双葉町の避難指示解除、22年6月以降に インフラ整備に遅れ
河北新報 2021年10月08日
東京電力福島第1原発事故で住民避難が続く福島県双葉町は7日、町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除の時期が、早くても2022年6月になるとの見通しを示した。
いわき市内であった町議会全員協議会で伊沢史朗町長が明らかにした。上下水道など生活インフラの整備が想定より遅れ、状況を踏まえて判断した。町はこれまで指示解除の目標時期を「22年春ごろ」としていた。解除時期がずれ込む理由について、伊沢町長は取材に「新型コロナウイルスの影響もあり、工事などが遅れた。住民に安心して帰ってもらう環境を整えるために判断した」と述べた。
避難指示解除に向けて長期滞在が可能となる「準備宿泊」は22年1月をめどに始める。自宅を解体したり修理を進めたりする住民らを対象に、町内のビジネスホテルを活用する方針。料金の一部は町が負担する方向で調整する。
町は避難指示解除に向けた今後のスケジュールなどを、10月下旬から11月下旬にかけて、いわき市や埼玉県、東京都内などで開く町政懇談会で説明する。
全員協議会では、国が復興拠点から外れた帰還困難区域の避難指示解除方針や、第1原発にたまり続ける処理水の海洋放出に伴う当面の風評被害対策の説明があった。議員からは、国が24年度と想定する除染開始の前倒しや町内の全域除染を求める声が上がった。