能登半島地震では志賀原発30キロ圏にある防護施設に損傷や異常が起き、放射線防護機能に欠けていたことが明らかになりました。
福島医大と千葉大、新日本空調の3者でつくる研究チームは今月10、11の両日、浜岡原発が立地する静岡県御前崎市で住民の一時避難先となる放射線防護施設の安全性や運用方法の検証に着手します。
御前崎市庁舎で、室内の気圧を上げて放射性物質を含む空気の流入を防ぐ「陽圧化」の際に、どの部分にどれほどの圧力がかかるかなどを分析し、災害時に防護施設を的確に運用するための具体策も検討していくということです。
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放射線防護施設、安全検証へ 福島医大・千葉大、能登地震踏まえ
福島民友 2025/01/06
福島医大と千葉大、新日本空調(東京)の3者でつくる研究チームは今月、原子力災害時に住民の一時避難先となる放射線防護施設の安全性や運用方法の検証に着手する。能登半島地震で北陸電力志賀原発(停止中、石川県志賀町)30キロ圏にある防護施設に損傷や異常が起きたことを踏まえ、緊急時に防護施設としての役割を的確に担えるようにするための対策を検討する。
医大からは医学部放射線健康管理学講座の坪倉正治主任教授らが参加。志賀原発周辺で損傷が確認された防護施設での調査結果を踏まえ、10、11の両日、中部電力浜岡原発が立地する静岡県御前崎市で検証をスタートさせる。市庁舎で、室内の気圧を上げて放射性物質を含む空気の流入を防ぐ「陽圧化」の際に、どの部分にどれほどの圧力がかかるかなどを分析する。災害時に防護施設を的確に運用するための具体策も検討していく。
国は東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、防護施設設置を後押ししており、内閣府によると、全国の原発周辺に約300の防護施設がある。能登半島地震では、志賀原発30キロ圏にある21施設のうち6施設に損傷や異常が確認され、施設が使えなくなって閉鎖したり、患者を移したりする措置を取った。研究チームによると、こうした安全の確保に加え、避難計画を含め災害時に防護施設をどう運用するかが決まっていないケースもあり、実効性のある対応が求められている。
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放射線防護施設
原発事故時に、すぐに避難することが難しい高齢者や障害者などの「要配慮者」が、被ばくのリスクを下げるため一時的に屋内退避する施設。原発から30キロ圏の自治体にある病院や社会福祉施設、学校などが指定されている。建物の気密性を高めたり、陽圧化装置を設置したりして防護対策を取っている。