新潟県の泉田知事は、浄水場で発生するキロ当たり100ベクレル以上の汚泥は本来放射性物質なので、発生の原因者である東電が引き取るべきであるとして各浄水場での処分を認めていません。 しかし東電に汚泥の引取りを要求しても全く応じないため、各地の浄水場の汚泥はたまる一方です。
国は原発事故後急遽キロ当たり8000ベクレル以下であれば放射性物質とはみなさないという処置を決めましたが、従来の基準(許容値)を急遽80倍もアップしたことには何の根拠もありません。ひたすら各地に処分できない汚泥がたまることを防止するのが目的で、それに従っていれば結果的に全国各地に放射性物質が拡散して行きます。
原発事故を迎えて一挙にこれまでの種々の放射能規制値を変えている日本の中で、将来の安全性を見すえている泉田知事の正論は貴重です。
国は「国家百年の大計」の観点から姿勢を改めて欲しいものです。
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保管のセシウム汚泥、1年で3倍に 県と東電の汚泥引き取り交渉進まず
新潟日報 2013年5月20日
東京電力福島第1原発事故後、(新潟)県内の浄水場に放射性セシウムを含む汚泥がたまり続けている問題で、3月末時点の保管量が計約5万6千トンに上ることが19日、新潟日報社のまとめで分かった。うち県を除く市と水道企業団の保管分が計約3万9千トンと、1年間で約3倍に急増した。県は東電に汚泥引き取りを要請しているが交渉は進まず、対応に苦慮した市の中には県外での処理に踏み切るケースも出ている。
県内市町村や水道企業団の保管状況を取りまとめている新潟市によると、汚泥を保管してきたのは11市と2企業団で、昨年3月末時点の保管量は約1万3千トンだったが、1年間で約2万6千トンも増えた。他に県企業局が約1万7千トンを保管している。
大半は、国が埋め立て処分を認めているセシウム濃度1キログラム当たり8千ベクレル以下の汚泥だ。しかし、泉田裕彦知事が100~8千ベクレルの汚泥の処分にも慎重で、東電に引き取りを求めていることなどから、各市などは保管を続けている。県によると、「東電からは『話は聞きました』以上の返答はない」(放射能対策課)という状況だ。
特に信濃川、阿賀野川両方から取水する新潟市では保管量が2万トンに達し、保管場所の不足が懸念されるなど深刻な状況。信濃川では100ベクレル超の汚泥の発生は大幅に減ったが、福島県から流れる阿賀野川では今も濃度が100ベクレル以下になることがほとんどない。
100ベクレル以下の汚泥については1月から、糸魚川市のセメント会社が新潟、長岡両市から引き取って再利用している。だが再利用量は限られるため、新潟市では保管量の増加傾向が当面続くとみられる。
問題が長期化の様相を呈する中、独自に対応する市も出てきている。
南魚沼市、見附市はこれまでに、それぞれ100ベクレル超の汚泥約700トン、約420トンを県外の業者に委託して処理した。南魚沼市企業部は「保管が長引き、積雪の重みで保管袋が破れる恐れがあった」と「窮余の策」を強調する。100ベクレル以下も含めて南魚沼は既に保管がなくなり、見附も今秋には処理を終える見込みだ。