東海第2原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定について、市民団体「いばらき原発県民投票の会」は6日、大井川和彦知事に対し再び直接請求するため、24年1~3月に署名活動を行うと発表しました。同原発の安全対策工事が同年9月に完了するのを見据え、同年6月の県議会定例会前に直接請求する方針です。
同県の民投票条例案は20年にも請求成立の署名数を集めて県議会に実施の正否を問いましたが「否決」されました。そのことについて東京新聞が記事を出しましたので併せて紹介します。
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茨城・東海第2再稼働 県民投票条例再請求へ 市民団体が署名再開
茨城新聞 2023年4月7日
日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村白方)の再稼働の賛否を問う県民投票条例の制定について、市民団体「いばらき原発県民投票の会」は6日、大井川和彦知事に対し再び直接請求するため、2024年1~3月に署名活動を行うと発表した。同原発の安全対策工事が同年9月に完了するのを見据え、同6月の県議会定例会前に直接請求する方針だ。
請求には選挙人名簿登録者の50分の1(約4万8千人)以上の署名が必要。同会の鵜沢恵一代表(63)は「15万筆を目標に、最低でも前回を上回る署名を集めたい」としている。
鵜沢代表は「原発は県民の大きな問題であるにもかかわらず、議論が進んでいない。進めるには賛成も反対も同じテーブルに着く土台が必要」と、再度の直接請求の意義を強調した。「中立の立場から県民が原発や県議会、政治の在り方に関心を持つきっかけにするため、粘り強く活動していく」と主張した。
富岡彰事務局長(68)は「(前回の条例案否決について)県民の意見を聞くことは、知事も県議会も否定していない」とし「再稼働を決める時期に、県民や有権者の意見を聞いてほしい」と理解を求めた。
同会は署名活動に先立ち、住民への理解を深めるための映画上映会や講演会、県内44市町村での説明会を開催する方針。署名活動する受任者は、3500人を目標に募集を始めている。
同会は20年5月、有効署名数の約1・78倍に当たる8万6703筆の署名を集めて直接請求を実現。大井川知事は条例案を上程したが、県議会は「安全性検証」「避難計画策定」「県民への情報提供」の3条件が整っていないなどとして否決した。
茨城県民投票条例案 2020年、請求成立も「否決」
東京新聞 2023年4月7日
「いばらき原発県民投票の会」は前回、県民投票を求める運動を積極的に展開。本県では一九七二年以来となる条例制定の直接請求を成立させた。
同会の前身「原発県民投票を考える会」は二〇一八年四月に発足。翌年、現在の名称に変更された。
活動費は寄付やクラウドファンディングなどで調達。鵜沢恵一代表は「お金があれば広告なども打ちたかったが…」と振り返りつつ、「直接人に会って話を聞いてもらうことで運動の意義を理解してもらい、署名につながった」と話す。
直接請求を受け、大井川和彦知事は二〇年の県議会六月定例会に条例案を提出。知事はその際、「慎重に検討していく必要があると考えている」などとして条例案への賛否を明らかにしない意見を付け、県議会最大会派のいばらき自民党からも批判が出た。
条例案は六月十八日の防災環境産業委員会で賛成少数で否決。二十三日の本会議でも賛成五(共産党二、立憲民主党一、無所属二)、反対五三(自民四一、国民民主党系の県民フォーラム五、公明党四、無所属三)で否決された。
反対意見には「投票時期が議員任期をまたぐ(改選後の議員を束縛する)のは不適切」「県民投票の結果は民間企業(日本原子力発電)の事業を制限する」などがあった。(竹島勇)