2023年4月8日土曜日

敦賀原発の安全審査を再中断 再び不備ならば打ち切りの可能性

 日本原電が提出した敦賀原発2号機の安全審査資料に1300か所のミスがあるなど断層データの資料の誤りが相次いで見つかっている問題で、原子力規制委は5日、審査を再び中断することを決めました。審査の申請書のうち、原子炉直下の断層に関する部分を8月末までに修正して出し直すよう、原電に行政指導します。

 山中委員長は記者会見で、「基本的に最後の判断」と述べまた同様の事態になれば審査を打ち切って許可や不許可を判断する可能性に言及しました。
 石渡明委員は5日の会合で「審査資料をまともに作れないようでは困る」と語り、原電に会社として責任ある対応を求めた。
 原電は「規制委での議論を重く受け止め、真摯に対応する」とのコメントを出しました。
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敦賀原発の安全審査を再中断 再び不備ならば打ち切りの可能性
                             毎日新聞 2023/4/5
 日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の安全審査で断層データの資料の誤りが相次いで見つかっている問題で、原子力規制委員会は5日、審査を再び中断することを決めた。審査の申請書のうち、原子炉直下の断層に関する部分を8月末までに修正して出し直すよう、原電に行政指導する
  【地図でわかる】敦賀原発ってどこ? 断層はどこ?
 敦賀2号機の審査は、断層データの無断書き換えで約2年間中断していた。昨年12月に再開してから、わずか4カ月で再び中断する異例の事態となる。敦賀2号機は原子炉直下の断層が「活断層」だと規制委の有識者調査団が認定しており、廃炉を迫られる可能性がある。審査のさらなる長期化は必至だ。

 この日の定例会では、原電への行政指導として、①申請書をすべて出し直す②直下の断層に関する部分だけを修正して補正を出す――の2案を事務局が示した。山中伸介委員長は審査の打ち切りも示唆しており、定例会でも打ち切りを問う意見が委員から出た
 しかし事務局は「現時点で、申請書の不備だけで打ち切るのは難しい」と説明。①についても、すべての審査がやり直しになり規制委の負担が増えることなどから、②を採用することを全会一致で決めた。来週にも原電の村松衛社長を呼び、意思などを確認する。
 山中委員長は記者会見で、今回の事態について「基本的に最後の判断」と述べた。また同様の事態になれば、再び申請書の修正を求めることはせず、審査を打ち切って許可や不許可を判断する可能性に言及した。不許可になれば、敦賀2号機は再稼働できず、廃炉になる見通しだ。
 原電は「規制委での議論を重く受け止め、真摯(しんし)に対応する」とのコメントを出した。【吉田卓矢】


敦賀原発2号機「資料まともに作れないようでは」…ミス1300か所以上、安全審査を再中断
                             読売新聞 2023/4/5
 日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原子力発電所2号機(福井県)について、原子力規制委員会は5日、安全審査を再び中断したうえで、原電に対し、審査の申請書を修正して8月末までに提出し直すよう行政指導する方針を決めた。敦賀2号機の再稼働は遠のいた。
 審査のために原電が規制委に提出した資料に記載ミスやデータの取り違えなど計1300か所以上の誤りが見つかり、このままでは安全審査を続けられないと判断した。
 同原発を巡っては、原電が2015年、再稼働に向けた安全審査を規制委に申請した。しかし、19年に原電の資料に多数の誤りがあることが判明。20年には、原発敷地内の断層の活動性について、原電が無断で資料を書き換えていたことが規制委の指摘で発覚し、審査が中断した。
 原電が再発防止策を講じたことから、規制委は昨年12月に審査を再開したが、資料の誤りが新たに計165か所見つかった。安全審査の終了の可能性も検討したが、資料の不備を理由に審査を打ち切るのは法的に難しく、行政指導にとどまった
 石渡明委員は5日の会合で「審査資料をまともに作れないようでは困る」と語り、原電に会社として責任ある対応を求めた。