講演で東電福島原発事故で死者が出ていないと述べて、原発再稼働を進めようとした自民党の高市早苗政調会長は、党内外から噴出した批判に抗しきれずに19日午後、「エネルギー政策に関する発言のすべてを撤回し、おわび申し上げる」と陳謝しました。
しかし政調会長を辞するかどうかについては安倍首相の判断に委ねるとしました。
ほかにも「原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働している間のコストは比較的安い」ので「原発を活用したい」と理解不能な論理を展開し、原発事故起因の死者数への批判に対しては、18日の時点では「死者が出ていないことを再稼動の理由にしたわけではない。そう誤解されたならしゃべり方が下手だったのかもしれない」と、これまた理解不能の釈明をしていました。
彼女はそれ以前にも、橋下氏の慰安婦関連の主張(河野・村山談話批判を含む)に同調する発言を繰り返して、党の指導部からそれをたしなめられると、「一夜にして私個人の考えが劇的に変わったわけではないが、(公人として)党の見解に従う」と釈明していました。
総じてこの人は果たして論理的な思考ができる人間なのか怪しまれます。
野田政権時代に鉢呂経産相が就任早々、記者クラブにオフレコ発言を言葉狩りされて辞任に追い込まれたことがありました。彼は「脱原発+反TPP」であったために、官僚の反感を買って辞任劇が仕組まれたといわれています。
今回の高市氏の発言の誤りはそれとは比較にならないほどに重いのですが、思想的に相通じている安倍氏は多分罷免しないことでしょう。
それによって安倍政権の本質が明らかにされ、人心が離反するのは良いことです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発再稼働関連発言、高市氏が撤回し陳謝
産経新聞 2013年6月19日
自民党の高市早苗政調会長は19日午後、東京電力福島第1原発事故で死者が出ていないとして原発再稼働に意欲を示した自身の発言について「撤回し、おわび申し上げる」と陳謝した。党本部で記者団に語った。
高市氏は17日、神戸市で講演し、原発の再稼働問題に「(東京電力)福島第1原発で事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない。最大限の安全性を確保しながら活用するしかない」と述べ、党内外から批判が出ていた。
党福島県連は19日午前、発言撤回と謝罪を求める抗議文を党執行部に提出。同県選出の森雅子少子化担当相(参院議員)も「大変怒っている」として高市氏に直接抗議したことを党本部で記者団に明らかにした。
県連の抗議文は発言を批判した上で、「原発事故の影響による過酷な避難で亡くなられた方、精神的に追い詰められ自殺された方など1400人を超す災害関連死が認定されている」と被災地の現状を指摘した。
高市政調会長「原発」発言を撤回して謝罪
NHK NEWS WEB 2013年6月19日
自民党の高市政務調査会長は、講演で原発の再稼働などに触れた際、「福島原発も含めて死亡者が出ている状況ではない」などと述べたことに対し、党の福島県連が「県民への配慮がなく、不適切だ」として、撤回と謝罪を求める抗議文を党本部に提出したことを受けて、19日発言を撤回し、謝罪しました。
自民党の高市政務調査会長は、17日に神戸市で行った講演で、原発の再稼働や安全性の確保に触れた際、「悲惨な爆発事故を起こした福島原発も含めて死亡者が出ている状況ではない。最大限の安全性を確保しながら原発を活用するしかないというのが現状だ」と述べました。
この発言に対し、自民党福島県連の平出孝朗幹事長らは、19日、党本部を訪れ、東日本大震災復興加速化本部長を務める大島前副総裁と面会しました。
この中で、平出氏は「福島県内では過酷な避難によって亡くなった人や精神的に追い詰められて自殺した人など、1400人を超える人が災害関連死と認定されている。今回の発言は県民に対する配慮が全くなく不適切なものだ」として、発言を撤回して県民に謝罪するよう求める抗議文を手渡しました。
これを受けて、高市氏は党本部で記者団に対し、「エネルギー政策に関する発言のすべてを撤回する。福島県の皆さんが私の発言によって大変つらい思いをされ、怒りを覚えられたとしたら、申し訳ないことだった。福島県の方や復興に努力している自民党議員を傷つけることになり、おわび申し上げる」と述べました。