原子力規制委が2日、東電柏崎刈羽原発6、7号機の再稼動審査の進め方について議論し、東電の原発を扱う能力を慎重に見極めることが必要という認識で一致しました。
東電が企業倫理に欠け 原発を扱う能力がないということは、福島県や東海村など事故を起こした原発の立地自治体やその近辺の首長や住民がよく語るところです。福島事故への対応を見ても、東電には原発を扱う誠実さも能力も資格もないことは衆目の一致するところです。
この日の会合では、更田豊志委員が「福島第一のリスク低減が最優先課題だ。これからの(柏崎刈羽の)リスク低減と、今そこにある(福島第一の)リスクを低減することを分けて考えることはできない」と指摘しました。正確な意味は分かりかねますが、福島の事故後のリスクを解消できないでいる中で、新たな物件の再稼動を申請するなどは受け入れられない、という意味であれば十分に納得できます。
また中村佳代子委員は、「汚染水問題などでの東電の話を聞いていると、東電に放射性物質を扱うノウハウが十分あるとは到底思えない。同じ人たちが、(再稼働の)申請を出してきたことに驚きを感じる」と述べました。これも個人的感情論としては良く分かりますが、規制委員会としてこういう理由で門前払いができるのかは疑問です。
これらの発言はいずれも「規制基準」の中身とは関係のないもので、以前から指摘されていた「規制基準は住民の安全を守る点で不十分なものである」ことを、結果として証明しています。
いずれにしても、規制委が柏崎刈羽原発の再稼動に向けて、一途に邁進するという感じではないと分かったことだけでも僅かな救いです。
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「福島事故の対応優先」 規制委 柏崎刈羽再稼働に慎重
東京新聞 2013年10月2日
原子力規制委員会は二日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働審査の進め方について議論し、福島第一原発事故を起こした東電は、放射能に関する技術力に疑問があり、原発を扱う能力を慎重に見極めることが必要との認識で一致した。
この日の定例会合では、更田豊志(ふけたとよし)委員が「福島第一のリスク(危険性)低減が最優先課題だ。これからの(柏崎刈羽の)リスク低減と、今そこにある(福島第一の)リスクを低減することを分けて考えることはできない」と指摘。審査の際は、東電で事故収束と柏崎刈羽の対策の両方に責任が持てる担当者の出席が必要だと主張した。
中村佳代子委員は「汚染水問題などでの東電の話を聞いていると、東電に放射性物質を扱うノウハウが十分あるとは到底思えない。同じ人たちが、(再稼働の)申請を出してきたことに驚きを感じる」と厳しく指摘した。
議論を受け、田中俊一委員長は「法律上、申請があったものは審査を進める」とした上で、審査は東電の原発を動かす基本的な能力を中心に見極める方針を示し、了承された。
柏崎刈羽では、事故時の作業拠点となる免震施設や防潮堤、建屋の防水など新規制基準が求める対策は既に進んでいる。
しかし、東電は実質的に破綻しており、柏崎刈羽でも大事故が起きれば、資金、人員面で対応できるのか大きな疑問がある。福島第一の事故時は柏崎刈羽から多くの物資と人員の支援を受けたが、二つの事故を抱える事態となった場合は、柏崎刈羽単独での初期対応を迫られる。