自民党は先月原発再稼動を目指す議連を発足させメンバーは98人に達しました。
福島原発事故がまだ収束とは程遠い状況のなか参院選も控えているので、世論の反発を懸念はしているのですが、再稼動に前のめりになっている安倍首相の存在が議連を勢いづかせているということです。
議連は今月下旬に中間提言をまとめることにしています。
産経新聞の調査によると、原発の新規制基準が7月に施行されるのを待って最大で6原発が再稼働申請を出す見通しだそうで、「沸騰水型(BWR)」の柏崎刈羽原発も、フィルター付ベント装置を今夏までに設置して申請を目指すということです。
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原発再稼働派、動き活発=参院選への影響懸念も-自民
時事通信 2013年6月8日
原発の早期再稼働を目指す動きが自民党内で活発化してきた。背景には、電力各社や、運転停止の長期化で地域経済への影響を懸念する地元自治体の強い期待がある。しかし、東京電力福島第1原発事故は収束とは程遠いのが現状。党内には、参院選を控えたこの時期に再稼働に傾斜し過ぎれば、世論の反発を招くとの懸念もある。
「(再稼働を)大きな世論の流れにしていかないといけない」。再稼働推進派の自民党有志でつくる「電力安定供給推進議員連盟」が6日に開いた会合で、会長の細田博之幹事長代行はこう強調した。
議連は5月14日に発足。中心メンバーは、細田氏(衆院島根1区)のほか、大島理森前副総裁(衆院青森3区)や高木毅国対筆頭副委員長(衆院福井3区)ら地元に原発がある議員が占めている。発足当初は約70人だったが、徐々に数を増やし、7日現在は98人となっている。
6日の会合では、出席者から「原子力をもう一度きっちり根付かせる必要がある」「原子力規制委員会は安全審査をスピードアップすべきだ」といった意見が相次いだ。議連は26日の会期末ごろに中間提言をまとめ、党執行部と政府に提出する方針だ。
政府が成長戦略素案に再稼働方針を盛り込むなど、安倍晋三首相が再稼働に前向きなことも、議連の動きを勢いづかせる要因となっている。
ただ、福島では多くの周辺住民がなお避難生活を強いられ、第1原発は汚染水や地下水の処理など難しい課題を抱えている。自民党福島県連は参院選の地域版公約に「県内の原発廃炉」を掲げる構えで、議連の空気とは大きな開きがある。
党政調幹部の一人は「参院選を戦う上で議連の動きはマイナスだ。全体として票が減る」と戸惑い気味。「福島が収束してもいないのに日本の原発が世界一安全と言えるわけがない。調子に乗っているのではないか」。党内からはこんな声も漏れている。
最大6原発、再稼働申請へ 新基準施行時 審査の順番「未定」
産経新聞 2013年6月8日
原発の新規制基準が7月に施行されたタイミングで、最大で4電力事業者が計6原発の再稼働申請を出す見通しとなっていることが7日、分かった。これに対し、原子力規制委員会の審査体制は3チームしかなく、同時審査が可能な対象は限界がある。審査の順番について、規制委は「未定」と方針を示しておらず、早期の審査を求める事業者から不満が出ている。
新基準は7月18日までに施行されるが、これまでに北海道、関西、四国、九州の4電力が7月中の申請を表明している。
申請対象の原発は必ずしも明確ではないが、北海道電力泊(1~3号)▽関西電力高浜(3、4号)▽四国電力伊方(3号)▽九州電力川内(1、2号)-の4原発が濃厚。関西電力大飯(3、4号)や九州電力玄海(3、4号)も準備が整い次第申請する方針だ。
申請が見込まれる原子炉はすべて「加圧水型(PWR)」と呼ばれるタイプ。もう一つの「沸騰水型(BWR)」は、事故時に原子炉の圧力を逃すベント装置を、フィルター付きのものに交換することが再稼働の必須条件となっており、各社とも設置のめどが立つまで申請できない事情がある。BWRで最も対応が進んでいるのが東京電力の柏崎刈羽原発で、今夏までに工事のめどをつけ、早期申請を目指す。
PWRの炉を持つ事業者は、出力の大きな原子炉から優先的に申請する見通しだが、審査する側の規制委の体制は不十分だ。
規制委は審査を3チームで対応する方針だが、申請が一度に来た場合、対応できない可能性が高い。
一つの原発の審査には6カ月程度はかかる見込みで、審査が後回しにされた原発の再稼働の時期は大幅に遅れることになる。
こうした事態に、電気事業連合会は、新規制基準に対する意見募集(パブリックコメント)で、「安全確認がされない状況が長期にわたらないよう、効率的に規制基準への適合性確認を行うことが重要」と表明。同型の原子炉は一括審査することを提案している。
しかし、地震や津波対策などは、想定される規模が原発ごとに異なり、一括審査は難しいという現実もある。規制庁は「充実した内容の申請であれば、審査も早くなる」としている。(原子力取材班)