原子力損害賠償紛争審査会は25日、福島原発事故による避難指示区域の住民に対する精神的損害の慰謝料について、避難指示解除後も原則1年間は継続する案を示し、大筋で合意されました(一部委員から「もっと長くすべきだ」との異論が出たため、結論は次回以降に持ち越されました)。
来春以降の解除が検討されている福島県田村市の都路地区を始め、今後解除される全ての避難指示区域に適用されます。
世帯や地域によって、精神的苦痛が続く特段の事情があれば、慰謝料の1年超の支払いが認められることや、失業で得られなくなった給与や営業損害などの賠償の支払いは解除と関係なく、当面続けることも確認され、追加指針に明記されるということです。
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精神的賠償 避難指示の解除後1年かぎり
NHK NEWS WEB 2013年10月25日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、避難を余儀なくされた住民に支払われている精神的な損害に対する賠償について、国の審査会は、避難指示が解除されたあとの支払期間を1年間とする案を示し、委員からは大筋で了承が得られました。
原発事故で避難指示が出された区域の住民への精神的な損害に対する賠償については、国の原子力損害賠償紛争審査会が作った指針に基づいて、1人当たり毎月10万円が支払われています。
この賠償を、避難指示が解除されたあと、いつまで支払うかについて検討が進められてきましたが、25日開かれた審査会で、特段の事情がなければ、避難指示の解除後、1年間とする案が示されました。
これについて一部の委員からは、「期間が短すぎる」という異論も出されましたが、多くの委員は「妥当な長さだ」という意見で、案は大筋で了承されました。
国の審査会は、25日委員から出された意見などを参考に、今後総合的な検討を進め、年内をめどに指針を取りまとめることにしています。
福島第一原発の事故に伴って出された避難指示区域の解除は、まだ行われていませんが、現在、福島県田村市の一部について、来年春の解除に向けた話し合いが住民側との間で進められています。
東日本大震災:福島第1原発事故 避難解除後、1年継続
原賠審、慰謝料支払いで了承
毎日新聞 2013年10月26日
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は25日、避難指示の解除後も1年間、住民の精神的損害への賠償金(慰謝料)を支払い続ける案を大筋で了承した。今後まとめる新たな指針(中間指針第4次追補)に反映させる。
避難指示区域内の住民(約8万1000人)への慰謝料は、審査会のこれまでの指針で、1人当たり月10万円と規定され、▽避難指示解除準備区域(年20ミリシーベルト以下)は12カ月分▽居住制限区域(年20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)は24カ月分▽帰還困難区域(年50ミリシーベルト超)は60カ月分―が既に支払われている。審査会は今後の避難指示解除をにらみ、解除後も生活への支障が続くとして、慰謝料の支払いを1年間継続することでほぼ合意した。
さらにこの日の審査会では、帰宅困難者らが移住先で宅地を購入する場合の追加的費用に関する賠償方法案が示された。
新たに購入した土地代が、事故時に住んでいた宅地代を上回った場合、差額の50〜75%を追加的費用としている。次回以降、審査会でさらに議論する。【奥山智己】