原子力規制委員会は10日、国内で唯一稼働している関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)が7月に施行予定の原発の新しい規制(安全)基準を満たしているかどうかを確認する会合を開き、地震の揺れの大きさを計算する際の前提条件や手法に不備があるとして関電に修正を求めました。
それに対して関電側は「必要ない」と反論し平行線に終わりました。
関電が耐震性を確認するに当たって、地震の揺れがより小さくなる前提条件にこだわっているのは、巨額になるかもしれない補強工事を避けたいためですが、あの辺一帯は「活断層銀座」と呼ばれるところで、万一の事故があれば琵琶湖の汚染をはじめとして関西一円が大変なダメージを受けます。
現在稼働中の3、4号機は、7月の新規制基準の発効後も9月の定検時まで暫定的に運転を継続すると予想されますが、規制委が認めなければその後の再稼動は勿論出来ないので、結局は関電は規制委の要請に応じるものと思われます
以下に東京新聞の記事を紹介します。
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大飯3断層連動 関電「考慮せず」 規制委評価会合
東京新聞 2013年5月11日
原子力規制委員会は十日、運転中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が新しい規制基準に適合するかを確認する評価会合を開き、耐震安全上、周辺にある三つの活断層が連動した場合を想定するようあらためて求めた。関電は、断層の長さがこれまでより短いことが判明したなどとして「連動を考慮する必要はない」と主張、平行線に終わった。
大飯原発の周辺には、南東の陸側にある「熊川断層」、北西側の若狭湾内に延びる「FO-A断層」「FO-B断層」の三つの活断層がある。
関電は従来、熊川断層の長さを十八キロとしていたが、地下探査の結果から十四キロに修正。海側の二断層との間隔が約十五キロに広がることなどから連動しないとした。
また、仮に三連動した場合でも揺れの強さは七六〇ガル(加速度の単位)で、設計上の目安となる基準地震動を一部上回るが、関電は「耐震性に問題はない」とした。
規制委側は、関電の地下探査の不備を指摘。島崎邦彦委員長代理は、地形や地質の調査結果を踏まえて「構造的にみても三連動は非常にあり得る」と述べた。また、「万一ではなく、三連動ありきで想定してほしい」として、機器への影響を厳しく評価し直すよう求めた。