東電は30日、福島原発のALPS設備の排気フィルター全76か所のうち、32か所が破損していたと発表しました。2年前にも同じフィルターの破損が判明しましたが原因調査をせず、公表もしませんでした。
今回原因は保管容器のガスの排出時、想定以上の強い圧力がかかったからと説明したようですが、要するにろ過膜の目詰まりの度合いを媒介変数とする排気流量とろ過圧力の関係の把握が不十分だったということです。
2年前に多数の破損が確認された時点でその認識はあった筈なので、そのまま放置したのは理解しがたいことです。
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2年前の破損で原因調査しなかった排気フィルター、またも破損…福島第一原発で32か所
読売新聞 2021年9月30日
東京電力は30日、福島第一原子力発電所の汚染水浄化設備の排気フィルター全76か所のうち、32か所が破損していたと発表した。2年前にも同じフィルターの破損が判明したが原因調査をせず、公表もしなかった。東電は内部の報告体制を見直すとしている。
同原発では8月、汚染水を浄化処理する多核種除去設備(ALPSアルプス)で警報器が作動。調べたところ、汚染水処理後に残る放射性物質の保管容器につながるフィルターで、破損が見つかった。東電は9月24日までにALPSのフィルター全76か所を点検し、他の破損も確認。原因について、保管容器のガスの排出時、想定以上の強い圧力がかかるなどしたとみている。
この影響でALPSが約1週間停止し、破損したフィルターの周辺で放射能汚染も確認されたが、作業員への影響はなかったという。
東電は2019年7〜10月、点検でフィルター27か所の破損を発見。しかし当時はフィルター交換だけで済ませていた。小野明・福島第一廃炉推進カンパニー代表は30日の記者会見で「2年前の点検時、不具合として取り扱うべきだった。通常と異なる状況を報告する取り組みも今後進める」と述べた。