2023年4月15日土曜日

原子炉土台、全周損傷 福島第1原発1号機

 東電は3月福島第1原発1号機の原子炉格納容器の内部調査で土台(ぺデスタル)の開口部付近と内側の様子を水中ロボットで撮影し、円筒形状の周囲3分の1でコンクリートの内面側が消失していることを確認しました。

 今回、遠距離から反対側を撮影した映像を解析したところ、既に損傷が確認されていた部分と同じ状態であることが分かりました。厚さ1・2mの中央部分に埋設されている縦筋がほぼ完全に露出していることから、コンクリートは全周にわたって厚さ0・6m以上が消失していることになります。
 東電は土台の耐震性を評価するとしていますが数カ月程度かかる見通しです。規制委事務局は「強度不足の問題が起こった時に備えて、放射性物質の閉じ込め機能を維持するなどの方策をまず考えるべきだ」としています
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原子炉土台、全周損傷 東京電力福島第1原発1号機 東電が画像公開
                            福島民報 2023/4/15
土台の開口部から南側を撮影したパノラマ画像。鉄筋がむき出しの様子が確認できる(国際廃炉研究開発機構提供)
 東京電力福島第1原発1号機の原子炉格納容器の内部調査で、東電は14日、原子炉圧力容器を支える土台「ペデスタル」の内側の壁を撮影したパノラマ画像を公開した。ほぼ全周で損傷し、鉄筋がむき出しになっていることが新たに判明した。今後、東電は土台の耐震性を評価する。
 東電は3月に土台の開口部付近と内側の様子を水中ロボットで撮影した。これまでの分析では土台の広範囲で壁のコンクリートの損傷、鉄筋の露出を確認したが、ケーブルの不具合で撮影を見送った南側は分析できていなかった。今回、遠距離から南側を撮影した映像を解析したところ、既に損傷が確認されていた部分と同じ状態であることが分かった
 内部調査の結果を受け、東電は厚さ1・2メートルの壁の約半分が消失しているとの条件で土台の耐震性を評価する。評価には数カ月程度かかる見通し。
 東電はこれまで、内側の壁がほぼ全周にわたって損傷しているとの認識を示していた。土台の耐震性については、鉄筋が大きく変形していないことや、圧力容器を水平方向に支える構造物が健全であることから倒壊の可能性は低いとみられるとしてきた


鉄筋がむき出し 福島第1原発1号機、圧力容器の土台内側が全周破損
                            毎日新聞 2023/4/14
福島第1原発1号機の原子炉圧力容器の筒状土台の内部で撮影した映像をつなぎ合わせた画像。全周にわたってコンクリートが崩れ落ち、鉄筋が露出していることがわかったという 東京電力は14日、原子力規制委員会の有識者会合で、福島第1原発1号機の原子炉圧力容器を支える筒状の鉄筋コンクリート製土台について、内側の壁面のコンクリートが全周にわたって損傷して鉄筋がむき出しになっていることを明らかにした。東電は今回の調査データを基に、改めて土台の耐震評価などをする。
 土台は原子炉格納容器の内部にある「ペデスタル」(直径約6メートル、厚さ1・2メートル)で、上には原子炉圧力容器がある。ペデスタルには内側へ入れる開口部があり、東電は3月末の調査で初めて内側へ水中ロボットを入れ、撮影に成功した。
 会合では東電から撮影写真が示され、ペデスタル内側の壁のコンクリートが全周にわたって床面から高さ約1メートルの部分がなくなり、鉄筋がむき出しになっているとの説明があった。厚さ1・2メートルの中ほどに「インナースカート」と呼ばれる鉄板が入っているが、一部ではそれが露出していた。
 東電は今後、床面から高さ1メートルまでにわたってコンクリートがインナースカートまでの厚さ0・6メートル分消失したなどの条件で耐震評価をする。東電は「昨年3月の地震など強い地震でも、ペデスタルは圧力容器を支える機能を維持している」としつつ、「仮に機能を喪失しても(影響がないよう)取り得る方策を検討する」などと説明した。ただ、機能を失った場合でも圧力容器の沈降や傾きは現時点では限定的だとして「周辺に著しい放射線被ばくのリスクを与えることはない」との見方を示した。
 一方、規制委事務局の原子力規制庁は「(ペデスタルの支持機能喪失などの)問題が起こった時に備えて、放射性物質の閉じ込め機能を維持するなどの方策をまず考えるべきだ」としている。【吉田卓矢】


福島第一1号機の原子炉土台、全周にわたり損傷…水中ロボット撮影の映像で判明
                            読売新聞 2023/4/14
 東京電力は14日、福島第一原子力発電所1号機で、原子炉本体(原子炉圧力容器)を支える円筒形の鉄筋コンクリート製土台「ペデスタル」について、内壁の下部が全周にわたって損傷していたと発表した。これまで半周分の損傷がわかっていたが、映像を詳しく調べた結果、残り半周分についても確認したという。
          【写真】1号機のコンクリート損傷のイメージ
 2011年3月の事故で溶け落ちた核燃料(核燃料デブリ)の熱で損傷した可能性がある。
 東電は14日の原子力規制委員会の会合で、現状で大地震が起きても約440トンの圧力容器が土台から倒壊し、放射性物質が大量に漏れる可能性は極めて小さいと説明。これに対し、規制委は、あらゆる事態を想定して放射性物質が外部に漏れないよう対策を求めた。
 東電は3月、1号機の土台の内部を水中ロボットで撮影。床から高さ約1メートルまでの内壁のコンクリートが半周程度で損傷し、鉄筋が露出していることを確認した。今回、撮影できなかったとみられていた残り半周部分の映像が見つかり、データ処理して損傷状況がわかった
 土台(高さ約8・5メートル、内部の直径約5メートル)のコンクリートの厚さは下部で約1・2メートル、上部で約1・8メートルあるが、この厚さのうちどの程度損傷しているかは確認できなかった。