2021年10月6日水曜日

岸田内閣の裏テーマは原発推進  新増設・建て替え一気加速

 岸田新政権甘利幹事長が組閣に大いに関与し、彼の人脈が要職を占めたようです。
 第1次安倍政権で経産相を務めた甘利氏は経産族で原発推進派の“電力界のドン”と呼ばれ、2011年には派閥横断型のグループ「さいこう日本」を立ち上げました。今回の組閣ではそこからも多くの人材が登用されました。その結果、岸田内閣では原発推進色が強まり、菅政権で策定した次期エネルギー基本計画の素案は見直され、原発リプレースも一気に進む可能性があるということです。
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岸田内閣の裏テーマは原発推進 “甘利人脈”が要職独占で新増設・建て替え一気加速
                          日刊ゲンダイ 2021/10/05
 すっかり病気は完治したようだ。大臣室で現ナマをポッケに入れた件を認めて2016年に閣僚を辞任。「いずれ国会で説明する」と言ったきり、睡眠障害を理由に国会を長期欠席して説明責任はウヤムヤなまま。ぬけぬけと表舞台に戻ってきた自民党の甘利幹事長が新政権で早くも権勢を振るい、「我が世の春」を謳歌している。

■自民党内には“甘利派”が存在
 4日、発足した岸田新政権は組閣、党役員人事で安倍元首相の意向が強く反映されているとの指摘があるが、よくよく見て欲しい。要職を占めているのは“甘利人脈”だらけだ。
「新政権の人事は甘利氏が主導したとみられています。党役員人事の内定も、甘利幹事長から電話を受けた議員は多い。越権行為と言われても仕方ない振る舞いですよ。安倍元総理が強く推した萩生田光一氏が官房長官に内定しかかっていた人事を覆したのも甘利氏だと言われています」(自民党閣僚経験者)
 自民党内には、あまり知られていないが“甘利派”が存在する。旧山崎派の会長代行を務めていた甘利幹事長が2011年に立ち上げた派閥横断型のグループ「さいこう日本」がそれだ。萩生田氏の代わりに細田派の推薦で官房長官に就任した松野博一氏も「さいこう」メンバーである。
 他にも、梶山弘志幹事長代行(無派閥)、田中和徳幹事長代理(麻生派)、高木毅国対委員長(細田派)、山際大志郎経済再生相(麻生派)、岸田派から入閣した金子恭之総務相、金子原二郎農相の“ダブル金子”もメンバーだ。

■経産省、原子力ムラが巻き返す
 また、当選3回で閣僚に抜擢された若手の牧島かれんデジタル相(麻生派)は甘利幹事長と同じ神奈川県つながり、小林鷹之経済安保相(二階派)は、甘利幹事長が座長の経済安保に関する会議で事務局長を務めていた縁がある。あまりにも甘利幹事長に近い人選ばかりだ。
「甘利さんは当初、一番弟子の山際さんを経産相に押し込もうとしていた。第1次安倍政権で経産相を務めた甘利さんは経産族で、原発推進派の“電力界のドン”でもある。山際さんも原発推進の急先鋒です。官邸人事でも元経産次官で東電取締役も務めた嶋田隆氏が筆頭秘書官に就き、経産省、原発推進の色合いが濃い布陣となりました」(官邸関係者)
 甘利幹事長は4月に結成された原発の新増設や建て替え(リプレース)を推進する議連でも最高顧問に就いている。原子力ムラの巻き返しで、菅政権が進めた「脱炭素」の再生可能エネルギー重視が見直されるのは必至だ。
「菅内閣で再生エネ重視を主導したのが河野前規制改革担当相や小泉前環境相でした。そのことが、総裁選で甘利さんが“河野潰し”に動いた理由のひとつでしょう。岸田内閣の裏テーマは原発推進です。菅政権で策定した次期エネルギー基本計画の素案は見直され、甘利幹事長のあまりにも強すぎるリーダーシップで原発リプレースも一気に進む可能性があります」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
 総裁選で岸田首相は「政府と党は車の両輪。『政高党高』があるべき姿」と言っていた。
 事実上の“甘利原発推進内閣”に完全屈服では、政府と党の両輪で原発推進が力強く進められるに違いない。“あんまり”じゃないか!