2013年6月23日日曜日

再稼働ありきの新基準

 
 原子力規制委員会が19に発表した原発の新規制基準に対しては、地方紙が一斉に下記のような社説を掲げ、その実効性への懸念を表明しました。
  曰く、「審査過程の透明性を高めよ」、「厳正な審査を徹底せよ」、「再稼働ありきで進める」、「安全は確保できるのか」等々 と。

 因みに、20日以降の原発新規制基準に関する主な社説は下記のとおりです。 
 
6/22
  原発新規制基準 審査過程の透明性を高めよ    熊本日日新聞 
  原発新規制基準 審査の透明性確保すべきだ    宮崎日日新聞 
6/21分
  原発新規制基準  再稼働の “お墨付き”?      京都新聞
  原発新規制基準 審査の透明性を高めよ       茨城新聞
6/20分
  原発新規制基準 厳正な審査を徹底せよ       毎日新聞
  原発規制新基準 再稼働ありきで進めるな      琉球新報
  原発新規制基準 安全は確保できるのか       沖縄タイムス
  原発新規制基準 信頼回復へ厳格運用を       南日本新聞 
  原発新基準 法的義務の意味は大きい        神戸新聞 
  原発新規制基準決定 厳格に対処するしかない   福井新聞
  原発新基準 安全第一に厳正審査を         信濃毎日新聞
  原発活用 事故は喉元を過ぎたか           神奈川新聞 
  原発新規制基準 再稼働は厳格審査必要      秋田魁新報
  原発新規制基準 「安全性高まる」 「厳格運用を」   東京新聞

    政府も、また規制委自身も「世界で一番厳しい規制」と呼んでいますが、果たしてそうでしょうか。大飯原発への対処といい、フィルターベントの5年間の猶予といい、原発使用期限の最長20年の延長といい、何処が世界一厳しいのか分かりません。
 であるからこそ、現状追認に傾く規制委の姿勢を各紙が懸念しているのです。

 21日の衆院特別委で、共産党の笠井議員が原子力規制委田中委員長に対して「再稼動ありきの新基準ではないか」と追及しました。

 以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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再稼働ありきの新基準 笠井氏追及 
規制委員長、異常水準の放出正当化 衆院特別委
しんぶん赤旗 2013年6月22日
 日本共産党の笠井亮議員は21日の衆院原子力問題調査特別委員会で、原発の「新規制基準」が実態のないずさんなものであることを明らかにし、「国民の安全を置き去りにした、原発の再稼働ありきの新基準だ」と批判しました。

 新基準は、炉心溶融を伴う重大事故の際、原子炉の格納容器の破損を防ぐため放射性物質を放出する「ベント(排気)」を行うことが柱の一つとなっています。新基準では、その際に放出するセシウム137を「最悪でも100テラベクレルに抑える」ことを目標にしています。
 笠井氏が「原子炉等規制法は放射性物質の『異常な水準』での放出による災害防止を定めているが、100テラベクレルの放出は『異常な水準』ではないのか」とただしました。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「そういったことをせざるをえないこと自体が異常な状況」と認めざるをえませんでした。
 笠井氏は、新基準で設置が求められる格納容器の「フィルター付きベント」は、加圧水型は「5年の猶予」が与えられ、猶予のない沸騰水型でも設置は「検討中」が多いと指摘。原則40年とする原発の運転期間も対策工事の計画だけで最長20年の延長を認めようとしているとして「結局、電力会社の意向をくんだだけだ」と批判しました。
 田中委員長は「フィルターベントの設置は炉型によって違う」「対策を取る間に40年を超す原子炉もある」などと規制基準の骨抜きを正当化しました。
 笠井氏は「そんな対応で、実際に重大事故が起こったら、どう責任をとるのか」と批判。「田中委員長は『世界でも一番厳しい規制基準』などというが、まったく実態を伴わない『安全神話』の復活だ」として原発再稼働をやめるよう主張しました。