政府は11日、「子ども・被災者支援法」の基本方針を閣議決定しました。
約5000ものパブリックコメントを反映せず、ほぼ修正のないままの内容となり、意見を寄せた被災者支援団体や、支援対象に指定するよう求めていた自治体などからは、「法律の趣旨をねじ曲げている」、「あまりに不透明だ」などと厳しい批判が上がりました。
被災者支援をしているNGOなどは同日午前、首相官邸前で抗議活動をし、県外への自主避難者ら約50が参加しました。
復興庁が閣議決定後にようやくホームページで公表したパブリック・コメントで、一番多かった意見は、「公聴会開催など、被災者の意見の反映をさせること」そして「支援対象地域を見直しすること」でした。
しかしどれも反映させませんでした。閣議決定は、パブリックコメントをほぼ完全に無視し、「子ども・被災者支援法」の趣旨をねじ曲げたものでした。
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被災者支援法:NGO、首相官邸前で抗議
毎日新聞 2013年10月11日
政府は11日の閣議で、東京電力福島第1原発事故の被災者を支援する「子ども・被災者生活支援法」の基本方針を決定した。復興庁は8月に基本方針案を公表した後、パブリックコメントの意見などを反映し、9カ所を修正したが、支援対象地域を福島県東部33市町村に限定するなどの大枠は維持した。意見を寄せた被災者支援団体や、支援対象に指定するよう求めていた自治体などからは「法律の趣旨をねじ曲げている」「あまりに不透明だ」などと厳しい批判が上がった。
被災者支援をしているNGOなどは同日午前、首相官邸前で抗議活動をし、県外への自主避難者ら約50が参加した。主催した団体の満田夏花(かんな)理事は、パブリックコメントの内容が11日にやっと公開されたことから「公開前に閣議決定するのは手続きの順序が逆だ。被災した当事者の声に耳を傾けてほしかった」と話した。
千葉県や茨城県などの13自治体は、法令で一般人の被ばく線量限度と定められた年間1ミリシーベルトを基準に、「汚染状況重点調査地域」として除染の財政支援を受けており、同地域を支援対象に指定し、健康支援を求める意見書を提出していた。その一つの千葉県野田市の根本崇市長は「ほぼゼロ回答だ。地域住民の問題解消にならない。法律の趣旨をねじ曲げた」と批判した。
政府は1ミリシーベルトの適用を「地域が混乱する」などとして断念した。根本匠復興相は「必要な施策を必要な地域に講じる。一定の数値だけで決めるのは適切ではない」と述べた。【日野行介、袴田貴行、水脇友輔】
◇公募意見も批判一色
11日の閣議で決定された基本方針について、復興庁はパブリックコメントで寄せられた主な意見と、見解をホームページで公表した。復興庁によると、寄せられた4963件のほぼ全部が批判的な内容で、評価する意見はわずか2件だった。
最も多かったのは、福島県東部33市町村に限定した支援対象地域について、「法令などが定める年間1ミリシーベルトの基準に基づき広く設定すべきだ」などと主張する意見で、2707件に上った。復興庁は「準支援対象地域」を設定することを踏まえ「一律に定めるのは難しい。施策ごとに支援すべき地域や対象者を定める」と従来通りの見解を示した。
また、同法が定める健康調査や医療支援について、県外でも年間1ミリシーベルト以上の地域では実施を求める意見も1481件あった。この他、「パブリックコメントの募集期間が短すぎる」などと、不透明な手続きを批判する意見が2063件あった。