2025年1月25日土曜日

除染土処分、本格議論へ 最終候補地の選定へ 環境省

 福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌と廃棄物を巡り、環境省は23日、15年度から10年間の目標を定めた技術開発戦略の進展を総括し、25年度以降の方向性を示しました。
 4月以降は低濃度土壌の再生利用事例を各地で創出し、45年3月を法定期限とする県外最終処分の議論を本格化させる段階に入ります。
 そもそも1kg当たり8000ベクレル以下の土壌を「希薄な汚染土」と位置づけて各地に分散処分するのは、放射性汚染物質を「拡散させてはいけない」とする基本原則に反するものです。
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除染土処分、本格議論へ 環境省、最終候補地の選定焦点
                        福島民友 2025/01/24 09:15
 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌と廃棄物を巡り、環境省は23日、2015年度から10年間の目標を定めた技術開発戦略の進展を総括し、25年度以降の方向性を示した。4月以降は低濃度土壌の再生利用事例を各地で創出し、45年3月を法定期限とする県外最終処分の議論を本格化させる段階に入る。一方、候補地選定の方法や合意形成の在り方は依然としてほぼ白紙で、最終処分実現への道筋は見えていない。

 四つの作業部会を束ねる戦略検討会を東京都内で開いた。同省は、25~44年度の20年間について〈1〉再生利用の推進〈2〉最終処分の方向性の検討〈3〉全国民的な理解醸成ーの3本柱で取り組む方針を掲げ、今後の課題を【表(省略)】の通り整理した。
 再生利用は全省庁横断で設置された推進会議の議論を踏まえ、実用レベルの案件を創出し、可能な限り早期に本格化させる。飯舘村と中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)内での実証事業は理解醸成のため継続し、現地視察の機会を拡大する

 最終処分に向けては、3月までに最終的な処分量や放射能濃度別に四つのシナリオを提示し、それぞれ処分場の構造や必要面積、コストなどを明確化する。考慮すべき立地や管理終了の条件などは検討課題とした。4案はそれぞれ放射能濃度や管理期間に違いがあるとして、同省は1案に決定する前段階から対象地域と協議を始めることが重要との認識を明らかにした。当面は4案から絞り込まず、地域の意向を反映する可能性を示唆した形だ。
 県外最終処分の認知度は県外在住者で2割にとどまり、国民的な理解醸成も急務だ。同省は「全国的な理解・信頼の醸成や社会的受容性(受け入れやすさ)の段階的な拡大・深化は一定程度進んでいるものの、引き続き取り組む必要がある」とし、若者や自治体向けへの働きかけを強化する。
 年度内に開く次回会合で25年度以降の時間軸を示すという。ただ、東京など県外3カ所で計画した実証事業は中断したままで、最も難航が予想される最終処分対象地域の選定や合意形成の手順など、いまだ着手していない論点は多い。今後の見通しをどこまで具体化できるかが焦点になる。
 戦略検討会は大学教授ら有識者10人で構成する。会合では、総括案と今後の方向性を大筋で了承した。