原子力規制委の有識者調査団は23日、日本原子力発電(以下 原電と略称)の敦賀原発2号機(敦賀市)直下を走る破砕帯(断層)について、現地追加調査を実施しました。調査は24日まで2日間行われます。
この調査は20、21日にも実施されましたが、有識者全員の都合がつかなかったため追加でこの日程が設けられました。
規制委は昨年5月に2号機直下の破砕帯(断層)を国内の原発で唯一 活断層と認定しましたが、原電が活動性を否定する新たなデータを提出したために、改めて調べることになったものです。
原発の重要設備は活断層の真上に設置できないため、認定が覆らない限り2号機は再稼働できません。
規制委は昨年5月、2号機直下の破砕帯「D―1」について、浦底断層に引きずられるなどして動く恐れがあると判断し、「(耐震設計上、考慮すべき)活断層」と認定しました。それに対し、原電は昨年7月、断層活動の年代を示す新たな地質試料を発見したとし、「活断層の基準(12万~13万年前以降に活動)より古い」などと主張しています。
規制委は当初、活断層は「12万~13万年前以降の活動」に限定しないと言っていましたが、結局元通り「12万~13万年前以降の活動」に落ち着いたようです。
今月8~9日の関西電力高浜、大飯原発現地調査後の会見では、更田豊志規制委員が、「高浜原発の夏までの再稼働は不可能ではないだろう」「夏にまだ両原発の審査をやっていることにはならない」と、再稼働の見通しや審査の終了時期に言及するなど、再稼動ありきの驚くべき発言があったばかりなので、敦賀原発の活断層の判定が最終的にどうなるのか注目されます。
21日の記事とともに紹介します。
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敦賀原発破砕帯 追加現地調査 規制委「第2陣」スタート
産経新聞 2014.1.24 02:31
原子力規制委員会の有識者調査団は23日、規制委が昨年5月に「活断層」と判断した日本原子力発電の敦賀原発2号機(敦賀市)直下を走る破砕帯(断層)について、現地追加調査を実施した。調査は24日まで。
20、21日には島崎邦彦委員長代理らが同じく現地で調査を実施したが、有識者全員の都合がつかず、今回の日程が設けられた。千葉大大学院の宮内崇裕教授らが参加し、23、24日とも報道陣には非公開。
メンバーは原電担当者の説明を聞きながら、敷地内のトレンチ(掘削溝)で断層の連続性などを調べたほか、ボーリング試料などを確認した。
規制委は活断層を否定する原電が昨年7月に提出した報告が評価を覆すに値する「新たな知見」にあたるかどうかを、今回の調査を踏まえ検証し、評価する。
一方、島崎氏は結論を出す時期など今後の見通しについては明確に示しておらず、原電のデータ補足を受け入れてから会合を開くとしている。
敦賀原発2号機直下の断層再調査 規制委、原電の結果検証
福井新聞2014年1月21日
原子力規制委員会の有識者調査団は20日、昨年5月に活断層と認定した日本原電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)直下の破砕帯(断層)について現地で再調査を始めた。原電が昨年7月提出した活断層を否定する追加調査結果の検証が目的。21日まで行う。
団長役の島崎邦彦委員長代理は現場を見た後、記者団に「これまでの結論がある。予断もなくとはいかない」と従来の認定内容を基本に臨む姿勢は示したが、見た印象に関しては「有識者会合で議論するので答えるわけにはいかない」と慎重な答えに終始した。
敦賀原発の現地調査は2012年12月以来。調査団5人のうち島崎氏ら3人のほか、調査団以外の有識者として京都大の岡田篤正名誉教授ら4人も参加した。敦賀2号機直下を走るD―1破砕帯や規制委がD―1と一連の構造と認定したK断層の試掘溝などを入念に観察した。
規制委はK断層について、活動性の目安とする13万~12万年前以降に活動した可能性が否定できないと認定。K断層と一連の構造としてD―1の活動性を認めている。原電はK断層が途中で途切れているとし、地層に含まれる火山灰の年代分析などからD―1の活動性を否定している。
原発の規制基準は、地盤をずらす断層上に原子炉建屋などを設置することを禁じている。規制委の認定が覆らない限り、敦賀2号機の運転再開は認められず、原電は廃炉を余儀なくされる。