17日、就任後初めて福島県を訪れ、福島第一原発を視察した岸田文雄首相は、「多くの処理水タンクが並んでいる姿を見て、先送りできない重要な課題だと痛感した」と強調し、海洋放出する政府方針への県民らの懸念払拭に努める考えを示しました。
エネルギー政策に関しては「デジタル化などで電力使用量が格段に高まると考えれば、再生可能エネルギー一本足打法では価格や安定供給の観点で十分ではない。複数の選択肢が求められる」とし、原子力発電の必要性に言及しました。
視察には西銘恒三郎復興相らが同行しました。
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処理水「先送りできない重要課題」 岸田首相が就任後初めて福島県入り
福島民報 2021/10/17
岸田文雄首相は17日、就任後初めて福島県を訪れ、東京電力福島第一原発を視察した。第一原発で増え続ける、放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「多くのタンクが並んでいる姿を見て、先送りできない重要な課題だと痛感した」と強調。海洋放出する政府方針への県民らの懸念払拭(ふっしょく)に努める考えを示した。
岸田首相は東日本大震災と原発事故の被災地を訪れ、富岡町文化交流センター「学びの森」で記者団の質問に答えた。県民をはじめ国民から反発、懸念の声がある海洋放出方針への対応を問われ、「国際原子力機関(IAEA)をはじめ国際機関の力も借り、安全性について透明性をもった説明をすることが大事だ」と述べた。
処理水を保管する大量のタンクが並ぶ原発構内の現状に「二度とこのような事故を起こしてはならないとの強い思いで、取り組まなければいけない」と語った。
エネルギー政策に関しては「デジタル化などで電力使用量が格段に高まると考えれば、再生可能エネルギー一本足打法では価格や安定供給の観点で十分ではない。複数の選択肢が求められる」とし、原子力発電の必要性に言及した。
2045年までとする除染廃棄物の県外最終処分は「法律に定められており、国の責務だ。地元の声を受け止め、実現させる」と強調。原発事故に伴う帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域については2020年代に希望者の帰還を目指す政府方針に基づき、帰還に必要な箇所の除染、地域コミュニティーの再生に取り組む考えを表明した。
視察には西銘恒三郎復興相らが同行した。