原電(日本原子力発電)敦賀原発(福井県)の2号機直下の断層(破砕帯)を巡り、原子力規制委員会の田中俊一委員長は8日の定例記者会見で、「活断層の判断は慎重に行う必要がある」と述べ、原電が追加調査を終える6月末まで規制委としての判断は先送りする意向を一旦示しました。
ところがその後事務局が、有識者会議の評価書がまとまれば「原子力規制委員会としての見解を遅滞なく集約する」というコメントを発表し、田中委員長の発言を軌道修正するという事態が生じました。評価書は今月15日にもまとまる予定です。
報道各社は一斉にこのことを規制委員長の迷走として報じました。
田中委員長は4月の衆院予算委員会でも原発のテロ対策を巡って発言を訂正しました。
因みに原電には東電前会長の勝俣 恒久氏が非常勤取締役として天下っています。
以下にNHKとテレビ朝日のニュースを紹介します。
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活断層問題で規制委員長が発言修正
NHK NEWS web 2013年5月9日
国の原子力規制委員会の田中俊一委員長は、福井県にある敦賀原子力発電所の断層問題を巡る今後の対応について、記者会見で、「早急に最終的な判断を示す必要はない」と述べ、これまでと異なる考えを示しましたが、その後、「混乱を招いた」として文書で発言を修正しました。
敦賀原発を巡っては、原子力規制委員会の専門家会議が今月15日にも、「2号機の真下の断層は活断層の可能性が高い」という報告書をまとめる見通しで、その後、規制委員会が最終的な判断をいつするのかが注目されています。
田中委員長はこれまで、「社会的な関心が高い」として、判断を急ぐ考えを示していましたが、8日開かれた記者会見で、「早急に最終的な判断を示す必要はない」と述べ、これまでと異なる考えを示しました。
しかしその後、文書を公表し、「専門家会議の報告を受けて、見解を滞りなく集約する」とし発言を修正しました。
規制委員会が「運転再開を認めない」と判断すると、去年9月の発足以来初めて原発の運転を制限することになり、事業者の日本原子力発電は、来月までに終わる独自の調査を踏まえて判断するよう要望していました。
原子力規制庁の森本英香次長は、「田中委員長は『自分の発言が混乱を招いたので明確にした』と話していて、事業者の調査が終わるまで待つということではない」と説明しています。
敦賀原発の活断層で迷走 田中委員長の発言を修正
テレビ朝日 2013年5月9日
敷地内に活断層がある可能性が指摘されている福井県の敦賀原発の安全性の評価について、原子力規制委員会の田中俊一委員長が8日、「判断を急ぐ必要はない」と発言して、事務局が修正する一幕がありました。
原子力規制委員会は15日に開かれる有識者との会合で、敦賀原発の敷地の下に「活断層がある疑いが否定できない」とする評価書をまとめる予定です。活断層の上に原子炉建屋などを設置することは禁じられていて、5人の原子力委員の会議でこの評価書が了承されれば、敦賀原発の再稼働は極めて難しくなります。しかし、8日の会見で田中委員長は、「早急に最終的な判断を言う必要はない」などと敦賀原発の安全性の評価を先延ばしすることに含みを持たせる発言をしました。これを受け、事務局は、有識者会議の評価書がまとまれば「原子力規制委員会としての見解を遅滞なく集約する」というコメントを発表し、田中委員長の発言を軌道修正しました。