琵琶湖近くの鴨川河川敷に、東電福島原発事故で放射能に汚染されたとみられる木材チップが、大量に放置されていることを滋賀県が9月17日に公表しました。
放射能レベルは最大で1キログラム当たり3000ベクレル 投棄量は200~300トンで、投棄の事実は4月下旬に住民から情報が寄せられていました。
公表の時点では不法投棄に関与した東京のコンサルティング会社が判明していました。同社の社長は、汚染された木材チップの処分を福島県の製材会社から依頼され、滋賀県内に運び込んだとみられています。
滋賀県はこれまで社長に対し、書面などで原状回復を求める行政指導を3回行いましたが、返答がなく連絡も取れない状態が続いていることから、河川法違反(形状変更)容疑で、近く県警に刑事告発する方針を固めたということです。
膨大な量の放射性物質を関西の「水がめ」といわれる琵琶湖の入り口に投棄しても、とりあえずは「河川法違反」というのも奇妙な話ですが、「1キログラム当たり8000ベクレル以下であれば再利用はできない(100ベクレル以上)ものの、水との接触防止等の処置は不要」という事故後に改定された現行法が、そもそもいい加減なものであることの表れです。
それに放射能に汚染されて商品価値を失ったものに対する東電の補償が、これまで全くと言っていいほどなされていないというのが、こうした不法投棄の根本的な原因になっています。
汚染された食品について報道されるたびに、「市場には出回っていない」と付言されるのがパターンになっていますが、具体的に何処で保管され、最終的にどう処分されたのかは明らかになっていません。
密かに流通しているのではないかという説の方に説得力があります。
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滋賀の河川敷に放射能汚染の木材チップ 東京の会社放置
朝日新聞 2013年10月7日
琵琶湖に注ぐ滋賀県高島市の鴨川河川敷に、東京電力福島第一原発事故で放射性セシウムに汚染されたとみられる木材チップが、大量に放置されていることがわかった。県は、関与したコンサルティング会社=東京都千代田区=に原状回復を指示したが、同社の男性社長と連絡が取れず、河川法違反(形状変更)や廃棄物処理法違反容疑での刑事告発も検討している。
県によると今年4月末、河川管理用の無舗装路に、木材チップが長さ約570メートル、厚さ約20~30センチにわたって敷き詰められているのが見つかった。河口付近でもチップが土嚢(どのう)77袋に詰められ、放置されていた。
琵琶湖に放射能汚染された木材チップが投棄される、3000ベクレル/kgの放射性セシウム含む木材チップ200~300トン
共同通信 2013年9月18日
滋賀県は17日、同県高島市安曇川町下小川の琵琶湖近くにある鴨川の河川敷などに木材チップ200~300トンが放置されているのが見つかったと発表した。
県の調査でチップからは、最大で1キログラム当たり3千ベクレルの放射性セシウムが検出された。水との接触の防止など特別な措置が必要な基準(8千ベクレル)は下回ったが、再利用可能な基準(100ベクレル)は上回った。県は「どこから持ち込まれたか調査中」としている。
県によると、チップは河川工事などに使う通路に敷かれていたほか、土のう袋77個にも入れられていた。4月下旬に付近の住民から情報提供があった。