コモンカスベで検出されて以来で、去年2月には福島県沖のすべての魚種で出荷制限が解除されていました。
県水産海洋研究センター「原発港湾内で魚出入りの可能性も」
福島県沖の魚介類の放射性物質の濃度を継続的に測定している、福島県水産海洋研究センターによりますと、検出される値は原発事故直後に比べて大幅に低下しています。
去年は1年間で4261検体の魚を調べましたが、国の基準となっている1キログラム当たり100ベクレルを超えたものはなく、99.9%が検査装置で検出できる限界の値を下回ったということです。
クロソイについても50検体を調べましたが、すべてが検出限界を下回ったということです。
一方で、東京電力が福島第一原発の港湾内で、調査のためにとったクロソイからは、おととし、1キログラム当たりおよそ900ベクレルの放射性物質が検出されたこともあったということです。
東京電力は港湾の出入り口に、魚の出入りを防ぐ網を設置していますが、県水産海洋研究センターでは何かしらの理由でクロソイが外に出た可能性もあるとみて、基準を超える放射性物質が検出された原因を調べています。
福島県水産海洋研究センター放射能研究部の神山享一部長は「新地町沖の海水や海底の放射性物質の濃度が低いことを考慮しても、ここまで高い数値の放射性セシウムが検出された理由は分からないというのが本音です。福島第一原発の港湾内で魚が出入りしている可能性も視野に入れながら、原因を調査していきたい」と話しています。